• "金属分野"(/)
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  1. 富山県議会 2010-02-01
    平成22年2月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     午前10時00分開会 杉本委員長 おはようございます。ただいまから2月定例会予算特別委員会を開会いたします。  本委員会の運営に関し、理事会で決定した事項は既にお配りしてありますが、ここで特に、質問者に申し上げます。  持ち時間は答弁を含めて60分ということになっております。その具体的な取り扱いについては、理事会で再確認し、事前に配付し、またお手元にもありますので、留意の上質問されますよう改めてお願いいたします。  また答弁者においては簡潔な答弁に留意され、円滑な委員会運営に御協力いただきますようお願いいたします。  なお、委員席につきましては、ただいま御着席のとおりにしたいと思いますので、御了承願います。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        矢後肇委員の質疑及び答弁 2 杉本委員長 矢後委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 矢後委員 おはようございます。  きょうから3日間の長丁場であります。トップバッターを務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。18問用意してまいりました。今ほど委員長から御指導もありましたとおりでありますので、頑張って次々とお伺いしたいと思います。本来であれば、いつもここで少ししゃべるんでありますが、18問でありますので、今すぐ質問したいと思います。  まず最初に、本県のものづくりについてお尋ねをいたしたいと思います。  ものづくりにつきましては、今定例会におきまして、代表質問、また一般質問等でも取り上げられましたけれども、来年度、富山県ものづくり研究開発センター(仮称)が整備されるということが発表されております。これにつきましては、国の21年度第1次補正予算で閣議決定された地域産学官共同研究拠点整備事業に基づいて、本県が昨年8月に提出した案件でありまして、鳩山政権による補正予算の凍結、見直しの中で、一時は事業採択が大変に危ぶまれたと聞いております。  石井知事を初め全国知事会等が文部科学大臣に直接要望されるなど、大変な苦労をして何とか研究設備のみが採択されるところまでこぎつけましたけれども、結果的に本県の場合、知恵を出していただいて、経済産業省の補助金を活用するなど、他県には見られない創意工夫を加えた結果、さらに2億4,700万円程度の県費支出が想定されております。ここに至るまで大変な苦労があり、しかも47都道府県のうち28県のみ選定されたということで、本県の知事を初めとする関係各位の御努力は特筆に値するのではないかと高く評価をしたいと思いますが、本来、地方の科学技術の振興という観点からすると、現政権の今回の一連の対応には、率直に言って問題があると言わざるを得ないと思います。地方の科学技術の振興のために整備する施設については、ハード施設を含めて、国が責任を持って整備していくなど、地方が実施する科学技術の振興のための特色ある取り組みに対して、今後、国が責任を持って十分な支援策を検討するよう国に対して求めていくべきではないかと思いますが、まず最初に知事の御所見を伺いたいと思います。 4 石井知事 中国を初め東アジアなどの国々が大変著しい経済発展を遂げております中で、我が国がものづくりの面で競争力を維持していくためには、本県を含めて、どうしても常に科学技術などの面で世界最先端の分野にチャレンジをして、新商品をつくる、あるいは新産業の育成に努めていくということが必要だと思っておるわけでございます。  昨年9月の政権交代に伴いまして、お話しのように、補正予算の凍結という問題が起こりまして、富山県ものづくり研究開発センター(仮称)もその凍結の対象になるということで、正直本当にびっくりしまして、知事会の中で相談をして、私とあとお二人、元民主党代議士の知事さんにも私から声をかけて、3人で川端文部科学大臣に全国知事会を代表する形でお会いしまして、相当強いお願いというか、談判をさせてもらったのでありますけれども、そこで何か最初は箱物だというふうな御認識でいらしたので、とんでもないと。これはまさに地方の中小企業の生き残りのための先端的な研究設備、機器なんですよということで、しかしそれを入れる建物がなくちゃ困るじゃないですかという話もしたんですが、結局、研究設備だけは認めてもらいました。  しかし、幸い富山県の構想はなかなかいいじゃないかということで、実はありがたいことに経済産業省のほうで国庫補助対象にしてもいいよということで、御相談しましたら、御理解いただけたということでございます。しかし、おっしゃるように、なお県費負担は残ったわけでございます。  また、事業仕分けで知的クラスター創成事業は一たん廃止とされました。これにつきましても、実はその後文部科学省に出向いていろいろお話をし、またものづくり中小企業製品開発等支援事業という中小企業の研究開発を支援する事業も、県内で実に75件採択されていたんですけれども、これも来年度予算はアウトだという話がありまして、こういったことについても、直接、鳩山総理あるいは直嶋経済産業大臣などにお話をしまして、継続をする、あるいは実質的に相当程度継続するという取り扱いとなりました。
     委員がおっしゃるように、科学技術の振興というのは、富山県を含めて日本の発展、地域の発展に欠かせないものでありますから、この富山県ものづくり研究開発センター(仮称)、ここで活用できる国の大型研究プロジェクトをもっと拡充してもらう。また、ほくりく健康創造クラスターも積極推進するということで、これからも国にしっかり働きかけをしてまいりたいと思います。 5 矢後委員 定例会等で再三お話しになりました。まさか地方の科学技術の振興の施設をテントにするわけにはいかない。科学技術については、「コンクリートからテントへ」という発想はやっぱりおかしいと思います。そういう意味で、今回、富山県ものづくり研究開発センター(仮称)が見事に採択になったということについては、本当によかったなと心から喜んでおります。  この富山県ものづくり研究開発センター(仮称)でありますけれども、平成23年春には運営を開始する予定というふうに伺っておりますが、具体的にはどのような利活用を県として期待しておられるのか、商工労働部長にお伺いをしたいと思います。 6 柳野商工労働部長 富山県ものづくり研究開発センター(仮称)につきましては、産学官が連携して異分野、異業種交流により、試作品レベルの技術開発を進める拠点として整備を進めております。来年春の運営開始を目指しているところであります。  センターの主な施設として、東海北陸地区の公設試験場では、初めての設置となる最先端の10m法電波暗室を備えた電波暗室棟と産学官の共同研究スペース企業スペースを備えた開発支援棟のほか、既存の工業技術センターの実験棟のスペースも確保し、金属表面をナノレベルで削ります超精密切削加工機ナノファイバーを製造するエレクトロスピニング装置や、アルミ板を摩擦熱で溶かして接合する2次元摩擦攪拌接合装置などの設備を設置することとしています。  こうした施設や設備を活用して、富山県のものづくりを担っている機械、電子、プラスチック、アルミ、繊維、医薬などの産業が異分野、異業種連携を進め、ナノテクとものづくり技術の融合による新たな技術や製品の開発を進めることとしています。  また、長期インターンシップや研究活動を通じて、企業ニーズにこたえた実践的な技術研究人材の育成にも力を入れていきたいと考えています。  センターの具体的な運営につきましては、今後設置を予定している運営委員会等で十分検討を行い、整備を進めていくこととしております。  新しく設置される富山県ものづくり研究開発センター(仮称)が多くの企業や大学に利用されるセンターとなるよう努めてまいる所存であります。 7 矢後委員 ただいまの商工労働部長の答弁の中にありました産学官共同研究という言葉は大変にいい言葉だし、大切な言葉だと思うんですね。このセンターを利用していく中で、産学官のうち学とか官というのは、県が主導することによって、参加をお願いすることは現実的に考えられると思うんですけれども、一番大事なのは産、いわゆる民間企業に学とか官と一緒にこのセンターを活用して、おれも一緒に共同研究に参加してみようかなと思っていただくことがやはり肝心なのではないかと思うんです。  そこでお尋ねいたしますが、県としては、具体的にはこの産、すなわち民間の参加機運を醸成していくために、どのような手法、仕組みづくりを考えておられるのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 8 柳野商工労働部長 本県のものづくり産業が力強く発展していくためには、産学官連携による研究開発を推進していくことが大変重要であると考えています。  このため、県では新世紀産業機構産学官連携推進センターを設置し、産学官とのネットワークの形成や産学官共同研究に対する支援制度の充実、産学官が一堂に会する交流会の開催など、これまでも県内企業が大学や公設試験研究機関と共同研究を実施できる環境を積極的に整備してきたところであります。  産学官の共同研究数は、着実に増加してきているところであります。さらに、新年度は新世紀産業機構への新たなコーディネーター等の配置、コーディネーター等の連絡会議の開催、高度技術の実用化を目指す研究開発に、2年間で1,000万円を支援する新たな産学官共同研究の支援制度の創設など、企業と大学、公設試験研究機関との連携を一層推進することとしています。  また、高度な技術開発により、ものづくり産業の活性化に寄与した企業を表彰する富山県ものづくり大賞を新たに創設し、産業界のものづくりに対する機運の醸成を図ってまいることとしています。県内企業の方々には、さまざまな機会や支援制度等を活用し、産学官共同研究に積極的に取り組んでいただきたいと考えています。 9 矢後委員 富山県ものづくり大賞というのは、いわゆる日本海側屈指の工業集積を有しているものづくり県富山としては、非常にいい発想なのではないかなと思います。  そもそも、この富山県ものづくり研究開発センター(仮称)でありますけれども、これが設置されることによって、我々が一番期待しているのは、本県のものづくり県富山としてのステータスが一層上がること、他県との差別化が一層図られること、ここのところがやっぱり一番肝心なところじゃないかなと、我々がこのセンターに期待するものじゃないかなと思うし、また商工労働行政に県民の皆様が期待しておられるところだと思うんですね。  そこで今回、他県にはない知恵を出し、また地方全体のためにも知事以下県当局が大変な苦労をされてセンターの設置にこぎつけられたわけですけれども、このセンターの設置によって、本県のいわゆるものづくり県富山としての姿は今後どのようによくなっていくのか。また、ものづくり県富山として、他県と比べての優位性がさらにどんな形であらわれてくるのか、生かされていくのか、こういう一番肝心なところについて、知事のお考えをお聞きしておきたいと思います。 10 石井知事 本県は、高いものづくり技術と優秀な人材、また豊富な水や電力といったようなことで、日本海側屈指の工業県、ものづくり県ということであります。  今後、さらに発展、飛躍するためには、本県の企業はこうした強みを生かして、将来を見据えた新たな分野への進出や新産業の育成を図っていきたいと思っております。  現在、整備を進めております富山県ものづくり研究開発センター(仮称)については、今ほどもお話が出ましたが、国際水準の先端的な設備や産学官の共同研究スペース、企業用のレンタルスペースなどを備えまして、共同研究スペースも4室、企業レンタルスペースも10室ある、研修室も1室ある。このほかに、先ほど来部長からも話した開発支援棟があるということであります。  そこで、異業種や異分野の連携、試作品レベルの技術開発を進めることによりまして、国内はもちろんですが、世界のマーケット市場を念頭に置いた企業の新しい挑戦を支援していくための拠点としたいと考えております。  例えば金属分野プラスチック分野の連携によります金属、プラスチックの高強度接着技術を利用した電気自動車部材やエコハウスの構造材の開発ですとか、また機械分野の超精密加工技術を活用しました超小型運動センサーなどIT関連技術の開発、これは例えば福祉系ロボットの開発に使えると。また、細胞チップなど医薬工学の連携の技術開発、これは例えばインフルエンザの治療などに有効な抗体の作製に活用できるということでありまして、低炭素社会に向けた環境・エネルギー産業、高齢化社会に向けた医薬福祉産業の振興など、今後成長が見込まれる産業分野において大いなる活用が期待されるわけであります。また、この技術開発を進めるだけではなくて、それを通じて実践的で高度な若い人たちの人材育成にも使いたいと思っております。  こうした取り組みは、医薬バイオでは石川と共同でほくりく健康創造クラスターもやっておりますし、またかねて本県の強みを生かして、福祉系も含めたロボット分野、また環境面からも必要な新エネルギーの分野、小水力発電とか太陽光発電とか、これまで県が重点的に支援した成長分野の技術開発をさらに加速しまして、ものづくり技術の一層の高度化を図りたいと思っております。  このセンターの整備による研究開発支援と同時に、新しい年度から研究開発に対する助成を拡充する。例えば2年で1,000万円を支援する高度技術実用化支援事業を新たにつくったとか、また昨年スイス・バーゼルに行きまして、連携協定を結びましたが、それを受けた国際的なワークショップを開催しまして、富山県の医薬品ここにあり、ということで、医薬バイオ産業の振興を図る。  また、航空機産業など新しい産業分野への参入の支援をする。また、富山ものづくり総合見本市の開催を図るということで、県内の企業の新規事業創出を技術革新と販路開拓との2つの面で支援をする。そして、本県の産業発展を図る、こういうふうに考えております。 11 矢後委員 今回は本当に選定されてよかったなと思っております。せっかく大変な苦労をして選定していただいたわけですから、ぜひ役立てていただきたいと思います。  次に、特別支援教育についてお尋ねをいたします。  障害により特別な支援を必要とする子供たちとその保護者の方にとって、一般の家庭にはない悩みというのは子供の進路であります。したがいまして、そういう方々に対する就学指導・就学相談システムの一層の充実は喫緊の課題であると思っております。  県では、新たに新年度から就学指導コーディネーターを配置されるなどの施策を講じられるというふうに伺っておりますけれども、新年度以降、障害により特別な支援を必要とする子供とその保護者の方に対し、その就学指導、就学相談体制をどのように充実していかれるのか、まず教育長にお伺いをいたします。 12 東野教育長 県教育委員会におきましては、障害のある子供やその保護者を対象といたしまして、巡回就学相談会を年2回行っております。それから地区相談会については県内を4地区に分けまして、全部の市町村で開催しているところでございまして、特別支援教育に関します情報を提供いたしましたり、保護者の就学の不安、悩みにこたえてきているところでございます。  就学指導は、委員から御指摘がございましたように、保護者の理解を得ながら取り組むことが大変大切でございますので、平成22年度はこれまでの巡回就学相談会を引き続き行いますとともに、より身近な地域でいつでも相談できますように、地区別相談会を拡充したいと考えておりまして、21年度60回のものを96回に増やしたいと思っております。  これらに加えまして、新年度実施いたします特別支援教育総合推進事業の中におきまして、新たにこうしたことに経験豊かな人、あるいは就学指導手続等に大変理解のある人たちを就学指導コーディネーターとしてお願いいたしまして、市町村の要請に応じて派遣します。保護者の方、そして市町村就学指導委員会の判断がなかなか一致しない場合も多いわけでございまして、これらの間の連絡調整を行う、あるいは関係機関とも連絡調整を図りまして、きめ細かな対応をしてまいりたいと考えております。 13 矢後委員 もう1点、教育長にお伺いいたします。  今度は、就労支援についてであります。  昨年の12月、我が党の福祉環境部会で、京都府の、はあとふるジョブカフェを視察してまいりました。五十嵐議員、吉田豊史議員、そして杉本委員長にも御出席をいただいたところであります。  ここでは、全国でも例を見ない都道府県直営の障害者就労支援拠点ということで、独自の政策をとっておられまして、その結果、特に従業員数56人から99人の中小企業における障害者雇用率が、京都府は全国的にも非常に高くなっているという成果を出しておられます。  本県も、中小企業が比較的多く、しかも頑張る中小企業が多いわけでありまして、そういう中小企業の方々に障害者雇用について、理解を深め、御協力をいただくということは大変意義の大きいことではないかと思うわけであります。  県では、新年度より新たに緊急雇用創出基金事業を活用して、特別支援学校就労支援事業をスタートさせると伺っておりますが、具体的にはどのように障害者の方々の就労を支援していかれるおつもりか、教育長にお尋ねをします。 14 東野教育長 新年度、新たに実施いたします特別支援学校就労支援事業でございますが、この中で民間企業で障害者雇用の実務経験や人事担当経験のある方にお願いいたしまして、特別支援学校就労コーディネーターとして、県内4地区の特別支援学校に配置し、巡回することにしているわけでございます。  この役割でございますが、企業等を訪問いたしまして、就業体験、就職受け入れの要請をしますこと、そして希望生徒とのマッチング、障害者雇用の理解、啓発を図りますこと、支援方法につきまして、相談も行わせていただきたいと考えておるところでございます。こうしたことを通じまして、就職受け入れ企業の拡大を少しでも図りたいと考えております。  また、こうして回るときに、関係機関への情報提供、例えば県内に4カ所ございます障害者就業・生活支援センターにおきまして、事業所での職場実習を行います障害者チャレンジトレーニング事業や、県単独の雇用奨励金制度の活用なども紹介いたしまして、支援に当たりたいと考えております。今後こうしたことを通しましてネットワークの拡大に取り組んでまいりたいと考えております。 15 矢後委員 今ほど説明いただきましたけれども、この京都府の例を見ますと、中小企業における障害者の実雇用率は、平成21年6月現在で全国平均が1.77%だそうで、京都府は1.86%ということで、非常に高くなっているという実績があります。ほかは全国どこでも低くなっております。ぜひ参考にしていただけたらいいんじゃないかなと思います。  もう1つ、ちょっとおもしろいなと思ったことがありますので、お尋ねをいたしますが、プロの医師の方、それから臨床心理士とか大学の先生等々で構成する専門家チームとか、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などのプロで、今回新たに専門巡回相談員というものを組織されるそうです。こういう、いわゆる医療、治療のプロの方々で専門家チームとか専門巡回相談員を配置されるということですけれども、この方々は本県の特別支援教育の一層の充実、フォロー体制の確立という中で、どういう役割を果たしていかれるのか、県としてはどういうふうにそれを期待しておられるのか、教育長にもう1点お伺いしておきたいと思います。 16 東野教育長 小中学校に在籍する障害のある児童生徒は、さまざまでございまして、担任だけでの対応ができず、外部の専門家などの応援を頼むことが最近増えてきているのは、委員から御指摘のとおりでございます。  このため、県立特別支援学校におきましては、小中学校からの要請に応じまして、教育的観点からの助言としてコーディネーターを派遣し、指導に努めてきているところでございます。  また、総合教育センターにおきましては、医師、臨床心理士などの専門家チームを設置いたしまして、対象児童のケースに応じまして、チームとして指導助言を行っております。  委員から御指摘がございました派遣専門巡回相談員でございますが、新年度から実施いたします特別支援教育総合推進事業の中で、個々具体的な指導に当たりまして、技術的な方法について指導を行うものでございます。医師、理学療法士、作業療法士などの専門家を専門巡回相談員としているわけでございますが、これらを小中学校に派遣いたしまして、具体的に、医師によります問題行動の分析対応、理学療法士によります体の姿勢をどのように保ったほうが効果的かといったような技術的な方法、作業療法士によります手や指の使い方など、より具体的で実践的な指導助言を図るものでございまして、こうした取り組みをさらに進めてまいりたいと考えております。 17 矢後委員 もう一つ、去る3月4日だったと思います。我が党の政務調査会の勉強会が開催されまして、一般質問でも取り上げた方がおられますけれども、富山大学の先生がお見えになられまして、ICT教育について勉強をさせていただいたんですが、そのときに先生が持ってこられたパンフレットは「教育支援人材育成プログラム」というもので、今ここに持っています。  きょう、この問題の最後に知事に一つお伺いしたいのは、新年度から国委託事業として富山県特別支援教育総合推進事業というのを始められるということで、大変期待を申し上げたいと思うんですが、専門家によるさらなる支援体制の充実、それから富山大学生によるスタディ・メイトジュニア、それから今申し上げた富山大学の教育支援人材育成プログラムで学んだ教育ボランティア等の積極的な活用を図っていただきたいなと思うんです。  このパンフレットには「一生懸命勉強したので、活躍の場を求めています」と書いてありまして、ここに「積極的に登用します」、「教育長東野宗朗」と県教育長メッセージが書いてありますので、書いてある以上はうそではないと思うんですね。ですから、これはちょっと冗談で書いたのでというのでない御答弁をぜひ知事からちょうだいしたいと思っておりまして、特別支援教育の分野における先進県づくりにぜひ挑戦をしていただきたいと思いますが、どのような所見をお持ちか、お伺いをしておきたいというふうに思います。 18 石井知事 委員のお話にありました富山県特別支援教育総合推進事業につきましては、先ほど教育長が御答弁いたしましたように、幼稚園や小中学校、高校、特別支援学校に在籍する障害のある児童生徒の支援を、教育、医療、保健、福祉、労働等の人材が連携しまして体制を整備し、新たに総合的な支援に取り組むということでございます。  この事業については、専門家チームを設置しまして、その中には、先ほど委員もおっしゃった医師、臨床心理士、大学教授といった方もおられるわけですし、また専門巡回相談員、スタディ・メイトジュニア、それから就学指導コーディネーターの派遣を行うことにしております。  このスタディ・メイトジュニアのほうは、富山大学の人間発達科学部の教員志望の学生を小学校に派遣するわけでございます。  県としましては、こうした特別支援教育充実のために、県独自の取り組みを行ってきたところでありまして、例えば19年度から国が市町村に財源措置することになった発達障害児を支援するスタディ・メイトの配置については、実は富山県が国に先駆けて18年度から県独自の財源で実施したということでございます。  さらに、22年度におきましては、新たに実施しますこの総合推進事業に加えまして、県独自の措置といたしまして、先ほど教育長からも御答弁いたしましたが、特別支援学校に就労支援の充実を図るための就労コーディネーターを4名配置する。それから、市町村が配置するスタディ・メイトを支援するスタディ・メイトコーディネーターという方々を8名配置する。これは、スタディ・メイトの経験のある方を教育事務所に配置して、市町村を巡回して支援するというものでございます。また、小中学校の特別支援学級の17学級増設や通級指導教室を担当する教員を7名増やすことにしております。そのほか、医療的なケアを必要とする児童生徒のために、看護師を2名増配置するといったことにも取り組んでおります。  なお、この富山大学の教育支援人材養成プログラムで学んだ社会人の教育ボランティアとしての活用について、これは委員からもお話がありましたが、スタディ・メイトジュニアの派遣事業に合わせまして、今後、教育委員会でぜひ前向きに検討してもらいたいと思っております。  私は、障害のある子供たちが自立して社会参加するために、一人一人のニーズに応じた適切な指導や支援を行う特別支援教育の充実に取り組むことは大変重要なことだと思っておりますので、委員が御指摘のように、特別支援教育についても先進県だと言われるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。 19 矢後委員 期待を申し上げておりますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。  次に、木育についてお尋ねをいたします。  木の持つ一番いいところというのは、やっぱりやさしさとか温かさとか、そういうものだと思うんですね。木に触れて生活していくというのは、豊かな心を養うとか、他人を思いやる心を養うとか、そういう意味で、木を使った教育、木育というのは大変いいことではないかなと思うんですが、これが推進されるためには、何よりもまず自分たちの身の回りに木に触れる機会がもっと増えなきゃいけないだろうと思うんです。  最初にまず考えられるのは、県として特に農林水産部を中心に県産材の利活用ということで、大変いろんな創意工夫をしておられますけれども、公共施設等において、さらにメード・イン富山の県産材を目にする機会を増やしていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。  これで、まず1点目、お伺いをいたします。  新年度以降、公共施設等における県産材の一層の普及、もっと県民の方にたくさん目に触れるようにするために、どういうふうに取り組みたいと思っておられるのか、農林水産部長のお考えをお尋ねいたします。 20 寺井農林水産部長 公共施設等におきます県産材の利用に関しましては、国におきまして公共建築物等における木材の利用促進に関する法律案が今週の3月9日に閣議決定されて、国会に提出されております。  これによりますと、国はもとより県や市町村におきましても、公共建築物に国産材等を利用する努力義務が明記されておりまして、今後、一層そうした取り組みが必要になってくると思っております。  県といたしましては、これまでも県産材の利用と普及を図りますために、女性相談センターや交番、駐在所などの県の施設には率先して県産材を使用しますとともに、市町村等の保育所や福祉施設などの内装の木質化を支援するほか、国や県が実施します公共事業や備品調達への県産材の利用を働きかけております。  また、県庁を訪れる方に県産材をPRするために、県産材でつくったテーブル、いす等を議事堂1階のロビーに配置させていただきましたが、来年度は本庁舎の県民サロンの内装の木質化を行うことにしております。  さらに、本年度設置しました森林整備・林業再生基金を活用した、くつろ木空間整備促進事業を使いまして、保育所や学校、福祉施設等の木質化等を積極的に推進していくことにいたしております。 21 矢後委員 ただいま農林水産部長から、県の施設について積極的に活用したいという御答弁をいただいたわけであります。  そうすると、気になるのが代表質問、また一般質問で我が党の議員各位が取り上げておりましたふるさと文学館(仮称)の整備であります。知事公館を活用して整備することを新年度以降、計画しておられるということでしたが、ふるさとの文学館であるならば、当然ふるさとらしさが出なきゃいけないだろうと。ということは、ここには県産材がきっとたくさん利用されるんだろうなと。そうすると、たくさんの人に来ていただいて、たくさんの人に県産材、富山の木に触れていただくという一石二鳥の効果があって、とてもいいなというふうに思うのでございます。ぜひとも石井知事の御英断をお願いしたいと思うのでありますが、どうでございましょうか。 22 石井知事 先月、ふるさと文学資料評価・活用委員会からいただいた報告で、建物につきましては、文学館を訪れる人が文学に親しんで楽しみながら学ぶ機会を提供する。また、高齢者、幼児、障害者なども安心して利用できるように配慮したもの。また建物自体が文化的な価値を持って、人が何度も訪れたくなるような特色、風格のある建物であることなどと提言されております。  御提案の、こうした多くの方に訪れていただきたい文学館で県産材を活用することは、お話しのように、木の持つ温かみ、あるいはやさしさ、安らぎ、また香りなんかもいいですし、訪れた方々の心を豊かにする効果もあると思います。  そこで、また県内の林業、木材産業の振興などにも貢献するということもあると思いますから、できるだけ県産材を活用したいと思っております。  ただ、建設予定地は準防火地域でありますので、躯体は耐火構造であることが求められますので、県産材はどうしても内装を中心とした活用にならざるを得ないんじゃないかと思っております。  私は、知事就任以来、大変厳しい財政事情に直面しましたので、施設、いわゆる箱物を新しくする機会が大変少なかったわけですが、しかし、例えば女性相談センターとか、交番、派出所等などについては、率先して県産材を使用するように指示をしてきております。  ふるさと文学館(仮称)の整備に当たりましても、3月中に県としての基本方針をまとめて、今度の予算案の御議決をいただいた上で、新年度から先ほど申し上げたような方針で基本設計に取り組むこととなりますけれども、これは公募によるプロポーザル方式などを考えていますので、建物全体についてどういうプロポーザルがなされるか。また、もちろん文学館の中のいろんな部屋の機能は、例えば展示中心、閲覧室、それから子供用の部屋とかいろいろあると思いますので、そういった内容にもよると思いますが、できるだけ県産材の活用について配慮してまいりたいと思っております。 23 矢後委員 防火地域とか準防火地域とかありますけれども、「コンクリートから人へ」は、ちょっとあいまいでよくわからないんですが、「コンクリートから木」は、やっぱりいいことだと思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  もう1点、次は新年度の新規事業であります。  とやまの木で家づくりモデル事業について、お尋ねをしたいと思います。  県産材を活用して木造住宅を建設される方には、70万円を上限として補助するという政策だそうでありまして、この70万円が上限というのは、全国で最も手厚い補助であると伺いました。大変いいことじゃないかと思うんですけれども、せっかくやられる新年度からの新しい取り組みですから、ぜひ成功をしていただきたいと思いますが、逆に言うと、これまで県産材を使用した木造住宅を普及させていくという事業は、どこに事業推進のネックがあって、それに対して今回新しい事業等を活用して、新年度以降、どう対処していかれるおつもりなのかということについて、農林水産部長にお伺いをいたします。 24 寺井農林水産部長 一般住宅での県産材の利用を促進するために、これまで県内の建築関係者を県産材アドバイザーに委嘱しましたり、無利子融資などを行ってきておりますが、平成21年の実績見込みは20戸程度と、まだ少ない状況であります。  このため、本年度、ハウスメーカーや製材業の専門家等から成ります県産材住宅検討委員会を設けて、推進方策等を検討しております。  そこでの議論では、まだ少ない要因としまして、今は工期やコストを切り詰めるためにプレカット加工が増えまして、手仕事をする人が少なくなってきていること。また、住宅関係法令の改正等によって、狂いが少なく、強度が明確な材料が求められていること。そして、県産の杉が集成材や他県産に比べて単価が高いと。さらに、工務店が求める量を安定的に供給できなかったといったような問題が指摘されております。  これらの問題を一気に解決することはなかなか難しいですけれども、いろいろな方策を考えておりまして、これまでの県産材アドバイザーに加えまして、県産材等需給量拡大事業によってコーディネーターを配置しまして、木材生産から建築までの連携を図ることにいたしております。また、県産材を低コストで安定的に供給するために、林業の施業集約化、作業路網、高性能機械の整備、山から製材所への直送方式の構築、さらには製材所の加工機械への支援といったようなことにも取り組んでまいります。  さらに、県民の皆さんの需要を喚起しますために、今ほど御指摘いただきましたとやまの木で家づくりモデル事業を創設いたしまして、県産材を使用した住宅の新築、増改築に対して、木材の使用量に比例しまして、70万円までの補助を行うことにしておりますが、これによりまして、材によります単価差の問題は解消されると思いますので、積極的にPRして県産材の利用促進につなげていきたいと思っております。 25 矢後委員 農林水産部長にもう1点お伺いします。  つい先日の話でありますが、今月の6日、7日に富山市総曲輪のグランドプラザで「とやまの木の公園で遊ぼう!」というイベントが開催されました。とやま木育推進事業の一環ということでありまして、私としては、この木育推進事業の一環として行われた今回のイベントの結果が気になるわけですけれども、まだ時間がたっていませんので、取りまとめていらっしゃらないかもしれませんが、今回の催しの成果に対する農林水産部の評価と今後どのように今回の経験を生かしていかれるおつもりなのか、もしまとまっていらっしゃったら、お伺いしたいと思います。 26 寺井農林水産部長 先日、開催いたしました「とやまの木の公園で遊ぼう!」というイベントにつきましては、富山大学と連携いたしまして、広く県民の皆さんに県産材に手を触れていただいて、木のよさを体感してもらうために、とやま木育推進事業の一環として実施したものでございます。  内容としましては、とやまの木を使った遊具アイデアコンテストを行いましたが、その優秀作品をもとに試作しました5点の遊具を展示したり、富山大学芸術文化学部の学生が製作したおもちゃを展示したり、また県産材の積み木コーナーの設置や、ボランティアによります森の音楽会なども行いまして、訪れた家族の皆さんに手で触れて、木から出るいろんな音や香りも楽しんでいただいたところであります。  会場の総曲輪グランドプラザ一帯は、2日間で約1万人の方が訪れたということですが、その中で実際の数を把握しておりませんが、1,000人から2,000人の方が御家族連れで実際に触れていただいて、大変好評をいただいております。  また、県はこれまでも「木とふれあい、木に学び、木と生きる」という木育の考え方に基づきまして、これまでも県産材を利用しまして、県内すべての幼稚園、保育所に積み木の配付をしたり、あるいは屋外遊具であります大型の「こどもの城づくり」、さらには県産材のベンチの設置、教室机の天板の交換といった事業に取り組んでおりまして、これも実は水と緑の森づくり税によります普及事業の一環として取り組んでおります。  今後は、さらに木製遊具を児童館や各種イベントに貸し出すとともに、新しい木製遊具の開発も進めまして、子供からお年寄りまで、県民の皆さんに木育を広げていきたいと考えております。 27 矢後委員 木育の最後に、教育委員長にお伺いをしたいと思います。  今ほど知事、また農林水産部長からいろいろと御示唆をいただきました。やはり木育というのは、温かい人、やさしい人を育てていく上で大変にいい教育じゃないのかなと思います。  先ほども言いましたが、やはり「コンクリートから木へ」というのは、日本人らしさを養う上では、「コンクリートから人へ」よりはよっぽどまともな政策じゃないかなと思うのであります。ぜひ県内の小中学校においても、木育の概念を取り入れていくべきではないかと思いますが、今後、本県の教育の中で、木育をどのように生かしていけばいいと考えておられるのか、お伺いをいたします。 28 村井教育委員長 御承知のとおり、西欧諸国などの文化が石の文化と言われてきましたのに対し、五重の塔などに代表されますように、日本人は木の文化を大切に守ってきております。昔から木に親しみ、住宅、家具、燃料など、生活の隅々で有効に活用し、まさに木と共生してきたと言えると思います。また、木の文化は雪、月、花など豊かな自然と同じように、日本人らしいきめ細かな感性を育ててきたと考えております。  ただ、私たちには、こうした木の文化を子供たちに伝え残していく責務がありますが、学校では従来から例えば図画工作科において、木切れや板材など身近なものを使ってつくり出す喜びを味わったり、中学校技術家庭科においては、木材の特徴や利用の方法、加工法を学習して木工品を制作するなど、木に触れ、木のよさを体感するなど、木を教材として活用する学習に取り組んできております。また、環境問題の観点からは、森林資源の働きと自分たちの生活とのかかわりを学習し、森や木が環境の保全に欠かすことのできない資源として重要な役割を果たしていることを学んでおります。  このように、子供たちが木のぬくもりを感じ、木材のよさや特徴を学び、そのよさを生かした学習活動を行いますことは、樹木の命に気づき、自然の美しさに感動するなど、子供たちの豊かな感性ややさしい心をはぐくむことにつながるものと考えます。今後も、木育なども通して山、川、水など、本県の豊かな自然環境を生かした教育活動を充実させていくことが大切であると考えております。 29 矢後委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
     次に、食のとやまブランドについてお伺いいたします。今回は、首都圏に的を絞って何点かお尋ねしたいと思います。  まず、来月、東京の丸の内において、「キトキトとやまフェアin丸の内」を開催されるということであります。12日間の長きにわたり、かつ、丸の内ハウスの飲食店は8店舗あるそうですが、全部を使ってやられると。オープンニングレセプションには石井知事みずから御出席されるという予定ではないかと伺っております。大変大きな企画で、県としてはとても思い切った施策かなと思うんですが、今回このプロジェクトを企画するに至った背景と、これによってどのような効果を期待しておられるのか、まず農林水産部長にお伺いをします。 30 寺井農林水産部長 これまでも首都圏から食のとやまブランドを発信しますために、毎年5月の連休前に東京で食と観光のイベントを実施しておりまして、昨年は銀座松阪屋と有楽町駅前で「いこいこ富山ワールド」と称しまして、映画「劔岳 点の記」のPRも交えまして特産品の実演販売等を行い、好評を得ております。  今回の「キトキトとやまフェアin丸の内」の開催につきましては、今申し上げました昨年のイベントや東京アンテナショップの活動を通じまして関心を持っていただきました新丸ビル側からの提案がきっかけでございますが、県としましても、新丸ビルが東京駅前の新たな情報発信の拠点となっておりまして、丸の内のオフィス街には24万人の方が働いておられると聞いておりますが、そういった方はもとより多くのビジネスマンなどが訪れるということもありますので、従来にも増して話題性があり、波及効果が大きいと考えて企画したものでございます。思い切って新しい場所にチャレンジしてみようと考えた次第でございます。  イベントの内容といたしましては、4月13日から24日までの12日間、新丸ビル7階の全フロアを使いまして、すべての飲食店8店でしゅんのホタルイカやとやまポークなどの富山の食材を使ったオリジナルのメニューを考案して提供していただくほか、回廊式のフロアをチューリップで装飾しましたり、富山の食と観光のセミナーを開催するなど、新しい企画を準備し、富山の食のファンを増やすとともに、春の観光への誘客につなげていきたいと考えております。 31 矢後委員 思い切った新しい政策の次に、古くて歴史のある政策についてお伺いをします。  「銀座みゆき通りフラワーカーペット」は、ことしで24回目になるそうです。銀座みゆき通り美化会と富山県の共催で行っていらっしゃるということです。銀座みゆき通り美化会の皆さんには、四半世紀にわたり富山県のこういうイベントに御理解をいただいたことで感謝を申し上げなきゃいかんと思いますし、銀座みゆき通りというのは、江戸時代における参勤交代の大名が行き交った道だそうです。明治天皇が築地の海軍兵学寮や海軍省、また浜離宮などへ行幸の際に通られた道ということで、東京の中でも格式の高い道ということで有名だそうであります。これまで、「銀座みゆき通りフラワーカーペット」を本県が特にやらせていただいているわけですが、首都圏の方々はこの23回に対して、どのような評価を与えてくださっており、ことし24回目になりますが、どういう決意で臨まれるのか、農林水産部長にお伺いをいたします。 32 寺井農林水産部長 当フラワーカーペットにつきましては、由緒ある銀座みゆき通りの商店街と富山県が共催して実施しているものでございますが、県が提供しましたチューリップの花びら120万枚や立山杉の葉を使いまして、300メートルの車道に16枚の大きな絵を描くものでございます。毎年、休日の4月29日に開催しております。ことしで24回を数えますが、東京では銀座の春を彩るイベントとして広く知られておりまして、毎年約5万人の方に見ていただいております。当日は、朝から地元の約350名のボランティアの方が図案を見ながら、懸命にフラワーカーペットをつくられまして、色鮮やかにでき上がりますこの姿は、大変感動的で、美しいまちづくりのモデルとして高く評価されているものでございます。  本県としましても、富山県の魅力やチューリップをPRする絶好の機会ととらえまして、フラワーカーペットへの協力に加え、立体のフラワータワーの設置や特産大使によります切り花の配布、観光、特産品のパネル展示などを行っております。  ことしは、これらに加えまして、4月上旬から街路灯に「とやまのチューリップ」のデザインと文字を入れましたフラッグを掲示いたしますとともに、通りに面しました50の店舗において、「とやまのチューリップ」と書いた花器で切り花を展示することにいたしております。これまで24年間、銀座みゆき通りの皆さんの熱意によって支えられておりますが、都心で富山県の魅力を発信できるイベントとして今後とも末永く継続されますように、支援協力していきたいと考えております。 33 矢後委員 この問題の最後に、知事にお伺いいたします。  来月、丸の内、銀座と東京で連発して富山県の農山漁村の産物をPRされる事業をされるということで、大変に勇気の要る取り組みだったんじゃないかなと思います。東京の方は目も肥えていらっしゃいますし、各都道府県が一生懸命そこへPR、セールス合戦しているわけですから、やっぱり高い評価を得なければ、富山県にとって他県におくれをとってしまうというリスクも抱えた挑戦じゃないかなと思います。何としても成功していただきたいと思うんですが、県としてどのような準備をしているのか、また覚悟のほどをちょっと披瀝していただけたらありがたいと思います。 34 石井知事 今お話しのとおり、従来からやっておりますみゆき通りのイベントに加えまして、ことしは新たに新丸ビルでもイベントをやろうということなんですが、これは新丸ビル側からお誘いがあったのがきっかけで、というのは、さっき部長が申し上げたとおりで、ただ、私から申し上げて恐縮なんですが、最近東京で、なかなか富山県が元気だなというイメージが出てきているように思うんですね。そのきっかけは山手線の車体広告で、あれも自治体として初めてああいうことを始めたわけですし、また一例を挙げますと、いきいき富山館も、平成16年ごろは売り上げを平均すると、大体1日13万円ぐらいだったんです。10万円売り上げがあると「まあ、よかったな」と。それが売り場面積を2倍にして、売り上げが2倍になったのが2年ほど前です。その後、また頑張って、今は4倍ぐらいで、大体1日40万から50万円売れている。昨年の28日、29日の2日間は、実に売り上げが1日200万円を超したということでありまして、そういうことが何となく伝わって、やるんなら富山県に声をかけようかと、こういうふうになってきているようにも私は思っております。  そこで、今部長からお話を申し上げましたように、「銀座みゆき通りフラワーカッペット」につきましては、地元の協力もありまして、ことしで24回目ということで定着しているイベントでありますから、これはさらに内容が充実するように努力していきたいと思いますし、また新たに企画した「キトキトとやまフェアin丸の内」の会場となります新丸ビルの7階フロアは午前11時から翌朝の4時まで営業していまして、若い人などが飲食に1日3,000人以上訪れる非常に注目度の高いスポットであります。期間中は、この7階フロアすべての飲食店──これはいろんなお店が8店舗ありますが、その飲食店で県産食材を使ったメニューを提供いただくことになっております。実は昨日、実際に食材を調査して料理のイメージを膨らませるため、お店の方々が来県されまして、大変意欲的に準備いただいております。  今までは三重県と鳥取県がやっているようですけれども、今回初めて昼ランチにも富山の食材を使ってもらいまして、例えば主なメニューとしては、ホタルイカと白エビの塩チャーハンとか、氷見うどんのナポリタンとか、ニギスの炊き込み御飯とか、聞いていると、私も食べたいなと思うような、なかなか意欲的なメニューが非常にそろっているんですね。  また、より多くの方々に御来場いただけるように、3月中は首都圏の300社のマスコミにイベント情報を配信しますとともに、開催初日には、とやま特産大使がチューリップの花束を持って都内の新聞社やテレビ局を訪問し、番組に出演するなどして広くPRすることにしております。  私もこれまで富山をアピールする重要なイベントには、できるだけ自分で出るようにしておりまして、直接富山県のよさをメディア関係者などにも訴えかけてきました。今回も出席させていただこうと思っていますが、ちょうどこの間、室井滋さんとお会いする機会もありましたので、ぜひこのオープニングレセプションに、今NHKの朝ドラマで一層人気が出ていらっしゃる室井滋さんに出ていただくことにしておりまして、そこでトークショーをお願いすることにしております。  最近、室井滋さんは……。 35 杉本委員長 知事、持ち時間が少なくなっておりますので、簡潔にお願いします。 36 石井知事 大いにこのイベントを盛り上げたいと思いますので、よろしくお願いします。ぜひ委員の皆さんにも御参加賜ればありがたいと思います。 37 杉本委員長 以上をもちまして、矢後委員の質疑は終了いたしました。        柴田陽子委員の質疑及び答弁 38 杉本委員長 柴田委員。あなたの持ち時間は60分であります。 39 柴田委員 ただいま予算特別委員会の質問をさせていただきますけれども、ちょっと風邪ぎみで声が出ませんので、聞きにくいところもあると思います。なるべくよく聞いていただいて答弁していただきたいと思います。  今回の私の質問は、高齢者福祉と子ども手当についてのみ集中させていただきます。  まず初めに、昨年の10月から介護従事者の賃金改正について1万5,000円の改善──これは国がそういうふうな形をとっておられるんですけれども、この介護職員処遇改善等臨時特例交付金により賃金改善がされた介護従事者は県内で何人ほどおられるのかということをまずお聞きします。厚生部長。 40 飯田厚生部長 介護職員の改善の交付金につきましては、本年1月31日現在、715の介護サービス事業所から申請がなされておりまして、3月に支払われる予定の交付金、これは約1億2,000万円となっているところでございます。そういうことで、職員1人当たり、1万5,000円の賃金改正がなされると仮定をいたしますと、常勤換算で8,086人の賃金が改善されるものと推計されるところでございます。  ただ、国におきましては、すべての事業者が処遇改善交付金を活用されますよう、事業者の事務負担をできるだけ軽減するという趣旨から、交付金の申請においては、処遇改善を行う職員数は必要記載事項ではなく、任意の記載事項とされております。また、県独自の判断で記載する事項を追加したり、添付資料を求めるということのないよう、県に対しても国から要請も来ているところでございます。  このようなことから、現段階でこの交付金により賃金が改善される介護職員の人数を正確に把握することが困難でございまして、先ほどのように推計をさせていただいたところでございます。  ただ、現在提出されている計画書に人数の記載がある事業所の集計をいたしますと、申請事業所715のうち480の事業所にこの記載がございます。ただ、これにつきましても、常勤換算という計算でございまして、それを積み上げますと、480事業所で5,632人となっております。  交付金を受けた各事業所につきましては、本年の5月末までに実績報告書を提出することとなっておりまして、この実績報告書では、介護職員数や1人当たりの賃金改善額等を記載することになっております。  このようなことから、県ではこの実績報告書の審査を通じまして、介護職員の賃金改善の実態等について把握したいと考えているところでございます。 41 柴田委員 この賃金改善の予算なんですけれども、大変不透明といいますか、今の部長の答弁を聞いておりましても、なかなか本当に各介護職員の賃金改善に当てられているかどうかということがわからない。例えば訪問介護とか訪問リハビリは、この賃金改善の対象外になっているんですよね。それと、この給料に対するパーセンテージで決まるわけなんですね。ですから、賃金改善がなされる介護従事者がどういう範囲でどれだけの数がおられるかということを、県もきちっと把握しておかなきゃいけないんではないかと思うんです。  それで、2番目の質問になりますけれども、正規の職員、きっと計画策定されるときは、登録された正規の職員はもちろん計画書の中には入っていると思うんですが、非常勤とかパートも施設の中にはたくさんおられるんです。その割合というものをどこまで把握しておられるのか、お聞きします。 42 飯田厚生部長 本県におきます介護職員でございますが、厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査によりますと──これは平成19年10月現在でございますけれども、常勤換算で8,942名となっておりまして、先ほどの賃金改善の推計人数の8,086人という人数をこの人数で割ってみますと、ちょうど90%ということになっております。正確に言いますと、90.4%ということでございます。  なお、この8,942人のうち、常勤の方の割合、構成比ですが、82.1%、それから非常勤の方の──これも常勤換算ということになっていまして、構成比が17.9%となっております。  ただ、先ほども申し上げましたが、現在提出されている介護職員処遇改善計画書に人数の記載のある事業所は、私ども一つ一つ確認させていただいたんですが、715の申請のうち480事業所でございまして、その数字を足し上げますと、5,632人となっておるところでございます。その480のいずれの事業所から出ている計画書を見ましても、記載する必要がないということもございましてか、正規、非正規別の人数を記載しているものは出されていないということでございます。また先ほども申し上げたとおり、交付金を受けた各事業所につきましては、本年5月末までに実績報告書を提出することになっておりますが、この実績報告書におきましても、正規、非正規別の職員数の記載については、国のほうでも求められていないというふうになっておるところでございます。  先ほども申し上げましたけれども、この理由につきましては、すべての事業所が処遇改善交付金を活用できますよう、事業者の事務負担をできるだけ軽減するといった趣旨からのものであるということでございまして、その点、御理解をいただきたいと思っております。 43 柴田委員 私のほうで別に理解しなくてもいいんですけれども、一応この1万5,000円という賃金改善のお金は、やはり介護職員や福祉に関連する職員の皆さんの労働条件を考えての賃金改善の予算だと思うんですよ。それは報告しなくてもいいとか、どこでどうなっているとか、県が全然把握していないということはおかしいんであって、さっき言いましたように、もらえる部署ともらえない部署があるんですよ、施設の中でも。今言った訪問介護とかリハビリは対象外になっていますし、そしてまた、施設で調整していくわけですよね、これは。もらった賃金改善の予算を施設で調整していって、その中で采配するわけですから、どれだけ職員の皆さんの賃金改善に当たっているかということは、やっぱり把握しなきゃいけないんじゃないでしょうか、厚生部長。 44 飯田厚生部長 先ほども申しましたが、国におきましては、ともかくすべての事業者の方がこの交付金を活用されるということを考えておりまして、申請の段階では、事業者の事務負担をできるだけ軽減するという趣旨から、こういった処遇改善を行う職員数等については記載事項というふうに定められておりませんで、任意の記載ということで、それにつきましては、何度も申し上げますが、今のところ715の事業所から申請が来ており、うち480の事業所では人数まで書かれているところでございます。  この点につきましては、実績報告書に、介護職員数、また1人当たりの賃金改善数を記載することにされておりますので、その段階で私どもが審査等を通じまして、ちょっと後になるかもしれませんが、実態について把握をしたいと思っております。 45 柴田委員 厚生部長の今のお話を聞いておりましたら、これからそういうような形をとっていただけるということですよね。  質問の5番目をやらせていただきますけれども、この賃金改善計画をまだ策定していない施設がありますよね。それは82%でしょうか、今言われたのは。 46 飯田厚生部長 恐らく申請をされている事業所の割合ということだと思います。一応、1月31日時点でございますけれども、交付金の対象となる852の介護サービス事業所がございますが、そのうち715事業所ということでございますので、84%ということになっております。 47 柴田委員 じゃ、その介護改善計画を策定していない施設の介護従事者は、今の時点では賃金が上がらないということになりますよね。そういう施設に対して、今後どういうような方向で支援して、計画の策定につなげていかれるのか、県としての方向性を聞かせていただきます。 48 飯田厚生部長 県では、これまでも制度の周知に努め、この制度の活用を積極的に働きかけてきたところでございまして、今ほど申し上げましたとおり、平成21年度の交付申請の期限でございます1月31日時点で、84%の事業所から交付金の申請がなされているところでございます。  ちなみに、これは全国の数字も実は出ておりまして、全国的には平均は80%と、本県が上のほうから数えますと、9番目になっているというようなデータも一応は出ていると聞いております。  県におきましては、この申請率の向上を図るために、申請をされていない事業所すべてに文書で申請を働きかけしてきたところでございますし、そのときに、申請をしない理由についてアンケートも実施させていただいたところでございます。  その結果を見ますと、一時的な措置であるといったこと、それから対象職員が介護職員に限定されているといったこと、また事務作業が煩雑であるといったようなことなどの理由によりまして、どうもこの活用をちゅうちょしているといった事業所が見受けられるところでございます。  このようなことから、県といたしましては、県の社会保険労務士会と連携をいたしまして、県内の4ブロックで巡回の相談会を開催し、交付金の事務手続とか処遇改善の方法等々につきまして、事業者の方に助言をするなど、制度の周知徹底でございますとか、計画策定の支援に努めてきているところでございます。  今後も、申請していない事業所に対しまして、働きかけを行い、できるだけ多くの事業所がこの制度を活用されますよう努めてまいりたいと考えております。 49 柴田委員 今の質問の最後になりますけれども、知事にお聞きします。  私、今回、なぜこの介護従事者の賃金改善についての質問をするかというと、私自身が老人介護をしておる立場で、施設は幾つも回ってきました。そして、その中で言われるのは、やっぱり労働条件と賃金に対する介護従事者の皆さんの声がよく聞かれるわけです。施設によって、賃金体制も全く違いますし労働条件も違うわけです。そういう意味で、介護従事者の賃金が比較的低い水準にあるということで、介護従事者や福祉に関する職員を富山県でも増やしていくときには──今から超高齢社会になりますよね。もう富山県でも4人に1人以上が65歳以上という状況になっている中で、介護や福祉に携わる職員の皆さんの労働条件なり賃金水準というのは、県としても一定のものを確保しなければならないと思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。 50 石井知事 高齢化の進展に伴いまして、お話のように、介護人材の確保のためには、やはり処遇改善ということも大事な課題だと思います。  昨年4月に、介護報酬が3%引き上げられたわけですが、今までもいろいろ議論がありましたように、国の調査によれば、報酬引き上げ後、介護職員の月額給与は平均で8,790円の増額、単純に計算すると、4.6%上がったような計算にもなるわけです。県としても新設された加算措置の適用などを働きかけてきたところでありますが、御存じのとおり、この改定は一律に報酬を引き上げるものではなくて、サービス提供体制強化に対する加算などが中心になっていますので、県内では約4割の事業所で賃金アップにつながっていないという調査結果──これは昨年6月の県社協の調査ですけれども、そういう結果も出ております。  こうしたことから、国においては、昨年の経済危機対策として、1人月額1.5万円の賃金改善を目指す介護職員処遇改善交付金制度が盛り込まれました。  県としましても、昨年6月に基金を設置して、各事業者に積極的に活用いただくように周知徹底を図ってきたところであります。その結果、ことしの1月末の時点では、約8割の事業所から交付金の申請がなされているということがわかっております。今後とも、より一層この制度の活用が図られますように、申請をまだしていない事業所への働きかけとか、交付金の事務手続に関する巡回相談会の開催などをしまして、周知徹底に努めたいと思います。  ただ、問題は、この交付金制度はまさに御案内のとおり、23年度までを期間としている一時的な措置でありますことなどから、活用をためらっている事業所もいまだ見受けられるところでございます。  そこで、この制度の継続や対象職員の拡大などを図る必要があるということで、私自身が昨年9月末、全国知事会を代表する形で直接、長妻厚生労働大臣にお話をさせていただいてきました。長妻大臣は、昨年の11月時点で「24年度以降においても、介護職員の処遇改善に取り組むという考え方を持っております」といったようなことを表明されておりますので、しっかり対応していただくことを期待したいと思います。  また、先月10日には、かねて富山型デイサービスについて、なかなか加算対象にしてもらえないという話を伺いました。そこで、現場の状況も改めて確認した上で、一般の障害者福祉サービス指定事業所と同様の加算適用を富山型デイサービスについてもしてほしいということで、この間、厚生労働省で──本当は政務三役にお目にかかろうと思ったんですけれども、どうしても国会審議でだめだということで、水田事務次官に──実務はこの方のほうが一番詳しいとは思いますけれども、じかに詳しくお話をしてまいりました。  介護職員の処遇改善は、介護人材の確保に寄与する重要な施策ですから、これからも制度の継続、また対象範囲の拡大、実態に即した介護報酬の充実が図られますように、引き続き国に対して積極的に働きかけをしてまいりたい、こういうふうに思っております。 51 柴田委員 1点、厚生部長にちょっと質問させていただきたいんですが、よろしいでしょうか。  先ほどからの質問で、今後、賃金改善も同じ介護職員であったり、同じ福祉に従事する職員であっても、部署部署で格差が出てくるということで、それを今からまた調査されるというような答弁をされましたよね。ですから、ちょっと聞きたいんですけれども、今国は、従事者に対して各都道府県における登録制ということを言っていますよね。情報を報告せよと。キャリアパス要件、それについては、今何か検討しておられますか。 52 飯田厚生部長 この賃金改善の対象となる介護従事者の点についてとキャリアパスのことと2つお答えをしたいと思いますが、委員が先ほども御質問の中でちょっと触れておられましたが、この介護職員処遇改善交付金制度につきましては、これは御存じのとおり、介護職員の賃金水準が他の職種に比べて低いということなどから、賃金の改善を図る、より一層進めようという目的で実施をされているものでございます。  このようなことから、交付金の対象となります職員は、国の介護職員処遇改善交付金事業実施要領によりまして、訪問介護者や介護職員等──これは明記されておるところでございますが、制度上、介護業務に従事していれば、どんな形態でも一応対象にはなるというふうな格好にされております。  先ほどちょっと委員からも話があったんですが、例えば当直をやっている、やっていないというような観点で、当直をしていなければ対象になる、ならないというようなことはございません。当直をしていなくても、きちんと介護業務に従事していれば対象になる。例えば看護師さんであっても、介護業務に従事していれば対象になるというように、その業務のほうに着眼されております。  ただ、この賃金改善の方法につきましては、制度上、事業所の判断で決定することができるということで、やっぱり事業所によっては当直とか夜勤など負担の大きい職員について、重点的に賃金改善を行うことも可能であるとされておるところでございます。  県としましては、やはりこういった制度の趣旨を勘案しますと、できるだけ多くの介護職員の賃金が改善されるようにしていただきたいと考えております。これまでも説明会の場などにおきまして、その周知の徹底を図ってきておるところでございますし、今後も新年度におきます説明会であったり、先ほども申し上げました実績報告書の審査をしなさいということになっておりますので、そういった場などにおきまして、各事業者等に働きかけてまいりたいと考えております。  それから、キャリアパスの点につきましては、今は検討中ということでございますので、私どももその状況を見守っているところでございます。今後そういったものがはっきりしてくれば、作業に入りたいと思っております。  以上であります。 53 柴田委員 国の方針もどんどん変わっていきます。このキャリアパスも、私は初めて聞きました。そういう形で登録して、きちっとした数を国が把握するということを各都道府県に周知してあるというような情報を聞きましたので、富山県はどうしておられるのかなと思って、ちょっと聞いたみただけなんですけれども、じゃ次の質問に入ります。  次は、子ども手当についてお聞きします。  また厚生部長で申しわけないんですけれども、今子ども手当が1万3,000円ですね。それで、私が一番気になったのは、児童手当は家庭の子供たちを扶養するための児童手当であって、子ども手当というのは、子供全体に当たる一人一人の手当ということでなったんですが、今、富山県内に3つの養護施設がありますね。富山、高岡、ルンビニ園と3つあるんですけど、その中で、まず数を聞きたいんです。その養護施設におられる子ども手当の対象になる子供さんの数。 54 飯田厚生部長 県内3施設ございまして、富山市立愛育園、ルンビニ園、高岡愛育園ということでございまして、現在その3施設で173名の方に御利用いただいております。  そして、うち中学生以下が対象になりますので、その人数につきましては、私のほうが把握している数字ですと、157名ということでございます。 55 柴田委員 その157名の対象になる子供さんのうち、本当に保護者がいない、例えば両親がいない子供というのは何人おられるんですか。 56 飯田厚生部長 その数字につきましては、3施設だけでの把握ではなくて、その他富山学園、乳児院、それから里親の委託といったような方もおられますので、入所児童等に親がいないという方については、全部で15人でないかというふうに把握しております。 57 柴田委員 本当に実質親御さんがおられない子供さんが、そのうちの15人。その子ども手当というのは、施設に行くわけですよね。 58 飯田厚生部長 子ども手当の取り扱いについて、ちょっとここで整理をさせていただきたいと思います。  児童養護施設などに入所をしている児童に対する子ども手当の支給ということでございますけれども、まず入所児童に親がいる場合につきましては、入所後も親が生活に必要な物品等を送付するなど、子供を監護し、かつ生計を同じくしていると認められれば──この認めるというのは、市町村のほうで認定することになりますけれども、認められれば、その親に対し支給されるということにまずなっております。  それから次に、入所児童に親がいないというような場合、これが今15人のケースでございますけれども、公費で養育費が支給されておりますことから、手当支給の対象外とされているところでございます。  ただ、しかしながら、この次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援するというのが子ども手当の趣旨でございますが、この趣旨から、国では、入所児童に親がいないという場合におきましても、子ども手当の恩恵が行き渡るべきとの考えがございまして、平成22年度の支給分につきましては、県のほうに安心こども基金というのを設置しておるんですが、それを活用して子ども手当相当額を施設に補助することを検討しておるというふうに私どもは聞いているところでございます。  それで、この場合は、施設側ではいわゆるこの補助金が流れてくるわけでございますので、この補助金を使用して、子供の学用品等を購入することになると考えております。 59 柴田委員 今ほど厚生部長が答弁されたとおりなんですね。子ども手当の支給要件というのは、まず子供を監護し、まず生計を同じくする父または母に子ども手当というのは行くんですね。施設におられる子供さんに関しては、今はその子ども手当という予算は立てられないので、基金として対応するということになっています。  ただ、私が言いたいのは、今言う157人ですか、そのうちの15人は両親がいない子供さん、あとは虐待とかいろんな形で法律的にそういう施設に入っている子供さん、そういう子供さんの分は親のほうに行くんですよね。だから、私、それをちょっと指摘したかったんです。育児できない人の子供が施設に入れられる、その親のほうに子ども手当が行くということ自体、やはり私はおかしいと思うんですよ。それは、やっぱり養育しているところに行くべきではないかと思うんですが、厚生部長の見解をお伺いいたします。 60 飯田厚生部長 委員もよく御存じのところかと思いますが、子供を監護し、かつ生計を同じくしていると市町村で認められれば、その親に対して支給されることになっておりまして、それを裏返しますと、監護を全く行わない親には子ども手当は支給されないということになるんですが、そういった親に対しては、適切な監護が行われるよう、措置機関である児童相談所でございますとか、市町村のほうで啓発、そしてまた普及に努めることとされておるところでございます。 61 柴田委員 今テレビなんかでも、よく幼児虐待とか児童虐待のニュースが流れておりますけれども、だんだんそういう子供たちも増えてくると思うんです。私が何でこういうことを言うかといいますと、栃木県の養護施設の所長さんが、そこには43人の子供が入所しているんですよ。今までその43人の子供の児童手当が全部保護者のほうに行っているわけです、その施設に行かないで。だから、その養護施設の所長さんはどう言われるかというと、育児放棄している保護者のほうに行っている児童手当の分がこの施設に来れば、その43人の子供たちのための福祉指導員とか、そういう人を3人雇えると。だから、子供の育児をしない親のほうに児童手当が行っていて、施設には全く児童手当が来ない。今度の子ども手当も児童手当と一緒になるんじゃないかという意見がありました。  結局、監護といいますか、子供を育てることのできない親のほうに子ども手当が行って、実際、施設で子供たちを養育しているところには行かないというのはおかしいということです。今、厚生部長は市町村と言われましたけれども、そういう国の制度も今どんどん変わってきますけれども、やっぱりそういうところもきちっと見ていかないと私はいけないと思うんです。それに対して、厚生部長、どうですか。 62 飯田厚生部長 22年度の取り扱いについては、恐らくこういった暫定的な措置で行われるのかなということでございまして、本当に監護を全く行わない親に対しては、もう子ども手当は支給されないといったようなことでございます。私どものほうで聞いておる限りでは、そういった親に対しては適切な監護が行われるよう啓発普及に努めるということと、それから23年度以降の取り扱いについては、子ども手当制度のあり方の検討の中で、子ども手当の恩恵が行き渡るような対応を検討していくと聞いております。3月10日に、子ども手当支給法案の附則の中に、児童養護施設の入所者など支給対象になっていない子供への支給を検討することを明記するということで、与党3党での合意ができたと聞いております。こういったことで、そういった適切でないような取り扱いがこのへんできちんと整理していただければなと思っているところでございます。 63 柴田委員 それは私もよく知っているんですけれども、だからそのお金の行き先がちょっと心配だから、聞いただけなんです。  次の質問をさせていただきます。  高齢者問題についてなんですけれども、さきの代表質問で上田議員のほうからありました質問の中で、老老介護とか認認介護とか独居老人とか、そういう質問があったときに、私も答弁を聞いておりました。  実際に最近、独居老人世帯の孤独死というのが大変問題になっています。それで、厚生労働省の調査を見ましたら、独居老人の急速な伸びも言われております。そういう意味で、少子高齢化が加速する中で、ひとり暮らしの高齢者の世帯が今後も急増することは、まず間違いないです。特に富山県も核家族化が進んでおりますし、その中での孤独死というのか、そういう問題もこれから起こると思っておりますけれども、富山県においてのひとり暮らし、独居老人の孤独死について、県としてどれだけ把握しておられるのか、厚生部長にお伺いいたします。 64 飯田厚生部長 孤独死、厚生労働省のほうでは「孤立死」といったような格好で表現をされているようでございますので、私のほうでは「孤立死」という格好で御答弁をさせていただきたいと思います。  孤立死につきましては、国でも定義がなされていないというようなことでございまして、孤立死の件数についても、統計的な把握はされていないという状況でございます。  このようなことから、県におきましても、孤立死の具体的な件数については、把握することができませんが、若干なりとも関連していると思われる統計的な数値をちょっと調べてみますと、1つには、65歳以上のひとり暮らし高齢者の死亡で、警察のほうで検視が行われた件数というのがわかっておりまして、平成21年で135件となっております。  なおまた、平成20年の人口動態統計の中を見ていきますと、自殺者のうち65歳以上の高齢者の方の数字が出ておりまして、これは102名になっているということでございます。こういったデータもあることはございますが、孤立死の具体的な件数と言われると、把握することは今のところはできないというところでございます。 65 柴田委員 今言われたデータが出ただけでも、まだ進んでいると思うんですよ。部長言われた孤立死ですか、孤独死じゃなくて孤立死と言われましたけれども、これまで、そのデータがなかなか出てこなかったんです。今、警察庁と厚生労働省との数字でも、またかみ合ってないわけです。
     それで、今、療養型の病床がどんどん減らされていく中で、70歳以上の入院患者が家庭に戻される。例えば医療行為とか、体にチューブをつけたままでも家庭に戻される。その介護をだれがするかというと、家族がしなきゃいけない。家族ができない。その家族がするためには、仕事をやめなきゃいけない。食べていけない。そういうことで、自分の母親を殺害するような事件も、この間幾つもありましたよね。  ですから、私が言っているのは、在宅で孤立死というのか、変死というのか、発見される数というのは、この10年間で全国で倍増しているわけです。結局、平成9年で9万4,000人ほどあったんですよ。それが平成19年で15万5,000人まで増えているんです。そういう社会状況の中ですから、その中で事故とか事件性のあるものもありますし、今、厚生部長が言われたように、自殺というのも3万件です。でも、ほとんどがやっぱり孤立死なんですよ。事件とか事故性のあるものは1割ほどしかないんですね。ですから、県としても、さっき言いましたように、もう既に富山県も65歳以上の人が4分の1という高齢県になっているわけですから、そういう対応というのは必要じゃないかと思うんですけれども、それについて、厚生部長、ちょっとお伺いいたします。 66 飯田厚生部長 こういった孤立死というのが非常に話題になっているというようなこともございまして、国におきましては、平成19年度に孤立死ゼロ・プロジェクトというのを発足させまして、高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議というのを開催をされて、その中で提言を取りまとめられるとともに、孤立死を防止する地域の活動に対して──現在のところはまだちょっとモデル的な格好でございますが、支援を行っているところでございます。  この件ですが、本県でも南砺市が国の支援を受けて、井波地区など4地区において、ひとり暮らしの高齢者等の把握でしたり、見守りなど、安心して生活が送られるよう、地域支援ネットワークの構築に向けた取り組みが行われているところでございます。  孤立死については、高齢者の孤立化を防ぐことがまず重要であるということでございますので、県におきましても、高齢者等に対する見守り活動、例えばふれあいコミュニティ・ケアネット21の活用であったり、老人クラブにおける、ひとり高齢者等への訪問支援といったような、そういったことへの支援などに取り組んできているところでございますが、今後とも市町村と連携をしながら、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせる地域づくりに引き続き努めてまいりたいと考えております。 67 柴田委員 私が今ほど質問しましたこのデータというのは、国が、警察庁が各都道府県に調査を依頼して出たデータなんですね。ですから、これは今まではこういうデータというのは出ていなかったはずなんですよ。孤立死というのか、そういうデータというのは出ていなかったですし、そのうちのどれだけが事故で事件で自殺で、どれだけが家族にみとられることもなく亡くなられたとか、そういうデータというのは出ていなかったんです。それを今、国、警察庁のほうが各都道府県に調査依頼して出していただいたデータだと思うんです。ただ、さっき言いましたように、その数と厚生労働省の数はまた違うわけです。ですから、私が言いたいのは、超高齢社会に向けて、国とかそういうのに頼るんじゃなくて、県としてやっぱりきちっとした各地域での調査は必要だと思います。  私は、聞き取りのときにこれをいただきました。「広がれケアネット活動」というのもつくられております。この中にあるのはどういう組織かというと、隣人、友人、町内会役員、新聞配達員、郵便配達等、民生委員、福祉推進員、老人クラブ員、ボランティア。何かいっぱい書いてあるんですけれども、私、ここの中の福祉推進員なんですよ。福祉推進員になっていて、1人の高齢者の見守りをしているんですけれども、新聞配達員とか郵便配達員の人たちとの話はほとんどないです。じゃ、こういうのをつくって、どこが中心になって、どういうような組織になっているのか、ちょっとよくわからないわけですよ。ですから、こういう立派なパンフレットをつくられても、やっぱり活用していただかないといけないとは思うんですが、厚生部長、これはどういうような組織なんですか。 68 飯田厚生部長 恐らくケアネットの関係のパンフレットではないかと思いますが、県の助成に基づき各市町村のほうで、小学校単位あたりを一つの地域にしまして、その中で幾つかのグループに、そういった高齢者の方、ひとり暮らしの方等の見守りとか声かけとか、そういったことを、やっていただくというような格好でお願いをしている事業ではないかなと思っております。 69 柴田委員 プロジェクトとか協議会とかたくさんつくられるのはいいんですけど、結局、機能しなければ何にもならないわけで、福祉推進員というのは、年間5,000円当たるんですよね。年間5,000円もらって、ひとり暮らしの家庭に毎日新聞入っているかどうか、生きておられるかどうかということを調べに行くわけですよね。ですから、郵便配達とか新聞配達も全部入っておるがやったら、やっぱりそういうネットワークをきちっとつくらないといけないと思うんです。これは要望ですから、これ以上言いません。  次の質問に移ります。  ひとり暮らしの高齢者の家庭も問題なんですが、今一番問題になっているのは、老老介護とか認認介護です。核家族が増えている中で、高齢者だけの世帯、例えば夫婦ともに75とか80過ぎた世帯が今増えてきています。そういうところには、結局、例えば民生委員とか福祉活動員というのは目が行っていないんですよね。今ひとり暮らしの高齢者が対象になっています。例えばそういう老老世帯、認認世帯の実態の把握をどうしておられるのかということをお聞きします。 70 飯田厚生部長 まず少し古いデータになりますが、平成17年の国勢調査の数字でございますけれども、本県のひとり暮らし高齢者は2万5,255世帯、それから高齢者夫婦のみの世帯、これにつきましては3万4,286世帯となっております。  それから、平成21年12月に国立社会保障・人口問題研究所というところから公表されているもので、日本の世帯数の将来推計というデータがございます。これは都道府県別に推計をしておりまして、この推計によりますと、2010年の本県のひとり暮らし高齢者は3万554世帯、高齢者夫婦のみの世帯は4万392世帯と推計をされております。  また、高齢者のひとり暮らし世帯で何らかの見守りであったり、緊急時の支援等が必要な世帯について、これは市町村のほうで把握している世帯数を私どものほうで照会をいたしましたところ、その合計でございますが、平成21年度で約1万5,900世帯となっているところでございます。 71 柴田委員 だんだん増えてきますよね、部長。  最後の質問にさせていただきますけれども、民生・児童委員のことについて、最後に1点お聞きしたいんですけれども、民生・児童委員というのは、まずこの制度の始まりは大正6年なんですよね。大正6年に、当時の大正天皇が日本の国に貧困家庭がどれだけあるかを調査せよということで、調査した結果、貧困家庭が大変多いということで、そこから始まって、どんどん制度が変わっていきまして、昭和23年に民生委員というのになりまして、今度、民生・児童委員になりました。その数が結局もう定着しているわけです。  今、民生・児童委員の定義がありまして、何百軒に1人とかといって、数字もいただきましたけれども、この民生・児童委員の仕事というのは、今はもう揺りかごから墓場までなんですよ。地域における幼児虐待から、そして障害者が今からどんどん地域に戻ってきたときの障害者の把握から、今の高齢者問題についても、7つほどの報告とか職務とか事業とかがあるんですね。民生・児童委員のやらなきゃいけないことが。  例えば高岡ですと、本当に373人ですか、民生・児童委員がおられますけれども、民生・児童委員の職務というのは、もう限りなく多くなってきている。昔と違って、社会状況がどんどん変わってきている中で、私は民生・児童委員だけにこういうものを頼ることがもうできない状況になっているんじゃないかと。だから、さっきのパンフレットにありましたような、こういうケアネットみたいなものをきちっと立ち上げないと、なかなか民生・児童委員だけの仕事で、子供たちから、障害者から、高齢者までの対応はし切れないと、そういうことを私は今痛感しました。  さっき言いましたが、私は福祉推進委員をやっておりまして、電話がかかってくるわけですよ、その民生委員の方から。電話がつながらないんですけれども、見に行ってくれないかとか。だからそういうふうに大正から始まったこの制度というのは──これは国ですから、県じゃないですから、言えませんけれども、きちっとした、これからの社会状況に応じたケアができるような組織を立ち上げなきゃいけないんじゃないか。私が聞きましたら、老人クラブの元気なお年寄りがひとり暮らしの人を見守っていると言われるけど、その老人クラブの人も老人なんですよね。ですから、きちっとした組織は必要だと思うんですけれども、知事の見解をお伺いいたします。 72 石井知事 昨年夏に県が調査しました県政世論調査ですと、県民の皆さんの7割以上が介護が必要となった場合でも、自宅や住みなれた地域で生活したいと、こういうふうに望んでいらっしゃるわけでありまして、そういうニーズに備えるためにも、介護サービスの基盤を充実するということと、今お話のように、高齢者の生活をいろんな面で支援する担い手の確保が大事だと思っております。  御指摘のとおりで、民生委員、児童委員の方々には、こうした担い手の中心となって御活躍いただいていますけれども、そうは言っても、やっぱりお一人でできることには限りがあるわけですから、民生委員や児童委員だけでなくて、地域の方々が一体となって高齢者を支えていくことが大切でございます。  そこで、今お話がありましたように、県では小学校区単位で市町村と行政──ちょっと中核市は別なんですけれども、小学校区単位で地域住民がみずからニーズを把握して、見守りとか安否確認とか、買い物代行などを行う、その活動を支援するふれあいコミュニティ・ケアネット21事業というのをやっております。今この事業を全国でやっているのは、富山県を入れて10ぐらいだと思いますけれども、富山県内では年々この活動が拡大しておりまして、20年度では県内177の地区で2,758チームで取り組まれております。これは15年度に比べて12倍以上になります。私も今回改めて他県の様子も調べたんですけれども、1地区、限度額30万円まで支援しているんですが、他県の場合は実施地区数も何地区までとか、頭打ちがあったりしますので、人口当たりで見ると、富山県が一番手厚い仕組みをつくって、また普及率も最も高いと言ってもいいんじゃないかと思っております。  こうしたことにあわせまして、県ではひとり暮らし高齢者の家事援助等を行う老人クラブの訪問活動の積極的支援、ひとり暮らしの見守りを老人クラブがやるといっても、見守る方も老人じゃないかとおっしゃいましたが、65歳以上の方でも、70歳、80歳になってもぴんぴんしている人もたくさんおられますので、そういう方々に御活躍をいただく。また高齢者への手づくり弁当の配達等を行うボランティアの養成を支援するといったようなことにも取り組んでいるわけでございます。  また、介護サービス基盤の充実のために訪問介護など、在宅サービスの充実とか、富山型デイサービス等の整備を進めるといったことで、在宅福祉を推進しております。  それから、新たに22年度からは、在宅医療に取り組む開業医グループを支援する在宅医療支援センター(仮称)に助成をする。また訪問看護のPRとか、相談窓口の機能を担う広域対応訪問看護ネットワークセンター(仮称)を設置して、ここに訪問看護職員を配置しまして、各訪問看護ステーションと連携をとりながら、いろんな助言や技術指導をするといったことに取り組むことにしております。  そのほか、地域において、さっき委員からもお話がありましたが、例えばひとり暮らしのお年寄りについての情報を地域で共有するということが、やっぱり大事でありますから、こうしたことも含めて、地域における情報の共有化や連携を図る市町村で──この場合は児童対策がとりあえず中心ですが、要保護児童対策地域協議会をつくるといったようなことにも取り組んでおります。  御質問は高齢者中心でありますけれども、児童でも児童虐待といったような問題もあります。地域社会が健全な形で御高齢の方も、お子さんも安心して暮らせるような社会の実現を目指しまして、地域ぐるみで支え合う福祉コミュニティづくり、こういうことに心がけてまいりたい。こういうふうに思っております。 73 柴田委員 今の知事の答弁で言われたように、もう地域ぐるみでしか取り組めない問題になってきていると思います。  児童虐待にしても、本来ならもうわかるはずなのにわからない。今、知的障害者や精神障害者も地域に戻って、地域で生活しなきゃいけないというとき、高齢者もそうです。老老といいますか、高齢者だけの世帯がだんだん多くなってきている。  私が何で今回この質問をしたかといいますと、私は自宅に104歳のおばあちゃんを介護しているんですよね。明治38年生まれなんですけど。施設に入ろうと思っても200人待ちなんですよ。200人待っておられるんです。  そうしたら、うちの家庭の事情も知っておられて、優先順位で10番以内に入れるように会議にかけますと言われるんですけど、それまで生きておるかどうかわからんがですよ、104歳だったら。だから、そういう意味で本当にこれからの社会は、超高齢社会になるし、障害者も増えてくる、知的障害者も増えてくる、幼児虐待も児童虐待も増えている、その中でやっぱり地域におけるケアというのは大変重要な課題だと思うんです。公共事業に予算を立てられるのも必要なんですけれども、やはり人間をどう生かしていくかということが大変重要な課題になってくると思いましたので、今回はそれに絞って質問させていただきました。ありがとうございました。 74 杉本委員長 柴田委員の質疑は以上をもって終わりました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会します。                     正午休憩                     午後1時00分開議        大野久芳委員の質疑及び答弁 75 五十嵐副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  大野委員。あなたの持ち時間は60分であります。 76 大野委員 きのう、県立高校の一般入学試験が終了いたしました。受験生はそれぞれに15の春をキャッチしようと必死に頑張ったと思います。受験生の今の心境を私の思いで勝手に俳句で表現するとしたら、次のようなところではないかなというふうに思います。  「壁越えて 未来につなぐ 春の夢」、つまり志望校合格という春の夢を実現し、自分の将来あるいは未来につなげていきたい。ここまでの道のりは遠く、高い壁があったでありましょうが、何とかそれを乗り越えたいというところであります。  同じように、県政にも高い壁を越えなければならない課題が幾つもあるわけでありまして、ただいまから人材育成について少し触れたいと思います。  人材の育成にとりまして、高校教育というのは極めて重要であります。そうした中で、本年4月から始まる高校授業料の実質無償化について、本県私立高校、専修学校の対象校と県による授業料、就学支援金の差額減免への支援の基準と県負担額の見込みについてお伺いをいたします。 77 出口経営管理部長 現在、国会で審議中の法案によりますと、国の就学支援金の対象となりますのは、まだ最終的な方針は確定しておりませんけれども、私立の高校生のほか、専修学校、各種学校のうち文部科学省令で定める高等学校に類する課程を置くものに通う生徒とされております。  県の平成22年度当初予算におきましては、対象校といたしまして、私立高校は全10校、専修学校では、富山県理容美容専門学校の衛生高等課程、富山ファッション・カレッジの服飾・家庭高等課程、富山市医師会看護専門学校の医療高等課程を想定いたしまして、所要額を計上しているところでございます。  なお、これらの学校に通われる生徒でありましても、一たん高等学校に3年在籍した者につきましては、就学支援金の対象とならないとされております。  また、県におきましては、就学支援金制度の創設にあわせまして、これまで実施してまいりました私立高校生に対する授業料減免補助制度を見直すこととしております。  その支援の基準と内容でございますが、まず、現在授業料減免補助を行っておりますが、この対象者の中には、世帯の所得水準によりまして、授業料減免額を下回る額の就学支援金しか支給されないというケースも生じてまいります。このような場合に、現在の授業料減免額と就学支援金の差額に相当する額をまず補助したいと考えております。  次に、生活保護世帯や市町村民税所得割の非課税世帯の生徒に対しましては、学校が就学支援金の額を超えて──これは月額最高1万9,800円でございますけれども、その額を超えて授業料を軽減した場合に、月額9,900円を上限といたしまして、軽減額の全額を県が上乗せ補助したいと考えております。  あわせまして、入学料に関しましても、低所得世帯の生徒に対しまして、学校が公立高校の入学料と同程度となるように減額した場合に、その差額を補助したいと考えております。  これらの事業を行いますために、平成22年度当初予算におきましては、国の就学支援金7億8,877万円と専ら県負担による授業料減免補助8,373万円を合わせまして、総予算額8億7,250万円を計上しているところでございます。  以上でございます。 78 大野委員 次に県立高校の新学科についてであります。  現在の理数科にかえて、仮称というふうに申し上げたほうがいいと思うんですが、「探究科」を設置するというふうにされていますが、確かに現代においては、そのねらいである自然科学あるいは人文・社会科学の専門分野における探求力や課題解決能力等の育成を目指すことは肝要であると私も思います。  一般論としてでありますが、自然科学は自然現象を対象として、普遍的な法則性を見出す学問と言い得ると思います。具体的には物理学あるいは化学、生物学、地学を指しまして、人文学部は哲学あるいは文学、史学、語学などの文化科学を指すのであろう私は思います。さらに、社会科学は経済学、政治学、法律学、社会学、歴史学などの分野を学ぶということになるのであろうと思います。  そこで、知事にお伺いしますが、県立高校の新学科について、そのねらいからしますと、名称は「探究科」ではなくして、むしろ「科学科」あるいは「研究科」としたほうがわかりやすいのではないかと。理数科の志望の現在の状況でありますとか、あるいは入学後の生徒の実態からして、県内すべての理数科を新学科にすべきと思いますが、所見をお伺いしたいと思います。 79 石井知事 県立学校の教育振興計画基本計画におきましては、これからの社会で求められる能力等を育成する県立高等学校教育の一層の充実が必要だとされておりまして、この4月に開設されますものづくりの中核となる総合的な工業科高校などとともに、これまでの理数科の実践等を踏まえた思考力や探究力、表現力などの育成を目標として、自然科学と人文・社会科学の両分野において専門的な研究活動、また発展的な教科の学習に取り組む新しいタイプの学科の設置について提言されております。  一方で、これまで5つの高校に設置されております理数科につきましては、科学技術教育の振興を図る観点から、自然科学や数学に特化した教育を行って、科学的な考え方、また創造力育成の伸長を図る学科として導入されたものであり、各校の実態に応じた独自の取り組みを行って、理工系や医学系の分野に活躍する多くの人材を輩出してきております。  しかしながら、入学後にいろいろ調べてみますと、文系を選択する生徒さんもいらっしゃる。また、年度にもよりますけれども、入学者選抜で募集定員を満たすことができない場合もある。また、同じ高校で併置している普通科のほうが志願倍率が高い学校もあるといったような課題も指摘されているわけでございます。  現在、すべての県立高校において、中長期ビジョンを策定しているところでございますが、理数科設置校においても、こうした課題やまた生徒、保護者、地域のニーズ、卒業後の進路等、さまざまな実情がありますから、そうしたことを踏まえて、各学校、今、中長期ビジョンもそれなりに年々見直しもあることですから、今後そういう中で検討していただきたいと思っております。  新年度、教育委員会におきましては、新学科の23年度開設に向けて検討会を設置しまして、教育内容や学科の規模、配置等の具体的な検討を進めるということにされております。この検討会において、各学校の考え方、構想案を聞きながら、協議検討を急ぎ進めていってほしいと思います。  委員の御提案の新学科の名称やまた配置については、まずは各高校の希望がありますが、県教委に大いに議論して検討してもらいたいと思います。  私は、これからの社会にあっては、探究力とか課題解決能力等を身につけて、自然とか社会の事象の背後、根底にある原理、真理を探究して感得する──感じるということですね。幅広い視野、また物事の実相に迫る直感力、情熱を持つ人材を育てることが大変重要だと思っております。  教育委員会においては、こうした生徒のニーズ、また各学校の実態も十分把握した上で、さすが富山県と言われる質の高い教育を推進する新学科の開設に向けて、着実に準備をして進めていただきたいと期待しております。 80 大野委員 そこで、医療の現場においても、看護師等の人材の育成は急務であります。富山大学の看護学科の定員枠を増員するということに私は全く反対するわけではありませんが、並行してもっと身近なところで看護師を養成するということに力を注いで、県内の各医療圏ごとに安定的に看護師が存在するような体制整備が高校教育においても大切であると思うのであります。これは実際、私のエリアの病院あるいは医院を回ってみますと、異口同音にそのようなことをおっしゃっておられます。  そこで、来年度の高校における志望を見ましても、看護科は2倍を超えるという大変な状況にもなっております。看護師不足のためには、各医療圏ごとに看護師養成科を設けるべきだと思うんですが、教育長、見解をお聞きします。 81 東野教育長 本県の県立高校におきましては、国の制度改正がございまして、平成14年度に富山いずみ高校に5年一貫教育の看護科を設置したのは、議員御案内のとおりでございます。その後、国の基準が厳しくなりまして、医療看護の高度化ということで、必要な専任教員のレベルが上がりました。またこれらに加えまして、医師、看護師の外部講師の確保、長時間にわたります病院実習の義務づけということで、病院、医院にも大変お願いしておりますけれども、いずみ高校は苦慮しているのが現状でございます。  こうしたこともございまして、全国では公立高校に看護師養成学科を設置するのは、現在20道県という状況にあるのも、委員御案内のとおりでございます。  委員から御指摘のとおり、この3月の看護科の一般入学選抜では、志願者倍率が2倍を超えたところでございますが、年度によりまして動きが見られることもございますし、国家試験合格には、相当な勉強、学力が必要だということ、5年間一貫して続けるには大変な進路意識が必要だということで、残念ながら専攻科へ進学するまでに一定数の進路変更が見られるのも事実でございます。県立学校の教育振興基本計画におきましては、看護科について、看護教育へのニーズ、志願状況を勘案して募集定員を維持することが望ましいとも提言されているところでございます。  しかしながら、委員が御指摘のとおり、必要な看護職員の確保というのは大変大切だと考えております。県では、委員も触れられましたけれども、4月から富山大学におきましての定員増、そして平成20年の富山福祉短大の看護科新設など、新たな動きもあるところでございまして、今後、高校の看護科のあり方につきましては、こうした動き、提言の状況、いずみ高校の現状に加えまして、看護養成機関全体も視野に入れながら、いろいろと検討していきたいと思っておるところでございます。 82 大野委員 難しいですね。  よい図書に触れて書物を読むことも、人材育成に通じる重要な側面があります。  翻って、西暦2000年はとやま国体の年でありましたが、同時に「子ども読書年」の年でもありました。以来、翌年2001年になりますが、子ども読書活動推進法、さらには文字・活字文化振興法が2005年に制定をされる中、2008年の6月に活字文化議員連盟の呼びかけで、衆参両院で採択した議決に基づいて設けられたのが本年の国民読書年であることは御承知のとおりであります。  そこで、本県における学校図書蔵書冊数あるいは司書教諭、さらには学校司書に関する基本的なことの実態を明らかにすることを通して、国民読書年の意義を考え、学校図書の充実策について質問いたしたいと思います。  まず、旧文部省が1993年に策定した学校図書館図書標準では、蔵書の冊数を学級数に応じて規定をしているのであります。  具体的に言えば、例えば小学校では、18の学級の場合は、1万360冊、ただしその達成率はどうかといいますと、全国平均で45.2%と半分以下であります。中学校は15学級の場合で1万2,160冊、達成率はどうかといいますと、小学校よりも低くて39.4%という状況であります。これは平成19年度末、つまり20年の春の調査で明らかになっております。これに対して富山県の実態はどうかと比較しますと、平成20年度の調査で見ますと、小学校で標準を100%達成しておる学校は、残念ながら全国よりもはるかに低くて21.3%、中学校でもはるかに全国より低くて26.5%という状況で、いずれも全国よりも低いということであります。  また、本県小中学校の1校当たりの蔵書冊数でありますとか、あるいは基準財政需要額に対する予算措置率は、いずれも全国平均より低いということになっております。全般的に決していい状況ではないので、これらを総合的に認識をした上で、今後の対応策についてお伺いしたいと思います。 83 東野教育長 委員から御紹介がございました文部科学省の平成20年度調査ですけれども、本県の学校図書館図書標準の達成状況は、平成19年度末におきまして、75%以上に達している学校は、小学校では202校中127校、全体に対する割合は62.9%でございます。中学校では83校中59校、71.1%でございます。100%達成している学校は、小学校43校、21.3%、中学校22校、26.5%となっている状況でございます。  国の新しい整備計画が19年から定まったところでございますが、この計画におきましては、蔵書冊数だけではなくて、古くなって読まれない冊数につきまして、廃棄をして新たに更新するという更新の概念と財源措置がなされたところでもございます。  残念ながら、委員からの御指摘の状況もございますが、少しでも今後標準冊数を達成している学校を増やしますとともに、子供たちにはやはり手に取って読みたいと思うような図書環境となりますように、市町村教育委員会とも、働きかけ、話し合ってまいりたいと思っているところでございます。 84 大野委員 あわせて、冒頭に触れましたとおり、小中高それぞれの司書教諭、学校司書の今の設置率についてお伺いしますが、これは、11学級以下は別ですが、12学級以上には必ず司書教諭を置きなさいということになっておりまして、全国を見てみますと、いわゆる12学級以上に司書教諭を置きなさいということのデータを見ますと、全国的には小中高とも95%をクリアする。小学校ではほぼ100%近い。11学級以下になりますと、さすがにそういう強制力がないので、20%前後というふうにぐんと下がっております。  学校の司書については、小学校、中学校で大体40%弱、高校では70%をちょっと超えるという状況になっておりますが、このことについての富山県の状況はどうなのかということと、これからの充実方針についてお伺いしたいと思います。 85 東野教育長 司書教諭につきましては、12学級以上は義務づけでございますので、本県では小中高校ともすべて満たしているところでございます。小中学校におきまして、11学級以下、138校中35%の49校に司書教諭が配置されておりまして、12学級以上と合わせますと193校配置でございます。高校におきましては、11学級以下は16校中14校でございまして、87%、12学級以上を合わせますと46校に配置ということでございます。  学校司書につきましては、特に法的根拠、資格要件はないところでございますが、県、市町村教育委員会の判断によりまして、本県では小中学校282校中268校、設置率95%──21年度の調査でございますが、高校におきましては、48校中44校、92%でございます。全国平均を上回る水準で配置しておるような現状でございます。  平成20年の学習指導要領の改訂の中でも、学校図書館の活用、言語活動の充実というのは強く求められておりますので、今後とも司書教諭資格取得のための講習、あるいは関係の講習会の開催、そして学校図書館協議会のさまざまな活動に対しまして一生懸命支援し、資質向上に努めてまいりたいと考えております。 86 大野委員 教育長、現状もしっかりと明らかにされましたが、司書教諭、それから学校司書等の充実は、学校図書そのものの充実につながるということであります。ことしは国民読書年でありますので、ぜひまた頑張っていただきたいと思います。  次に、元気とやまを創造するためには、スポーツ界のすぐれた人材育成に取り組むことも極めて意義深いということを、さきの冬季オリンピックが教えてくれたと思うのであります。さまざまな形で、知事からもそうですし、先輩議員、同僚議員からも感動の声がありました。本当にすばらしいことだったと思います。  そこで、振り返って2000年とやま国体開催時から今日までの企業のスポーツ部あるいはクラブの休廃部の実態を踏まえて、企業スポーツ再興のために、今改めて考えるときが来たなと思っております。そのスポーツ部、クラブ、あるいは固有の選手を有する企業に対する税制面等の優遇措置などの支援を検討すべきと思うんですが、知事、いかがでしょうか、お伺いします。 87 石井知事 今委員がおっしゃいましたように、2000年とやま国体開催時には、県内において66の企業チーム等が活動していたんですけれども、現在は23にまで減少しております。  県としましては、これまでも選手強化に力を注いでいる企業チームとか、あるいは多数の企業から成る地域密着型のクラブチームなどに対しまして、合宿や遠征などの強化活動に対する財政支援を行ってきております。  今回、実は改めてよその県がどうしているかというのも調べてみたんですが、富山県はむしろ相当手厚いほうになっております。  トップアスリート育成・強化プロジェクト会議でも──これにはJOC副会長の福田スポーツアドバイザーにも加わっていただいておりまして、昨年来議論していただいたんですけれども、この提言により、お家芸の復活など企業チーム等の強化活動へのめり張りのある支援、また医・科学的サポート機能の拡充のほか、新たな支援の仕組みづくりとして、優秀な選手や指導者の受け皿づくりへの支援、活躍された選手や企業への表彰など顕彰制度の拡充、ネーミングライツ導入の検討などに取り組みたいと思っております。  また、企業がスポーツを支援しやすい環境づくりを推進するために、日ごろ精進して厳しい練習に取り組んでいる選手や指導者等を県民挙げて応援する仕組みとして、仮称でございますが、「富山県民スポーツ応援団」というのを今回新たに立ち上げたいと考えております。  この組織は、全国や世界のひのき舞台で活躍できるトップアスリートの育成を目指して、選手強化の取り組みを支援するために、県内のスポーツを愛好する個人や企業、団体の皆様にサポーターになっていただくものでございまして、現在、関係の皆様とともに準備を進めているところであります。  なお、税制面の優遇措置の支援を検討すべきじゃないかという御提案がございましたが、今、国のほうでもスポーツ戦略の基本構想をまとめる中で、競技スポーツ活動に係る寄附税制の拡充、また選手に交付される金品の非課税措置の拡充、それからスポーツ選手を支援する企業への税制優遇措置について検討を進めるということにしていらっしゃいますので、県としてもこうした検討状況をしっかり見守りまして、税制面で実りある成果が得られますように、今後必要に応じて全国知事会などの場でも議論を行って、国に働きかけをしてまいりたい、こういうふうに思っております。 88 大野委員 それでは次に、観光と地域振興策についてお伺いします。  まずは、私の地元でもあります黒部峡谷地域の充実策についてであります。
     経済状況が悪く、新型インフルエンザが大流行したにもかかわらず、黒部峡谷鉄道については、昨シーズン中、何と97万人の利用客があったと報告を受けております。黒部峡谷を訪れる人に、さらにその魅力を知っていただくため、その一帯を充実させることが、本県の観光・地域振興にとり大変重要なことであると私は認識をいたしております。  そこで、本県が実施するナチュラリストの養成講座にぜひ黒部峡谷地域を設け、ナチュラリスト養成に取り組むべきと考えますが、生活環境文化部長、よろしく御答弁お願いします。 89 泉生活環境文化部長 本県のナチュラリスト制度でございますが、昭和49年に全国に先駆けて創設されて以来、多くのナチュラリストを養成してきております。現在350名の方に立山地区を中心に活動をいただいておりますが、人員体制の制約もありまして、黒部峡谷につきましては、委員から御指摘のとおり、活動エリアにはなっておりませんので、そこはちょっと問題かなとは思っております。  一方、黒部峡谷におきましては、昭和61年でございますが、黒部市──合併前の宇奈月町であろうかと思いますが、独自にナチュラリスト制度を設けられまして、現在60名の市のナチュラリストの方々が欅平とその周辺において、シーズン中の日曜と祝日だけではございますけれども、活発に活動されていると聞いております。こうした活動は、黒部峡谷を愛する地元の皆様を中心とするナチュラリストの方々の熱意と行動力により支えられてきたものと思っておりまして、私ども心から敬意を表したいと思っております。  そこで、県といたしましては、こうした取り組みをさらに活発化していただくための一助として、委員からも御指摘がございましたけれども、新たに、県のナチュラリストの養成講座などにおいて、黒部峡谷の自然に関する知識の習得などもその内容として織り込むこと。また、仮に要請がございましたら、市の養成講座に県のほうから専門職員とか、あるいは県のナチュラリストを講師として派遣すること。さらには、黒部峡谷における市のナチュラリストの皆さんの活動について、県のホームページなどで紹介することなどを検討しているところでございます。  なお、現在、環境省から施工委任を受けまして建設中でございます欅平のビジターセンターの中には、市のナチュラリストの皆さんからの要望にこたえる形で、ナチュラリストの活動の拠点となるコーナーも設けるように計画されているところでございます。  県といたしましては、多くの観光客が訪れます黒部峡谷エリアでの自然解説活動は大変意義のあることだと考えておりますので、県と市のナチュラリストがさまざまな形で連携協力の上、峡谷の魅力を県内外の多くの方々に発信するよう努めてまいりたいと考えております。 90 大野委員 次に、宇奈月温泉からトロッコ電車に乗って欅平に着きますと、欅平から祖母谷方面に向かう工事用道路があります。祖母谷の温泉の上のほうで堰堤等の工事がありまして、それが完了し、それに伴いまして、工事用道路であった欅平から祖母谷方面への道路をこれからどうしていくか、ということが前々から非常に関心が持たれています。一般の登山者は利用されていたわけでありますが、この道路を一般供用に向けて取り組んではどうかという話が関係者のあちこちからあったわけであります。  そこで、私が漏れ聞くところによりますと、この道路のために関係者が管理組合を設置する。そして、それによって運営方針、組織が決められていくと伺っておりますが、新年度へ向けてどのような状況になっておるのか、お伺いしたいと思います。 91 泉生活環境文化部長 これまで国土交通省が行っておりました欅平-祖母谷間の道路の平成22年度以降の維持管理につきましては、登山者や観光客の受け入れ側でございます黒部市、それから地元の温泉事業者──これは3者ございますけれども、この3者、それから黒部峡谷鉄道(株)、それと合わせまして県の6者でもって維持管理体制づくり、あるいは管理方針についてこれまで検討してきたところでございます。  検討の結果、この6者で新たに、仮称でございますが、欅平・祖母谷間道路管理組合といったものを組織いたしまして、おのおの応分の負担のもとで運営することとしておりまして、県の負担分につきましては、今議会に予算措置をお願いしているところでございます。道路の供用に当たりましては、現状の工事用道路をそのまま利用いたしますけれども、原則登山道として供用いたしまして、言ってみれば、自己責任のもとで通行していただくという形にしたいと思っております。  維持管理に当たりましては、これまでのように除雪とか浮き石の除去などに必要な建設機械を、シーズンごとに機械を分解しまして荷揚げするというような形ではなくて、管理組合のほうで所有していただきまして、欅平のほうに常駐させるということを考えております。それからあと、日常的なパトロールとか路面補修などは地元の温泉業者の皆さんの協力を得まして、自分でやりたいとおっしゃっておられますので、できるだけこういった形で経費がかからないように工夫する一方で、安全面の確保にも万全を期していきたいと考えているところでございます。  現在、管理組合設立の準備を進めておりまして、4月早々には設立できるのではないかと思っております。5月1日の黒部峡谷鉄道の営業再開にあわせまして、少なくとも観光スポットとなっております人喰岩までは供用できるように準備することとしております。その後、除雪などが終了し、安全が確保され次第、名剣温泉、祖母谷温泉までを順次供用していきたいと考えております。 92 大野委員 今の部長の答弁を聞いておりまして、私の能力の中では、ベストとは言えなくても、限りなくベストに近いベターだと思いまして、こういう場で言うのも変ですけれども、御苦労なさっておられることに敬意を表したいなと思っております。  と申しますのは、ずばっと自己責任のことを今言われましたけど、そこが一番ポイントだったんですよ。私はこの場で言うのもちょっとはばかりますけど、合併して黒部市という新市になって4年たちます。この間、この世界遺産の問題、あるいは黒部峡谷のこともあり、実は黒部ダムから日電歩道、水平歩道を歩きまして欅平へ出ました。その歩道で、残念ながらずどんと落ちて亡くなった方も何人かおられるわけですね。私どもが歩いてみて、ちょっと振り向いて、リュックサックをがけに当てたら落ちておるなということも十分理解できました。ならば、そういう不幸な目に遭われた方に対してはどこが責任を負ったのか。自己責任なんですよ。もっと言えば、今おっしゃっている人喰岩のあの道路は非常に平坦で幅も広いし、一般の方は上に気をつけておれば十分歩けるというところですから、今おっしゃっている取り組みというのは、僕は評価したいなと思っております。ちょっと余計なことを言ったようですけど、決して余計なことを言ったつもりはありません。正しい評価だと思います。  そこで、それに関する黒部峡谷地域の観光の基幹施設といえば、何といいましても黒部峡谷鉄道であろうというふうに思います。その鉄道の安全性の確保のために、もちろん鉄道会社は、冬場は特に大変努力されているんですが、安全確保のために実施する軌道設備の補修、改善等に補助制度を設けることをぜひ国に要望すべきと思うんですが、観光・地域振興局長、お願いします。 93 戸高観光・地域振興局長 黒部峡谷鉄道でございますが、日本最深のV字峡谷を縫うように走る路線でございまして、厳しい自然条件の中で、不断の安全対策と輸送人員の確保、快適性の向上を図っておられるところでございます。  御指摘のありました改修についてでございますが、一般的に鉄道事業者が行うこのような事業につきましては、国により、鉄道軌道輸送高度化事業費補助制度が用意されております。この制度は公共交通性に着目をしまして、通勤通学または貨物の輸送を主として行う路線であって、主に経営が苦しい地方の中小民鉄の取り組みを支援する制度ということで運用されております。  一方、御指摘のあった黒部峡谷鉄道でございますが、主に観光を目的とする鉄道でございますし、会社についても関西電力の100%出資による企業であるということもございまして、この補助制度にはなかなかなじまないとされているところでございます。しかしながら、黒部峡谷鉄道は「トロッコ電車」の愛称で親しまれ、年間約100万人が乗車される富山県を代表する観光資源でございます。また、韓国や台湾など海外から毎年4万人の乗客を受け入れておられまして、富山県のみならず日本の観光振興の観点からも、観光客の安全に係る整備というものは大変大事であると考えております。  委員が御指摘の点につきましては、今後、観光振興の必要性と地方公共鉄道の支援制度のバランスというさまざまな観点から、検討していかねばならない課題であると考えております。 94 大野委員 今、現時点ではぎりぎりの答弁だと思います。私も意欲的に挑戦してまいりたいと思いますが、局長、ぜひ今の姿勢を忘れずに頑張っていただきたいと思います。  それでは次に、世界遺産のことに触れたいんですが、文化庁の世界文化遺産暫定リスト公募に提案いたしました立山・黒部エリアは、2008年8月であったと思うんですが、「砂防や発電の関連技術が歴史的、文化的な資産としての国際評価が定まっていない」とされて、リスト入りが見送られたところであります。  そこで、新年度、平成22年度ですが、立山・黒部の世界文化遺産登録実現に向けて、改めて山岳遺跡の分布調査を実施するのは、「信仰」「砂防」「発電」を柱にした防災大国日本のモデルをさらに進化させる目的なのか、あるいは新たな視点で取り組みを進めようとするのか、お伺いをしたいと思います。 95 東野教育長 立山・黒部につきましては、砂防施設や発電施設の技術的な視点では一定の評価を得られましたものの、指摘事項といたしまして、文化財としての指定を進めることなどが課題として示されたところでございます。  県では、これを踏まえまして、現在、立山・黒部の信仰、砂防、発電の資産価値を高める事業に取り組んでおるところでございます。砂防では、白岩砂防堰堤の重要文化財指定や国際砂防フォーラムの開催を、信仰では立山信仰の石像物調査を、さらに発電では黒部川発電施設群のダム、発電所などの調査を進めてきているところでございます。来年度に予定しております立山・黒部山岳遺跡調査事業におきましては、例えば修験者の洞窟から水力発電や砂防堰堤の資材運搬道といった古代から近代までのさまざまな遺跡の分布状況の把握を通しまして、すぐれた資産を掘り起こしたい。そして、世界文化遺産登録に向けた内容の充実、提案のコンセプトに磨きをかけてまいりたいと考えているところでございます。  今後とも文化庁、国内外の有識者の意見を伺いまして、関係市町村と相談しながら課題に取り組みますとともに、さらに立山・黒部の魅力の世界へのアピールに向けましては、立山・黒部を愛する会、立山・黒部夢クラブなどとも十分連携協力しながら、着実に取り組んでまいるつもりでございます。 96 大野委員 さらに、この黒部峡谷鉄道につきまして、地元黒部市を中心に話が盛り上がっておりますのは、欅平-黒部ダム間のロープウエーの建設実現構想であります。これにつきましては、山岳地帯の保全あるいは開発、そしてまた観光振興等の点で複雑に絡み合って、総合的な判断が必要であると思っておりまして、まだまだ研究する課題はあります。ただし立山ロープウエーがあるくらいですから、お金の問題を別にして、考え方としては、欅平からダムに向けてロープウエーを張ることは決して無理ではない。むしろ、これが実現することによって、富山県内全体の観光という面では、非常に僕はボトムアップするんじゃないかと思っております。非常に将来展望が開ける魅力的な事業計画でもありますので、これはぜひ県庁内でも十分御検討いただいて、前向きな取り組みをしてほしいということを要望しておきたいと思います。  そこで、観光立国の実現に向けまして、国が国際競争力の高い魅力ある観光地づくりを促すために、観光圏認定事業をスタートさせてから、本県では──さかのぼって1年前ぐらいになりますけれども、今年度、富山湾・黒部峡谷・越中にいかわ観光園がその認定を受けまして、現在は越中・飛騨観光圏が2件目として認定を目指しているというところであります。  現在の富山湾・黒部峡谷・越中にいかわ観光園については、県境を越えてお隣の糸魚川市あるいは小谷村、さらには白馬村などを加えた新たな観光圏を形成する動きがあることは御承知のとおりであります。非常にこのへんは重要なポイントだと思うんですが、いよいよ北陸新幹線の開業を見据えた観光・地域振興ということに対しては非常に寄与するものと考えます。  そこで、県としても積極的に取り組んでいくべきと考えますが、ここはひとつ知事の御見解をお伺いしたいと思います。 97 石井知事 富山湾・黒部峡谷・越中にいかわ観光圏は、新川地域の3市2町、また民間、県等が連携して進めているわけですが、可能性はいろいろあると思います。現在、観光圏整備計画に基づいて、山と海をつなぐ市場で朝食キャンペーン事業ですとか、富山湾横断観光船事業、また食のお宝発見フェアなどの取り組みを進めております。  しかし、さらにもっと誘客を進めるためにどうしたらいいかということで意見交換を進めてきたんですけれども、2泊3日以上の滞在促進ということになりますと、もう少し圏域を広げたほうがいいんじゃないかと。そこで、これまでもつながりが深く、冬期間のスキーや温泉への入り込み客が多い白馬村や小谷村、また糸魚川市は世界ジオパークなどの観光資源もおありでありますから、こうしたところとの取り組みが必要ではないかという認識が強まっておるわけであります。これらの地域は、新川地域と同じように海から山までの季節ごとにバラエティーに富んだ観光素材もありますのと、北陸新幹線ができますと非常に近くなるわけです。  県としましては、相互の連携によって、さらに魅力的な観光ルートが発掘できるんではないかと、にいかわ観光圏の自治体と一緒になって、糸魚川や白馬地域を初めとして、長野県、新潟県にも連携を働きかけております。私自身も前原国土交通大臣や溝畑観光庁長官に圏域の拡大を検討している旨の説明も行っております。  26年度末の北陸新幹線開業も近いわけですから、そのへんもにらんで、首都圏から近く、魅力の多い広域観光地となることを目指して、ぜひこの話を進めていきたい、こういうふうに思っております。 98 大野委員 非常に前向きな御答弁をいただきまして、多分地元も喜んで頑張り抜くものと思います。  続きまして、この議会でもいろいろ議論されておりますが、新年度に県が着手する予定のふるさと文学館(仮称)についてでありますが、検討委員会の答申等を踏まえて言えることは、確実に本県の観光と地域振興に寄与するものであるべきと私は認識をいたしております。そうでないと、意味がないなと思います。  そこでまず、私も知事公館1階、2階くまなく、ずうずうしく、遠慮なく見てまいりました。ほお、なるほど、こんなことになっていたのか、というふうにいろいろな思いがありますけれども、それをふるさと文学館にするという前提のもとに見たわけであります。まず、ずばり申し上げますけど、今の知事公館内部は、僕は展示室の利用としては全く向かない、だめだと思います。  使うならば、休憩室あるいは会議室、さらには管理室、食堂、そしてまた、ちょうど私が行ったときも俳句か短歌の方々がおられまして、そこに入りたいくらいでありましたけれども、短歌、俳句のグループがお使いになっておる畳の部屋。  したがって、現在の知事公館も生かしながらふるさと文学館(仮称)を建てるとするならば、現在の公館については、改修は今申し上げたところを使うこととして最小限の改修にとどめて、知事公館に隣接する現在の駐車場に企画展とか常設展ができる新たなものを私は建てるべきだと考えますが、生活環境文化部長、いかがですか。 99 泉生活環境文化部長 先月、ふるさと文学資料評価・活用委員会からいただきました報告書では、整備規模の目安を2,500平米を基本として、さらに必要な機能を一定程度加えることとし、風趣ある庭園をできるだけ活用すること。それから、知事公館の敷地だけでは手狭なため、隣接する駐車場敷地との一体的な利用を検討する必要があることなどの御提言をいただいたところでございます。  既存建物の活用につきましては、環境に配慮し、コスト軽減を図るという意味でも、活用できる部分については、できるだけ改修して活用してまいりたいと考えてはおりますが、知事公館は各部屋が比較的小さく仕切られておりまして、廊下が狭いなど、改修して活用するにしても、一定の制約が伴うのではないかと予想しております。新年度におきまして、基本設計の委託先が決まれば、専門家の目でもって建物の状態を確認していただきまして、改修の程度を検討していくことになるのではないかと考えております。  一方、展示室につきましては、委員が御指摘のとおり、まとまった面積が必要でございます。また、庭園を残すということになりますと、現在の知事公館の敷地だけでは面積が不足いたしますので、増築の部分は隣接の県有地に建設することが必要になってくると考えております。  文学館の各部屋の配置につきましては、敷地内での建物の配置や、それから何階建てにするのかといった問題もありますし、どんな構造にするかといったさまざまな要素にも左右されますので、基本設計の中で十分検討し、決定してまいりたいと考えておるところでございます。 100 大野委員 これは答弁は要りませんけれど、行って、部長も十分わかっておられますけど、2階へ上がるところの階段、あれは一般の民家だったら、あれで十分なんですよ。あれは、そういうふうに使える階段じゃないですよね。そのへんを十分わかっておいでると思うんで、くどいようですけど、私は企画展や常設展をやるような公館ではないと。やっぱりそれは別に建てて、あそこは附帯設備として何かに使うというくらいにするのが一番ベターかなと思われます。  そこで、前々からこのふるさと文学館(仮称)は県内外から親しみを持って来ていただける館にしたいということですから、まさに老若男女それぞれが訪れる館というふうなことも期待するわけですが、ふるさと文学館(仮称)は、ぜひそういう意味では愛称を広く募集したらどうかと。そしてまた、文学館を中心としたエリア、ゾーン、そこのネーミング、そこにも愛称を持たせたりして、より多くの県民あるいは県外から来る方々が親しみを持てるよう工夫すべきと思いますが、ここは基本的なことでありますので、知事、御所見を。 101 石井知事 文学館の愛称公募については、先ほどもお話に出ましたふるさと文学資料評価・活用委員会でも、委員の方々から、文学館についてはやっぱりネーミングが重要だと。すぐにイメージがわく、人を引きつけるような工夫が必要だといったような御意見をいただいております。  委員の御提案の愛称公募につきましては、文学館を広く県内外に周知して、また県民の皆さんに親しんでいただく愛される施設とするために、一つの有効な手法だと思っております。  また、文学館を中心としたゾーンは、ちょうど真向かいに教育文化会館がありますほか、高等学校、小中学校なども周辺にある文教ゾーンに位置しておりますし、近くには桜の名所であります松川べり、また舟橋、城址公園、また足を延ばしますと、「螢川」の舞台となっている、また源氏鶏太の生家もありましたいたち川があるなど、富山の歴史と文化が集積している地域でもございます。  そのために、文学館そのもののネーミングに加えて、文学館から松川べりにかけてのゾーンが、例えば京都では「哲学の道」というのがありますけれども、「文学の道」と呼ばれるようになると、文学館がより多くの県民や、また県外の人からも親しまれ、愛されるものになるんじゃないかと、こういう思いもかねてから持っております。  今後、4月にふるさと文学館(仮称)開設準備委員会といったものを設置したいと思っていまして、そこでの御意見も伺いながら、また今の委員の御意見も参考にさせていただき、文学館並びにゾーンの愛称についての募集も含めまして、有識者や幅広い県民の御意見を生かす方策について十分検討して取り組んでまいりたいと思っております。 102 大野委員 ここはちょっと経営管理部長、簡単に答えてもらって結構なんですけど、この知事公館のことについて、実は以前、今後のあり方はどうだと言ったときに、この知事公館は危機管理上残すんだと。何かあったときに、そこに集まって会議をやるんだとおっしゃった当時の部長がおりました。私はそれで納得しなかったんだけど、わかりました、と言って下がったんです。以後、いろんな訓練をやったときに、あそこを使われた気配はありません。しかし、危機管理上必要だというのであれば、その機能をどこかへ持っていく必要があるでしょう、どうなんですか。 103 出口経営管理部長 委員からはかねてより知事公館の用途を転換して、有効活用を図るべきという御意見をいただいておりました。このたび知事公館の維持管理費が多額に上っていることですとか、老朽化に伴う大規模改修が避けられないこと、賓客を迎える公邸や知事の住居としての活用実績がなく、また実際に不自由を感じないといったことから、今年度末で知事公館を廃止いたしまして、必要な増改築を行った上で、ふるさと文学館として活用していきたいと考えているところでございます。  知事公館としての位置づけがある間は、その範囲内でできる限り有効活用しようと、こういう考え方のもとにこれまでの答弁では、平常時は文化団体の皆さん方に御活用いただく、災害時には防災関係機関の連絡、打ち合わせですとか、関係者の宿泊機能として活用できないかということで、そのような活用を想定していると御答弁申し上げておりました。  今後、大規模な災害が発生しました場合には、まず県庁や総合庁舎が災害対策の拠点となりますが、連絡、打ち合わせや宿泊等の機能を確保するためには、必要に応じて県庁周辺の県有施設、また民間借り上げ施設を緊急避難的に活用すると考えております。  さらには、来年度、消防学校・防災拠点施設の建設に着工いたしますが、この施設が整備されますと、県庁との連携を緊密に図ることなどによりまして、これまで以上に大規模災害時の危機管理体制が充実するものと考えております。  以上でございます。 104 大野委員 部長、わかりました。了解しました。ちょっと溜飲が下がった思いであります。  それでは最後に、北方領土問題について触れたいと思います。  まず、先月の下旬に今の政府は、内閣府の政策会議で北方領土問題の解決促進のための基本方針改定案を示しました。その中に非常に重要なことがありました。それは「領土返還に向けた強い意志が世代を超えて共有される必要がある」という文言を盛り込み、若い世代の啓発を重視する方針を示したところであります。  そのほか、学校教育などの啓発活動の充実、あるいはインターネットを活用した取り組みの推進、さらにはビザなし交流などの積極的な推進を新たに盛り込んだのであります。  そこで、県と北方領土返還要求運動富山県民会議では、北方領土学習のためのDVDを作成しておりまして、──もうそろそろできると思うんですが、本県のふるさと歴史学習の観点からも、このことを学校教育においてぜひ積極的に活用すべきと考えますが、教育長の所見をお伺いします。 105 東野教育長 現在、北方領土返還要求運動富山県民会議、そして富山県「北方領土問題」教育者会議が主体となりまして、北方領土への理解を深めるため、委員が御指摘の教育用DVDを制作しておりまして、間もなく完成の運びになると聞いておるところでございます。完成後、県内全中学校へ配付する予定と伺っております。  DVDの制作に当たりましては、社会科や総合的学習の時間などで活用しやすいように、北方領土の地理、歴史、現在の人々の様子、富山県とのかかわりなど、わかりやすく、さまざまな工夫がなされていると伺っているところでございます。児童生徒がこうしたことをしっかりと学びまして、ふるさとに対する誇りと愛情を持つことは大変大切だと考えております。県中学校長会などと協力いたしまして、その趣旨が十分伝わり活用されますように努力してまいりたいと思っております。 106 大野委員 文部科学省も数年前から学校教育の中で北方領土問題をぜひ取り入れるようにというふうなことを積極的に言っておられますので、期待をしております。  このような背景と相まって、このたび北方領土早期返還を祈念して「ブラウンリボン」が製作されました。そして、つい最近、全国的に普及活動が始まったところであります。  実は、北朝鮮の拉致問題は人の拉致ということで、ブルーリボンでありまして、北方領土はロシアに土地が拉致をされておるということで、私が今つけておりますけど、こういう土地の色をしたブラウンリボンです。拉致同士で形は一緒で、色は青と、こっちはブラウン。きょうは知事も気を遣っていただいて、しっかりとつけてきていただいていますけど、正副議長もばっちりとつけていただいて、まして議長は県民会議の会長でありますから、どうも議長、恐れ入ります。決して高いもんじゃありませんけど、中身は高いです。そんなブラウンリボンを普及して、県議会の先生方にも順次お願いしておるところでありますが、北朝鮮の拉致問題と一緒に、こっちは土地の拉致ということで、このブラウンリボンをつけながら返還運動を推進してもらえればと思っております。  そこで、全国で2番目に引揚者が多いことは十分御承知のことでありますが、富山県の北方領土とのかかわりと歴史を広く皆様方に周知をするために、県内でも最も引揚者の多い黒部市において、関係資料の特別展示会を開催中であります。  その一部として、きょう、実は当時の島の様子を撮ったパネル写真をお持ちしましたので、ちょっと時間がありますから、一部お見せします。(パネルを示す)  多分、大正末期から昭和の初めだろうと思います。この2枚は富山県人が一番多く住んでいたという歯舞群島の写真であります。これは勇留島といいまして、納沙布岬に立ちますと、天気がいいとばっちり見えるところです。水晶島、勇留島、秋勇留島が見えるんです。これは勇留島で、見えます。これはその海岸。関係者に言わせると、当時は大正の末期か昭和の初めだろうなと。同僚の県議が持っておられますのは、これはまさに歯舞群島の志発島という、富山県人がかなり住んでいたところの当時の缶詰工場などの状況です。この中にも引揚者がひょっとしたらいるんではないかなと思われますけど、こんな状態で当時はやっておられたというものを今手にしております。  もう1枚は、色丹島です。この島には、富山県人はごく少なかったんですけど、行っておられました。当時、こんな華やかに運動会もやられたと。これをしつこく、いつごろの写真ですかね、と聞いたら、ある方いわく、この格好を見ると、多分大正末期から昭和だろうというふうにおっしゃった。推測の域を出ませんので、特定できません。こんな華やかにあの小さな島で運動会をやられておったと。  ここに入善の上田英俊議員もおられますけど、入善の方もこの中におられます。黒部市と入善町は引揚者が多いですから推測できますけど、こんなものが今展示中であります。どういうことかといいますと、今年度、平成21年度ですけど、黒部市は内閣府の地方の元気再生事業の選定を受けまして、その一環として漁村文化ミュージアムプロジェクト事業というものをやっております。ぜひ知事、お時間をつくっていただいて、なかなか島へ行っていただく機会がありませんので、せめてこの展示会だけでも見ていただければと期待をしております。  それから、先般、日ロ議連の会長であります四方先生の質問で、5月2日に知事は日ロ知事会議に出席されると伺っておりますので、ぜひその場でもチャンスを見て、北方領土問題に触れてくださいますよう切望しておきたい。これは質問でありません。要望です。お答えいただければ、なお幸いです。  質問は、北方領土が不法に占拠されたまま、いよいよ65年が経過しようとしておる。今の日本の国の65歳というと、年金が満額当たるんです。満額当たるのに、返してあたらないのは北方領土。こういう嫌みな状況になっておりますけれども、北方領土返還要求運動の推進のためには、どうしても若い世代への啓発を重視しなければならない時期を迎えてしまったということで、運動の後継者となる青少年の現地訪問の回数の増加でありますとか、さきの大戦終戦時、本県引揚者が1,425人おられて、そのうちの大多数を占める1,356人が居住した歯舞群島へのビザなし交流の一般訪問の実現を、国に強く働きかけるべきと思うのですが、知事の所見をお伺いします。 107 石井知事 北方四島の在住ロシア人との交流を図りまして、相互理解を深めるということは大事なことでありますので、本県から後継者訪問事業でお二人、また青少年訪問事業でこれまで7人が参加しております。そのうち21年度につきましては、中学生2人が色丹島を訪問して、島の様子を体感するとともに、学校訪問やホームビジットなどを通じまして、在住のロシアの青少年と交流することによって、北方領土問題についての関心と理解を深めてきたところであります。  こうした若い人たちが相互交流を行いますことは、日ロの相互理解を深めるということ。また、返還運動の先頭に立ってきていただいている元島民の皆さんは、だんだん高齢化されていますから、後継者育成という観点からも大事なことだと思っております。ロシア政府との外交協議という課題はありますけれども、今後とも後継者や青少年等を対象としたビジネス交流事業が一層活発になりますように、政府等関係方面に働きかけていきたいと思います。  また、お話に出た歯舞群島は、おっしゃるように富山県関係者が非常に多いわけで、富山県人のゆかりの地と思います。  ただ、御提案のビザなし交流の一般訪問事業で歯舞群島を訪問することにつきましては、いずれにしてもロシア政府との協議が必要な外交課題というほかに、これも委員は御承知の上でおっしゃっていると思うんですが、歯舞群島には現在、国境警備隊しか存在していませんので、訪問したとしても、なかなか交流事業という形にならないということと、新たな船を寄航させることになりますので、訪問日程の調整等も検討する必要があるなど、幾つか課題はございます。 108 五十嵐副委員長 知事、持ち時間が終了しておりますので、答弁は簡単にお願いします。 109 石井知事 そういうことで、なかなか難しい問題があると思いますが、北方領土の問題の歴史と現実を正しく理解するためには大切なことですので、今の御提案については、国や関係機関にお伝えしたい。  また生地には何回か訪問しておりますが、せっかくそういう北方領土資料の施設があるということですから、機会があれば立ち寄らせていただきたい、こういうふうに思っております。 110 五十嵐副委員長 大野委員の質疑は以上をもって終わりました。        武田慎一委員の質疑及び答弁 111 五十嵐副委員長 武田委員。あなたの持ち時間は60分であります。 112 武田委員 まず、改正銃刀法による影響について質問をいたしたいと思います。  昨年12月4日に改正銃刀法の規定がすべて施行されたところであります。今回の銃刀法改正によりまして、従来から猟銃を所持していた方々については、講習会の義務化など所持規制が強化されました。免許取得維持更新にかなりの経費がかかる上、今回の所持規制の強化効果により、経済的負担が増加し、猟友会会員の減少が懸念されるのではないかと思っております。  そこで、今回の銃刀法の改正が、猟友会の活動にどのような影響があると認識しておられるのか、生活環境文化部長にお伺いいたします。 113 泉生活環境文化部長 委員が御指摘のように、銃刀法が改正されました。今回の主な改正点でございますけれども、猟銃の所持許可を更新する際に、射撃技能講習の受講や、それから精神科の診断書の提出が義務化されました。あるいは、これは努力義務ではございますけれども、狩猟期前に射撃練習を実施することなど猟銃の所持に係る規制が強化されました。加えまして、許可申請時や受講時の手数料も引き上げられたところでございます。  今回の改正は、猟友会の会員にとりましては、言ってみれば、経済的な負担ばかりでなく、心理的な負担も重なるのかなと思っております。これを機に猟銃の所持許可更新を断念される方が増加するのではないかということも心配しているところでございます。とりわけ猟友会の会員数の減少と高齢化が現在進んでおります中におきまして、市町村における有害鳥獣捕獲隊の編成にも影響が出て、担い手の育成が急務になるのではないかと認識しているところでございます。 114 武田委員 ありがとうございます。  新規に免許を取るということになりますと、8万2,100円もかかる。また、更新年になりますと4万5,600円もかかるということで、大変な負担だなと思っております。  県では、有害鳥獣捕獲の担い手を確保するために、各種講座や射撃訓練会の開催を支援しておられるということでございますが、補助金だけではこの担い手が育成されるものではないと思っております。もっと若い方々に鳥獣による生活環境や農林水産業等への被害の拡大、そしてその防止を図る役割をしっかりと理解してもらうことが必要であると思います。  そこで、猟友会会員の減少が進む中、今後、有害鳥獣捕獲の担い手確保により積極的に取り組むべきと考えますが、知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。 115 石井知事 委員おっしゃるとおりで、県の猟友会は会員数の減少、高齢化が続いております。今まではこの会員の皆さんの献身的な御努力で何とか捕獲体制の維持、県民の安全・安心が守られてきたわけですが、銃刀法の改正等の影響もありますので、何とかこの担い手確保をしっかりやらなくちゃいけないと思っております。  県としましては、19年度から狩猟免許試験を年2回に増やしますとともに、県のホームページ等を活用して広く県民の皆さんに周知をする。また、有害鳥獣捕獲担い手育成推進事業というのをやっておりまして、県猟友会が開催します狩猟入門講座、また初心者向けの狩猟講習会など、後継者育成のための取り組みに対して支援をしているわけでございます。  この結果、19年度は18年度の約3倍に当たる89名の方が狩猟免許を取得された。その後も20年度に80名、21年度には56名の方が狩猟免許を取得されております。また、19年度以降の免許を取得された方々の年齢を拝見しますと、50歳未満の方が約5割を占めておりますので、その点では比較的若い世代の方々の免許取得が増えているということであります。  この問題は全国的な課題でありますので、22年度の国への重点要望事項として、新たにこの狩猟者等の育成確保対策の充実を国に要望しております。また、22年度には、福光射撃場の再開にあわせまして、射撃訓練にかかる負担を軽減しようということで、射撃場使用料の一部を支援することにしております。  こうした取り組みを県として着実に進めて、若い世代の狩猟免許取得者を増やす。また、今後とも各市町で有害鳥獣捕獲隊を維持できるように、担い手の確保に努力していただくことをお願いもしたい。また一方で、国にも対策をお願いする。こういうことで臨んでいきたいと思います。 116 武田委員 今の答弁で、若い方も少しずつ増えてきているというようなことで少し安心しましたが、最近では、免許や資格を取る方々の何か形態が少し変わってきておりまして、「ダイハード」であったり「プライベートライアン」であったり、そういった映画を見て、俳優が使っていた銃と同じものを所持したいだけのために取得される方もいらっしゃるというふうに聞いております。いわゆるオタクであったりマニアであったり、そういう言い方が適当なのかなと思います。
     福光高校ライフル射撃部には、1、2年生で19名の部員が所属し、国体やインターハイで優勝するなど、トップレベルの選手も育っております。今ではちょっと老朽化も激しいわけでございますが、約30万円もする銃を県のライフル協会や国体局等からお借りしまして、その銃を先輩から後輩へと受け継いでいくのでありますが、銃刀法改正により自宅保管ができなくなり、銃砲店へ一々あずけなくてはいけなくなったこと。また、新たな認定制度が設けられたこと。さらには、射撃指導員の資格を持つ顧問等のもとでしか使用することができなくなってしまったわけであります。  福井県では、2018年の国体に向けて、早くもこのことに対して着手しております。  そこで、福光高校ライフル射撃部の活動への影響をどのように認識をし、今後どのように対応するのか、教育長にお伺いをいたします。 117 東野教育長 福光高校におきましては、銃刀法で使用について規制を受けますエアライフルの大会や練習を、平成11年の創部以来、県ライフル射撃協会員の指導のもとに、福光射撃場で行ってきたものでございます。  今回の法改正によりまして、委員から御指摘のように、エアライフルの使用には新たな認定制度というのができたわけでございます。認定を受けた生徒は、年少射撃監督者が所持している指導銃を、その指導員の監督のもとでしか使用できなくなったわけでございます。年少射撃監督者は、エアライフルの練習や大会には常時付き添うことが必要になりました。現在、福光高校には、残念ながら年少射撃監督者の資格を有する教職員はいません。県ライフル射撃協会におきましては1名の年少射撃監督者がおりますけれども、こうした事態もございますので、さらに2名を増員いたしまして、福光高校ライフル射撃部の活動が円滑に行われるように図りたいと伺っているところでございます。  また、生徒が改正前に取得した銃の所持許可につきましては、改正後も引き続き有効とされております。その他の生徒につきましては、新たな認定制度の資格取得を現在申請しておるところでございます。  県としては、こうした有資格者をスポーツエキスパートとして福光高校に派遣いたすなど、法改正を踏まえまして、福光高校の部活動の振興にも努めてまいりたいと考えております。 118 武田委員 教育長、ありがとうございます。少し安心しましたが、決してお家芸のスポーツでないかもしれませんけれども、ライフル射撃部こそ、猟友会の後継者であると思っておりますので、どうか絶大なる御支援をお願いしたいと思います。  次に、県立高校の問題点、課題について質問させていただきます。  来年度より再編統合され、24年度には完全空き校舎となってしまいます県立高校5校についてでありますが、そのうち、大沢野工業高校と二上工業高校の2校については、「特別支援学校という県の施設での利用方針がある」と、坂田議員の一般質問に対する教育長の答弁であったと思います。  県外事例といたしましては、市が跡地を買い取り、大学誘致をしたり、市へ譲渡し中学校として利用する。または一般競争入札にて民間の手に渡るなど、さまざまな跡地活用事例が見受けられます。  県としては、譲渡するよりも売却をお望みかもしれませんが、この経済状況の中、なかなか弾む話がないのでありまして、ましてや井波高校においては、建設に至るに当たり、旧井波町所有の土地を県に譲渡した経緯がありますので、御承知おき願います。  南砺市におきましては、高校再編跡地検討委員会を設置し検討しておりますが、もっと県にリーダーシップと方向性の提案を求めているのでありまして、できれば県の施設や機関を望むものであります。南砺市や地元は、市民病院の増築であったり、看護学校やものづくり大学の立案はあるわけでありますが、県立高校の校舎等の跡地利用について、今後、地元の要望をどのように吸い上げ、検討を進めるのか、県としてのお考えを教育長にお伺いいたします。 119 東野教育長 県立高校として使用しなくなる校舎等の活用につきましては、先般の議会におきまして、知事からも答弁させていただきましたけれども、県立高校再編の前期実施計画におきまして、大沢野工業高校、二上工業高校では、その校舎の一部を活用して、高等養護学校を設置するなどの方向性が示されたところでございます。これらを含めまして、5校すべての校舎の活用については、委員から御指摘のように、今後検討を進めていく必要があろうかと考えております。  検討に当たりましては、それぞれの学校の歴史、伝統、これまで学校を支えてこられました学校関係者、地域の方々の思いを十分踏まえますとともに、地域振興や活性化にもかかわる問題であることを考慮いたしまして、まずは地元市において、活用方法について御意見を十分練っていただきたいと考えているところでございます。  南砺市におきましては、昨年6月、高校再編検討委員会の中で、この跡地について第1回の会合が持たれたところでございますけれども、これには、求めに応じ県からも出席し説明をさせていただいたところでございます。その後、何回か開かれているようでございます。南砺市におきましては、病院の増築とかさまざまな意見が出てきているようでございます。  委員から御指摘の看護系の専門学校につきましても、これまで南砺市においていろいろと御検討なさったことは伺っているところでございますが、いずれも結論を見なかったと伺っております。  今後、教育委員会といたしましては、まずは地元市の求めに応じて検討会にも参加しながら、市とともに県の関係部局とも十分相談し、検討を進めてまいりたいと考えております。 120 武田委員 教育長、やはり県がリーダーシップをとって、地元やまたは南砺市を引っ張っていっていただける形が、より安心が持てるようなことになろうかと思っておりますので、よろしくお願いをします。  昨日、県立高校全日制の一般入試が終了しましたが、17日の合格発表では、一人でも多くの受験生の皆さんに春が来るようにと祈っているところであります。  県立高校が再編統合され、受験できる学科や行ける学校が少なくなってきたと受験生を持つ保護者の声が聞こえてきております。過日の県立高校全日制の一般入試の願書受付締め切り状況を見てみますと、平均倍率は1.19倍、新設校は1.4倍の人気と、ある新聞紙上には掲載されており、最高倍率は氷見高校農業科学科の3.64倍でありました。当然のことながら、新設校には吸収されたと思いたくなくても、感じてしまいます学校学科が設置されたわけです。クラス数も必然的に減少しておりますので、人気でありますとか、期待や関心が総じて高かったとは一概には言えないものであります。  ただ、今回の全体的な特徴としては、水産系学科、看護系学科、家庭系学科、農業系学科、福祉系学科の人気が高かったように思いますが、先ほど大野委員の質問にもありましたように、県立高校における平成22年4月入学者選抜の志願傾向をどうとらえ、今後どのように対応していくのか、教育長にお伺いをいたします。 121 東野教育長 県立高校の全日制課程の22年度一般入学者選抜における志願状況でございますが、募集定員から推薦入学確約者を差し引いた6,167名の募集人数に対しまして7,332名の志願がございまして、平均志願倍率は1.19倍と、昨年と同率でございました。  学校別では、委員から御指摘ございましたように、高校再編による新高校につきまして、平均志願倍率が1.41倍と県全体を0.2ポイント上回るとともに、2校3学科で3倍を超える状況も見られたところでございます。これは中学生等の新設校に寄せる期待と、大変喜んでいるところでございます。  学科別に見ますと、普通科、職業系専門学科とともに、全般的には昨年度と同様でございまして、ただ農業科は、委員から御指摘のとおり、一番高かった氷見高校農業科学科で3.64倍でございました。福祉科につきましては、1.52倍と昨年度をやや上回る程度でございました。  今後の各学科の募集定員割合につきましては、私どもの基本となっております県立学校教育振興計画基本計画におきまして、農業科につきましては、産業構造や生徒のニーズ等を踏まえて見直すこと。福祉科につきましては、介護福祉士の資格基準の改正等を踏まえつつ、福祉教育へのニーズなどを勘案して見直すことなどが提言されておりまして、今後これらを踏まえ適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。 122 武田委員 ありがとうございます。  今おっしゃいましたように、また私も申しましたように、水産、そして看護、農業、福祉などの分野は、国、県、市町村全体の問題、課題でありまして、いわゆる担い手を育てるという観点から、特に私は必要であると思います。いろんなことがあろうかと思いますが、来年度はこれらの学科の募集定員を増やしていただけるよう期待いたしたいと思います。ありがとうございます。  次に、外国人誘客の課題について質問させていただきます。  先日の観光振興議連にて説明をいただきました。この5年間で富山県の外国人宿泊者数は3.9倍の伸びを示し、大変結構なことでございます。  富山県は、外国人誘客に平成22年度予算で約9,700万円を充当しております。お隣、石川県を眺めてみますと、外国人宿泊数はこの5年間で本県と同じ3.9倍の伸びを示しており、平成20年度ベースで19万4,000人となっております。本県より8万人ほど多いわけでありますが、3,000万円ほどの予算で優秀な成績を上げておられると思います。  ただ、数字だけの評価はあまりしたくありませんので、私だけの思いを少し述べますが、石川県は和倉温泉の加賀屋さんなどの民間と非常にタイアップをしておられます。また、石川県は立山黒部アルペンルートや、世界遺産の五箇山も一緒になって宣伝・PRをしていただいておるわけでございます。そのおかげか富山にも誘客ができているものと思います。  先日いただいた資料の中の「近隣まで来ている客を獲得」という言葉でございますが、これは多少できていると思います。  議連の中で、米原先生が石川県や福井県との連携が薄いのではないかと指摘されました。私も全くそのとおりではないかなと思いまして、先日、石川県庁を訪問した際も、石川県からこんな言葉が返ってまいりました。どうも富山県はひとり勝ちをしたがっているのではないか、ぜひ石川と協調と連携をしてやりましょう。と言われるありさまでございまして、少し残念な気持ちで石川県庁を後にしてまいりました。  そこで、県内に宿泊する外国人観光客数の今後の見込みと宿泊客数の増加に向けた取り組みについて、観光・地域振興局長にお伺いをいたします。 123 戸高観光・地域振興局長 まず本県の外国人宿泊者数でございますが、先ほど委員から御案内もございましたように、平成15年から20年までの5年間で約3.9倍の増加を示しております。昨年は、世界同時不況や新型インフルエンザということもありまして、大きな影響を受けたところでございます。全体として、海外から日本への観光客も昨年大きく減少をしているわけでございますが、秋以降、本県の最重点市場である台湾、韓国につきましては、全国的に見ましても、昨年の12月に初めて前年マイナスからプラスに転じるということで、全体的に回復基調にございます。海外で人気のある立山黒部アルペンルートの雪の大谷が始まる4月中旬からの本格的な観光シーズンを、観光客回復の契機ということでとらえております。  このため、県といたしましては、最重点市場である台湾からの春の誘客を強化するために、ことし1月に台中、高雄、台北の3カ所で実務的な観光商談会を開催するなど、キャンペーンを実施しております。また来年度におきましては、ビジット・とやま・スタートアップ事業ということで、5月に中国上海で国際博覧会での催事参加やアンテナショップの開設、台湾では観光説明会や物産展を開催いたしますほか、富裕層の多い中国広東省でも観光説明会を開催することといたしております。  先ほど御指摘のありました広域連携ということで、若干、御説明不足だったかもしれませんが、今までも海外の誘客宣伝につきましては、近隣県と連携を図っておりまして、例えば来年度、ロシア向けに誘客宣伝をしてまいりますけれども、これにつきましては、石川県とタイアップしてやる予定にしておりますので、これからも引き続き広域観光ということで、誘客の促進に努めてまいりたいと思っております。 124 武田委員 ぜひお願いします。  議連の中で、戸高局長や夏野室長は自信なさげに、中部周遊などの外国人客は富山にも必ず宿泊していただけていると口をそろえておられました。  しかし、台湾のアウトバウンドの旅行業者は、台湾観光客と名古屋にまず入り、2泊をされました。岐阜、長野、金沢と1泊ずつし、最後は小松空港から帰っていかれるんですが、富山は、と私がお聞きしましたところ、立ち寄りませんでした、と言われました。簡単に言われたわけでございまして、ぜひそんなことのないように、旅行会社だけでなく、旅館やホテルや民間とともに連携し、さらなる営業に励んでいただきたいと思います。私も頑張りますので、よろしくお願いします。  台湾人観光客からは、ホテルでの無線LAN配備や接続料の無料化を望む声が聞かれます。  とりわけ台湾の旅行業者などに調査してまいりましたが、日本の宿泊施設やまちなかでのICT化がおくれているのは事実として、宿泊ホテル等ではWi-Fiなどの無料の無線LANシステムや衛星テレビ放送が必須であると思っております。富山県内においては、行き届いた整備がされていなく、市町村と一緒に早急に進めるべきと感じます。また、まちなかでの情報発信やサインは、外国人の立場ではまだまだ不十分と思われます。  そこで、外国人観光客のニーズをどのように把握し、今後どのように対応していくのか、観光・地域振興局長にお伺いをいたします。 125 戸高観光・地域振興局長 御指摘の海外からの観光客のニーズの把握についてでございます。  これにつきましては、海外の旅行会社やマスコミの方を本県に招聘しております。その招聘した際に、その旅行会社の担当の方に宿泊したホテルの感想など直接御意見を聞いております。  また、海外での観光説明会や商談会の開催の際に、各国の旅行会社の方からの意見聴取に努めているところでございます。その中で、委員からも御指摘がありましたような宿泊施設のインターネット環境がまだまだ整っていないというお話ですとか、外国語の表記が少ない。クレジットカードの利用可能な施設がまだまだ少ないといった御意見をいただいております。  このため、県としては、国と連携いたしまして、公共交通機関での多言語表記に関する実証実験調査事業を、現在県内3カ所で行っておりますほか、観光施設、宿泊施設が、館内の多言語表記やクレジットカード払いの導入など、受け入れ態勢の整備を行われる場合に助成を行っております。  また、新年度におきまして、従来から観光旅館業者への施設整備資金貸付制度というものがございましたが、この制度を拡充いたしまして、より低利で限度額の大きい利用しやすい特別枠を設けることとしております。こうした制度によりまして、ハード面での対応を促進してまいりたいと思っております。  また、おもてなし能力の向上など、ソフト面の対応も大変大事でございまして、外国人観光客対応の研修ですとか、指さし会話集の作成など、ハード、ソフト両面から快適に観光していただけるような環境整備に努力してまいりたいと思っております。 126 武田委員 ありがとうございます。  とかく台湾の方や韓国の方はパソコンを持ち歩くということでございます。四六時中やりとりしたいのでありまして、最近ではツイッターなど、分刻みで自分の居場所や行動を世界の人々に発信されていかれますので、また御認識いただきたいと思います。  次に、高齢者の医療福祉についてお伺いをしたいと思います。  平成19年5月に公表されました都道府県別の将来人口推計によりますと、今後、本県の総人口の減少が予想される一方で、県内の高齢者人口は増加傾向となっております。先ほどもございましたが、65歳以上の人口では、全人口に占める割合が、平成17年の23.2%から平成37年には約33%になると予想されておるわけでございます。  本県は、医療費全体に占める老人医療費の割合が高く、老人医療費の伸びが県全体の医療費の増加に大きく影響するのではないかと思っております。高齢になれば、何らかの病気に罹患する可能性が高まり、しかも慢性疾患を複数有する場合が多いと思います。そのため、先ほども申し上げたとおり、高齢化が進行していけば、医療費はそれに伴って増大していくことが予想されるわけであります。しかしながら、全国の状況を見てみますと、高齢化の進行と医療費の増大の関係は一様ではなく、大きなばらつきがあります。  平成19年の厚生労働白書によれば、1人当たりの老人医療費が全国で最も低い長野県などは、平均在院日数は短く、健康診断受診率、高齢就業率は高く、メタボリックシンドロームリスク保有者の割合は低いと分析されています。  したがって、健康診断受診率を高め、生活習慣病を予防するとともに、在宅ケアを推進し、在院日数を適正化していくことが医療費の適正化に寄与する可能性があるとしております。  南砺市では、国の「ユビキタスタウン構想推進事業」を活用して、高齢者と遠くにいる家族、そして病院や診療所などをテレビ電話そくさいネット「ふれiTV」でつなぐ事業に取り組んでいます。台湾にて、田中南砺市長以下、市議会の方々と格安で、かつ高性能のテレビ電話システムを視察させていただきましたが、南砺市では先駆けてこのシステムを高齢者の家庭へ導入したわけでありまして、健康状態や声かけのツールとして、さらには地域でのコミュニケーションツール、遠隔地に住む子供や孫とのコミュニケーションツールとして大きな期待が持てるものであります。全国的には、出雲市や西会津町のわずかな部分ではありますが、動きが見えてきております。  そこで、今後、独居老人安否確認の意味においても、近年、高品質・多機能化しておりますテレビ電話端末を活用して、高齢者の在宅ケアを推進する必要があると思いますが、県としてどのように支援していくのか、ぜひ普及に取り組まれてはと思いますが、支援策も含めて厚生部長にお伺いいたしたいと思います。 127 飯田厚生部長 高齢化の進展に伴いまして、高齢者のひとり暮らし世帯、高齢者夫婦のみの世帯が今後ますます増加すると見込まれておりまして、こうした高齢者の見守り、そしてまた孤立化の防止が重要な課題になっているものと考えております。  このようなことから、県におきましては、地域住民等のネットワークを活用いたしまして、高齢者の見守り、孤立化の防止を図ってきたところでございます。  また、情報通信技術の活用につきましては、徘回をされる認知症高齢者の方を見守るためのGPS端末の利用など、市町村のほうで地域支援事業を活用される場合に、支援を行ってきたところでもございます。  こうした中、今般、国のユビキタスタウン構想推進事業を活用され、南砺市では、テレビ電話を活用した地域ぐるみの見守りサービスでございますとか、生活支援サービスの実施に取り組まれることになったと私どもは聞いているところでございます。  このような南砺市の取り組みにつきましては、在宅サービスの質を高め、効率化を図る上で大変有効なものと考えられますことから、システム整備後の運用面などに地域支援事業の活用を図っていくような場合には、県としましても十分相談に応じ、事業の対象となるよう国にも働きかけてまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。 128 武田委員 ありがとうございます。  部長が言われましたように、GPS端末も有効であろうかなと思います。先ほど柴田委員からもありました孤立死を少しでも抑えるためにも、やはり「じいちゃん、ばあちゃん、元気か」というような息子からの問いかけがあれば、また元気も出ますし、安否確認にとっても有効であろうかと思います。県庁内の本庁と出先機関を結んでおられるテレビ電話端末も先日見せていただきましたが、やはり必要であるから、有効であるから、県としても使っておられるわけでございまして、そういったところも感じていただきながら、また支援策もしっかりとお願いしたいなと思います。  平成20年4月から開始されました後期高齢者医療制度については、昨年の政権交代後、長妻厚生労働大臣が廃止時期を平成25年3月末とする方針を決め、現在、厚生労働大臣主宰の高齢者医療制度改革会議において、新たな制度のあり方について検討が行われております。  先般の新聞報道によれば、65歳以上の方は市町村が運営する国民健康保険に原則的に加入するが、国民健康保険の負担を抑えるため、財政運営の仕組みは高齢者と現役世代を別にするといった制度案の概要が示されたところであります。医療保険制度の改革については、地方の意見を十分に反映させ、保険料負担のあり方、現役世代からの支援、公費負担等の具体的な内容について議論を深め、国民的な合意形成を図ることが重要であろうというふうに思っております。  そこで、後期高齢者医療制度廃止後の新しい医療保険制度のあり方についてどのようにお考えになり、また国に働きかけていかれるのか、石井知事にお伺いをいたします。 129 石井知事 今後、高齢化が進みますので、医療費の著しい増加が見込まれる。特に地方のほうが先に高齢化が進みますから、これからは地域単位の医療保険制度の運営はこれまで以上に難しくなっていくと考えております。  そこで、県としましては、これまで全国知事会等を通じまして、国は医療保険制度の安定的運営を図るために、全国レベルですべての医療保険制度を一元化する道筋を示すべきである。また、高齢者医療制度については、社会保障制度全般の視点に立って、基本的な仕組みを構築すべきである。また、公費負担については、国の負担のみを軽減するような単なる地方への負担の転嫁をしていただいては困るということを強く申し上げてまいりました。  国におかれましては、今もお話が出ましたが、昨年11月に高齢者医療制度改革会議を設置されまして、現在、後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度の具体的なあり方について検討をされておりまして、ことし、22年の年末までに取りまとめを行うというふうに伺っております。お話のように、法案は23年1月に出して、25年4月から新制度ということになっていると聞いております。  なお、お話に出た65歳以上の人を国保に加入してもらうというあれは、我々も厚生労働省に確認したんですけれども、今の時点での厚労省の案ではなくて、審議会のメンバーの一つの考え方が、たまたまああいう形で報じられたんだという説明と聞いております。  新しい医療保険制度については、急速な少子高齢化、また国民医療費の増大ということを考えますと、給付と負担の関係も含めまして、医療保険制度を安定的に将来にわたり持続可能なものにするにはどうしたらいいのか、また国民の皆さんが安心して受けられるようにすることが大事でございます。  そこで、高齢者の患者負担では、高齢者に配慮したいんですけれども、一方で現役の皆さんの保険料がどんどん上がっても困るということもございます。また、保険料負担のあり方、現役世代からの支援、また公費負担の充実では、公費をどんどん増やせば当面はいいようですが、そうすると、結局、その財源はいつかは国民に税負担という形で戻ってこざるを得ない。こういう問題もありますから、十分議論して国民的な合意形成を図って、大方の国民がこんなところだなと思われるしっかりした医療保険制度をつくっていただきたいと思っております。この点につきましては、地方にとっても大切なことでありますので、全国知事会の場などを通じまして、地方としての提言等を行ってまいりたい、こういうふうに思っております。 130 武田委員 私は、父も母も80になるということで、いろんなことを心配されており、どら息子がおりますので気兼ねやなというような気持ちでいっぱいでございまして、またいい指導をよろしくお願いしたいなと思います。  それでは、最後の質問になります。建設業の現状についてお伺いをしたいと思います。  今議会でも、建設業への支援では、火爪議員からも本当にびっくりするような支援策ということで質問もあったかなと思います。都会もそうなんでしょうけれども、特に地方の建設業では、悩みが非常に多いわけでございまして、そこをまた少しお聞きしたいのでございます。公共工事等の支払いでございます。  年末については、石井知事の英断といいましょうか、何といいましょうか、非常にありがたい2年続けての対応をしていただいたわけであります。今度は3月決算の企業も県内には非常に多いと聞いておりますし、この年度末の資金繰りについて積極的に支援していただきたいと考えております。  そこで、例えば3月23日、25日に工事に対する完成検査が実施されるに当たり、この公共工事の年度末支払いについても、私は積極的に進めていただきたいと思いますが、土木部長にお伺いをいたします。 131 井波土木部長 県内の大変厳しい経済状況から、県といたしましては、これまでも工事の早期発注に努めるとともに、平成20年末に引き続き昨年末も支払い日を延長するなど、早期支払いについて取り組んできたところでございます。  その結果、今年度の土木部と農林水産部の公共工事等に係る支払い額は2月末現在で約429億円、昨年同期を約51億円上回っているところであります。  県といたしましては、支払いの事務手続を円滑に進めるため、1つには、請負業者と完成検査日、支払い見込み予定を事前に確認すること。また短期間に検査が集中いたしますことから、検査日程を調整し確保すること。さらに検査後の支払い関係書類の作成や支払い審査事務等を速やかに進めることなど、必要な事務処理を適正かつ迅速に行い、可能な限り年度末の完成払い、あるいは出来高払いが間に合うよう努力してまいりたいと考えております。 132 武田委員 ありがとうございます。  景気の下支えを求める声を受けて、14カ月予算執行をいただき、本当に感謝を申し上げる次第でございます。業者の方も本当にありがたいんだと言っておられます。また、そのことを感じながら、建設業界は除雪作業や緊急の災害時に対処すべく、睡眠時間や待機時間も惜しまず大活躍をいただき、地域貢献に日夜励んでいただいているのであります。  その一方で、公共投資が急速に減少している中で、価格競争が激化するなど、建設業者が極めて厳しい状況に直面し、結果として公共工事の設計労務単価の下落傾向が継続しているように思うわけでございます。下落する要因は、さまざまなことがあるかと思いますが、単価算出の基礎となる調査方法や、県における単価の採用、そして考え方について、私は問題があるのではないかなと思います。それこそ農林水産省、または国土交通省が実施する公共工事労務費調査の結果を県の単価として採用する以上、まずは問題点を知っていただきたい。また、県独自の対策を早急に講じていただく必要があるのではないかと感じております。  そこで、公共工事等における労務単価について、下請企業においても、適正な価格が維持されるよう、より積極的に取り組むべきであると考えますが、土木部長にお伺いをいたします。 133 井波土木部長 公共工事等に用いる労務単価は、公共工事に従事した労働者に支払われた賃金を調査いたしまして、その調査結果に基づき、国が決定しているものでございます。この単価は、下請契約における労務単価や、雇用契約における労働者の支払賃金を拘束するものではありませんが、県が下請金額が適正かどうか判断する際の重要な目安としているところでございます。  下請金額の適正化につきましては、これまでも契約時に、建設工事の下請関係の適正化に関する留意事項を配布いたしまして、元請、下請間の適正な契約や支払いがなされるよう指導するとともに、元請業者が提出いたします下請届や下請体制表により、下請業者の把握や下請金額が適正かをチェックしているところであります。  また、国が全国の建設業者を対象に行います調査結果をもとに、県内の下請関係の実態を把握するとともに、立入調査も行うなど、元請業者への指導にも努めているところであります。  さらに、品質確保や下請取引の適正化の観点から、低入札価格調査基準価格の引き上げや失格基準の見直しを適時適切に行ってきているところであります。  今後とも、下請取引に関する実態把握や元請業者への指導を適切に行い、下請企業における労働者賃金が適正に確保されるよう努めてまいりたいと考えております。 134 武田委員 この8年間で普通作業員であったり、鉄筋工であったり、型枠工、また特殊運転手、一般運転手、こういった工種といいましょうか、そういった中で、約2,000円から4,000円程度も下落しておるわけでございます。  今、部長が業者のほうからお聞きして、いろんな話し合いの場を持たれて、ということでございますが、本当の実質的な悩みといいましょうか、この労務単価が下がっていくこと、このことによって本当に業者の方々はつらい思いをしておられる。これだけでできたんだから、来年の単価もこれでいいだろうというようなことでは決してないのでありまして、今そのような状況の中から、定期の昇給もなく、またさらには福利厚生の予算も全く確保できていないというのが事実であって、ほとんどの建設業の方々がこのような言葉を申し述べられます。ぜひ部長、その言葉をしっかり聞いていただいて、税収の低減であったり、利益の追求のための手抜き工事が発生しないように、また御努力、御尽力をいただきたいなと思います。  景気優先の今、このような言葉が出てこなければいいなと思っておりましたが、新分野進出であったり、企業統合という言葉が聞こえてまいります。4年後の北陸新幹線開通後までに健全な営業体制を整え、公共工事が今よりさらに削減されたとしても存続していけるようにというねらいが、非常に感じられるわけでございます。  こうした建設業の新分野進出については、平成19年度以降、県としても本格的に支援をしておられるわけでありますが、現在、何社がどのような分野へ進出しているのか、土木部長にお伺いをいたします。 135 井波土木部長 平成19年度から21年度までの3年間で、新分野進出等支援補助金を交付いたしました建設企業は19社あります。進出した分野といたしましては、工場での無農薬野菜やラ・フランスといったものの栽培など農業分野へ5社、太陽光発電機器や業務用ごみ処理機の販売など卸売小売業分野へ4社、ハンギングバスケットや金属の酸化被膜を除去する機械の製造など製造業分野へ5社、公衆浴場の経営や旅館業などサービス業分野へ3社、その他の分野が2社となっております。 136 武田委員 ちょっと通告にないんですが、その建設会社の名前をそのまま使って、新しい分野に進出されておられるのか。また税法上あるのかわかりませんが、違った社名に変えて進出をしておられるのか、そこらへんを少しお聞かせ願いたいのでありますが、よろしくお願いします。 137 井波土木部長 建設業そのままで新分野をやっておられる方もございますし、経営者が別会社をつくって新分野に取り組んでおられるなど、いろいろ形態はございます。
    138 武田委員 ありがとうございます。  そうしますと、何か元気のあるまだまだ余力といいましょうか力がある会社、企業だけが、そういった新しい分野に進出できる、新しい会社を立ち上げてもできるような気がしてならないわけでございます。  それで、今部長がおっしゃいましたように、新しい分野へ進出されています、その進出分野における各企業の業績は一体どうなのかということを教えていただきたいのでありますが、よろしくお願いします。 139 井波土木部長 平成19、20年度に新分野に進出いたしました建設企業14社を対象に昨年11月にアンケート調査を実施いたしましたが、新分野の経営状況につきましては、「計画どおり順調に進んでいる」と答えられた企業が5社、「計画どおり進まず苦戦している」と答えられた企業が9社となっております。  苦戦している理由といたしましては、建設業従事者による新分野での営業の難しさでありますとか、経済不況に伴いまして、販売先が思うように確保できないといった意見が多かったところでございます。  こうしたことから、県では、平成21年度に新たに新分野へ進出した建設企業に対して、販路拡大や人材育成を支援する新分野進出事業定着支援補助金を追加いたしました。これでもって新分野の計画策定から事業立ち上げ、定着まで幅広く支援できるようにしたところでございます。今後とも、建設企業の新分野進出が経営基盤の強化につながるよう、積極的に支援してまいりたいと考えております。 140 武田委員 21年度からまたお金をつけたというようなお話でございますが、決してお金だけでそれに取りかかる、取り組むというようなことにはならんと私は思っております。やはり新分野に出ていただいたのでありますから、その販路拡大であったり、そういったところの指導であったり、あっせんという言葉はどうかわかりませんが、ぜひそのお手伝いも最後まで面倒を見ていただきたいと思います。  ある会社の方でした。何とか温野菜はうまくいっているんだけど、前には中華料理をもうつぶしてしまったよ。というようなことでありまして、そこがどうもうまくいかんところではないかなと思っております。  今14社に調査をされて、9社というようなお話でございました。9社がどうもうまいこといかんということは、半分以上がうまいこといっておらんということではないかなと思います。ぜひそのお金をつけるだけでなくて、さらなる指導といいましょうか──指導というのは、上から目線ですね。ウイン・ウインの形で取り組んでいかないと、少し聞こえてきますが、業者が半分になるということで大変難しい。何とか昔までとはいきませんが、少し景気がよくなって、うまい経営状態まで持っていけるんじゃないかという淡い希望を持っておられる方がたくさんいらっしゃいますので、そこらへんもお願いしたいということでございます。  それに関連しまして、今、新分野進出を応援するといったようなことでございました。しかし一方で、やめたくても廃業に踏み切れない企業もあるということも聞いておりますし、あるのではないかなと思っております。そのため、例えば廃業準備金の支給などを試みるのはどうかなと思います。廃業する際の支援策もぜひ検討していただきたく、そのことについて、また土木部長にお伺いをいたします。 141 井波土木部長 県内建設業を取り巻く経営環境は厳しい状況にありますが、建設企業は地域の安全・安心を守り、雇用を支える重要な役割を担っておりまして、地域にとって必要な存在であります。しかしながら、今後さらに厳しい経営環境が予想される中、まずは建設企業みずから長期的な視野を持って、将来の経営環境を見通し、新分野進出による副業化や、合併による経営基盤の強化といった経営改革に取り組んでもらうことが必要であると考えております。  このため、県といたしましては、平成22年度に富山県建設業協会が行う新たな改革プランの策定に対する支援や、建設業新分野進出等支援補助金の拡充など、建設企業が取り組む経営改革に対して積極的に支援することとしております。  これらは、公共事業が減少する中で、地域の安全・安心な暮らしや雇用の確保が重要であることから、県として建設企業の経営基盤の強化に支援しているものであります。委員御提案の廃業準備金の支給など廃業する際の支援については、県の施策になじまないことや公益性の観点からも困難であると考えております。  なお、経営者にあっては、廃業に伴い、従業員の雇用の確保に頭を悩まされておられる方も多いと思われますが、国では新たに建設業以外の企業が建設業を離職した労働者を雇い入れた場合に助成する制度、建設業離職者雇用開発助成金というものがことしの2月に創設されたところでありまして、こういった問題の解決の一助となるのではないかと考えております。 142 武田委員 るるありがとうございました。  建設業が農業を新分野としてやられるというようなこともありますが、今農業で食べていけないもんですから、農業をやっておられる方が建設業に従事して給料を当てにするといいましょうか、そういったことを昔からやっておられるわけでございまして、そういった矛盾も多いわけでございます。  私は、業者が早く半分になればいいとか、4年後の新幹線開通までに、体力を温存したり、営業体制を整えていけるような状況になっていてほしいというような言葉があまり出てこないようにお願いしたい。とにかく、今一生懸命に建設業の支援に御尽力をいただきたいということを願いまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 143 五十嵐副委員長 武田委員の質疑は以上をもって終わりました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後2時59分休憩                     午後3時10分開議        鹿熊正一委員の質疑及び答弁 144 杉本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  鹿熊委員。あなたの持ち時間は60分であります。 145 鹿熊委員 久しぶりに太陽が差す春らしい日となりました。本日、最後の質問を元気にさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。  石井知事の就任から6度目の編成となります新年度予算は、知事が「人が輝く 活力・安心予算」と表現されたとおり、財政再建に留意しつつ、経済雇用対策の拡充に加え、人づくりと産業づくりの両面において、新たな飛躍の芽を育てる施策が盛り込まれた積極的な予算であると評価をいたします。  その上で、本日は産業雇用対策について幾つかの観点から質問をいたします。  まず、雇用対策でありますが、今の最大の課題の一つは雇用問題であります。深刻なのは、就職氷河期に直面した若者の雇用対策でありますが、いま一つは、この不況は障害を持っておられる方々の自立に厳しいものとなっていることで、障害者への就労支援対策が重要であります。けさ、議論のありました特別支援学校に通う生徒の就労支援も重要な点であります。  私は、まず授産施設について質問をいたします。  そこで生産される商品の販路の確保は、働く障害者の工賃向上に直結いたします。そこで、授産施設の受注機会の創出や商品の販路開拓の支援策について、新年度においてどのように取り組むのか、飯田厚生部長にお伺いいたします。 146 飯田厚生部長 授産施設についての御質問ですが、授産施設におきましては、1つ目には、平成20年3月に策定いたしました富山県工賃向上支援計画に基づきまして、これまで、施設の職員や利用者の意識改革として、工賃引き上げのための研修の実施や先進事例の紹介を行っており、2つ目には、経営ノウハウの導入として、経営コンサルタントの施設への派遣や技術講習会を実施しており、そして3つ目には、地域との連携強化として、共同受注窓口の設置や商品カタログの作成、それから福祉の店の設置などを行ってきているところでございます。  また、今年度は企業の協力などを得るということで、アンケート調査を行ったところでございますが、その結果に基づきまして、売り上げの向上と商品のPRを兼ねた、個別企業でのふれあい販売会などを実施いたしているところでございます。  さらに、本年の1月からは、各授産施設に営業・販売補助員を配置し、販路の拡大などを強化するため、がんばる授産施設販売促進事業を推進しております。新年度には対象施設などを拡充しまして、一層の工賃向上を図っていくこととしております。  それから、新年度におきましては、今申し上げましたこれらの事業に加えて、新たに障害者雇用月間の9月に、企業と授産施設が一堂に会して商品をPRするマッチングフェスタ(仮称)を開催し、受注機会の創出を図りますとともに、インターネットを活用しまして、インターネットで商品購入ができるオンラインショップを開設するなど、受注体制の強化に努めてまいることといたしておるところでございます。  以上でございます。 147 鹿熊委員 積極的に支援をお願いいたします。  次は、障害者の就業機会の拡大を図ること。  これは、社会的自立に向けて極めて大切なことであります。障害者雇用のこれまでの推移と現状について、何かお昼のテレビニュースで報道していたようでございますが、改めてこの場で柳野商工労働部長にお伺いいたします。 148 柳野商工労働部長 本県における障害者雇用の推移につきましては、富山労働局が実施している毎年6月1日現在の調査によりますと、障害者を雇用すべき企業のうち、法定雇用率を達成している企業の割合は、平成19年の57.3%から年々上昇し、直近の平成21年度では60.2%と全国平均の45.5%を大幅に上回っています。また、障害者の実雇用率につきましては、平成19年の1.61%から年々上昇し、直近の平成21年では1.67%と全国平均の1.63%を上回っています。  このように、本県の障害者雇用は全国平均より進んでいるものの、現下の厳しい雇用情勢を反映し、解雇者数は、平成19年度が37人であったものが、平成20年度には55人に増加するとともに、今年度は1月までの解雇者数が53人と、前年同期より24人増加しているところであります。また、就職件数についても、平成19年度が540件であったものが、平成20年度は525件と15件減少するとともに、今年度は12月までの就職件数が407件と前年同期より15件減少するなど、厳しい状況となっているところであります。  以上でございます。 149 鹿熊委員 そのような厳しい状況を踏まえて、やはり障害者のいわゆる自立に向けた取り組みが大切になるわけでありますが、障害者の就業機会の拡大に向け、新年度においてどのように取り組むのか、商工労働部長にお伺いいたします。 150 柳野商工労働部長 これまで障害者雇用を推進するため、生活面と一体的に障害者の就業を支援する障害者就業・生活支援センターの県下4圏域での設置、同センターを通じての障害者チャレンジトレーニング事業の実施、一定数を超えて知的、精神障害者等を雇用している事業主に対しての県単独での雇用奨励金の支給などに取り組んできたところであります。  さらに、新年度におきましては、現下の厳しい雇用情勢に対応するため、新たに県内4カ所の障害者就業・生活支援センターに職場開拓支援員を配置し、障害者の就職、実習機会の拡大を支援する障害者職場開拓支援事業に取り組むとともに、雇用創出基金事業の重点成長分野人材育成プログラム事業の実施に際して、障害者の雇用機会を積極的に確保するよう努めることとしているところであります。今後とも労働局や関係機関と連携し、障害者の就業機会の拡大、雇用の安定に努めてまいりたいと考えています。 151 鹿熊委員 よろしくお願いいたします。  続きまして、雇用創出基金事業によって、約149億円余を使って、平成21年度から23年度までの3年間で1万人を超える雇用創出を目指すという方針でありますが、大事なことは、この短期の緊急的雇用、いわゆる6カ月ないし1年という、そういうつなぎ雇用を継続した安定的雇用につなげていくことが重要であるわけです。その誘導策についてどのように取り組もうとしているのか、柳野部長にお伺いいたします。 152 柳野商工労働部長 厳しい雇用情勢に対応し、「ふるさと」「緊急」の2つの雇用創出基金事業を活用して、21年度から23年度まで3年間で1万人を超える雇用の創出を目指しているところであります。  基金事業により創出されました雇用機会を安定的な雇用につなげるための取り組みとしましては、1年以上の雇用を創出するという、ふるさと雇用再生基金事業により、雇用された方を事業終了後に正社員に登用した事業主に対し一時金を支給する事業を、新たに実施しております。また、国に先駆けた他県にも例がない富山型の対策として、新規学卒未内定者等の採用を確保するため、企業に対し新しく採用した人材の養成モデルを委託することにより企業の人件費負担をなくす、県内企業人材養成モデル開発事業におきまして、受託企業に対し原則として1年後に正社員に登用するという要件を設けるなどの取り組みを行っているところであります。  さらに、介護、農林水産業、ものづくり分野などの県内企業に6カ月から1年以内の訓練付き雇用を委託する、重点成長分野人材育成プログラム事業においても、受託企業に対し事業終了後の正規雇用化に努めるよう要請しているところであります。  県としましては、今後とも雇用創出基金事業などを活用して、一人でも多くの求職者の安定的な雇用につながるよう努めてまいりたいと考えています。 153 鹿熊委員 ひとつできる限りの積極的な誘導策を改めてお願いするところでございます。よろしくお願いいたします。  次は、2番目であります。県の産業成長戦略についてお伺いをいたします。  北陸3県のマクロの経済数値を見てみたいと思うわけです。結論から先に言いますと、この5年間、すなわち直近のデータが出ております15年度から19年度まででありますが、5年間の推移を見ると、石川県と福井県は伸びているのに対して、富山県は全体として縮小ぎみであると言わざるを得ないと思います。  まず、実質県内総生産を見ますと、富山県は、平成17年度において5兆1,612億円をピークに年々減少し、19年度には5兆1,086億円となっております。石川県は、15年度4兆8,726億円から年々増加し、18年度には富山を抜き、19年度は5兆2,375億円となっております。福井県は、15年度3兆5,479億円でありますが、年々増加をしておるという傾向であります。  それから次、実質経済成長率でございますが、富山県は、18年度はマイナス0.9%で45位、19年度はマイナス0.2%で34位です。石川県は、18年度1.7%で23位、19年度1.8%で12位。福井県は、18年度1.4%、19年度1%でプラス、わずかでありますが成長です。  このような北陸3県の県内総生産の推移、そして経済成長率の推移をどう分析しているのか、柳野部長にお伺いいたします。 154 柳野商工労働部長 平成19年度の県民経済計算によりますと、本県の県内総生産は実質で5兆1,086億円、経済成長率は実質で0.2%減となり、2年連続のマイナス成長となっているところであります。  北陸3県の経済成長率の過去5年間の推移を見ますと、本県が平成18年度からマイナスであるのに対し、石川、福井の両県は18年度以降もプラスであり、18年度には石川県の県内総生産が本県を上回る結果となったところであります。ただし、製造業の県内総生産に限って見ますと、本県は北陸3県でも最も高くなっているところであります。  本県がマイナス成長となった要因としましては、原油・原材料価格の高騰や建築基準法改正の影響による全国的な新規住宅着工戸数の減少により、落ち込んだアルミ関連などの金属製品の業種が、製造業全体に占める割合が高かったことによるものと考えております。一方、石川県では一般機械、電気機械が、福井県では電気機械が好調だったことからプラス成長になったものであり、製造業の業種別構成の違いによって、異なる結果が出たものと考えています。  なお、少し長いスパンで見ますと、本県と石川県の県内総生産は拮抗しておりまして、平成8年度、9年度及び15年度から17年度までは本県が上回り、10年度から14年度までは石川県が上回っているところであります。また、他の統計データで北陸3県を比較しますと、平成19年の県民1人当たりの製造品出荷額等は、本県が約358万円で最も高くなっているところであります。  以上であります。 155 鹿熊委員 製造業を構成する分野の差が出たということであると思っております。  ただ、全体的なマクロの数値としての傾向については、それほど悲観することはないのかもしれませんが、やはりここで大事なのは、私は富山県の産業成長戦略をどう持つかということだと思っておりまして、次はその点に移っていきたいと思います。  人材のほうは、産業戦略と関連してきますので、次の質問とあわせて質問することにいたします。  提案理由の中で、知事は「活力とやま」の重点政策を10ページにわたって述べられました。それに対して「未来とやま」「安心とやま」はそれぞれ6ページでありまして、知事の産業政策への力の入れようがうかがえました。  そこで、私が知事に求めたいのは、本県の産業成長戦略──多分知事の頭にはあるんだろうと思うんですが、それを具体的に県民や県内企業に示していただきたいというか、むしろ示すべきであると私は考えております。このことについて、知事の見解をお伺いいたします。 156 石井知事 中国を初め発展途上国と今まで言われていた国々が世界的に台頭している中でありますから、本県産業が成長していくためには、世界的な視野に立って、10年後、20年後をしっかり的確に見通した上で、委員がおっしゃるように、戦略的に科学技術の開発等も含めまして、果敢に産業振興に取り組む必要がある。  そのために、知事就任後に策定しました元気とやま創造計画において、知恵と技術を生かした産業の振興など、「活力とやま」を3つの基本政策の一つに位置づけまして、目標数値等もできる限り盛り込んで、県民の皆さんに今後のビジョンを提示したところであります。  委員は非常によく研究されますので、読んでいただいていると思いますけれども、当時、私はよその県がどういう計画をつくっているか随分見ました。それから、知事選挙に出るときも参考にしたいと見ましたけれども、それぞれ立派な計画ですが、具体的な数字が入って、本当に具体性を持って戦略を書いているなというところは、正直、案外少ないなという印象を持ったところであります。  そういう意味で私は、この元気とやま創造計画は皆さまのおかげで、それなりの内容になっているんじゃないかと思います。あわせて新科学技術プランというものも発表しまして、進めてきているわけであります。また、それに基づいて、何といっても今富山県に立地していただいている地場の企業を大いに盛り上げて振興したいと、それにはやっぱり先端的なところにどんどんチャレンジしてほしいということで、ものづくり拠点の問題も含めていろんなことをやってきております。さらに、今後を見通して、これは成長しそうだという企業を何とか富山県に引っ張って来たい。それが例えばパナソニックであったり、アステラス製薬であったりしているわけでございます。  具体的に言いますと、各論では、やっぱりこれから高齢化がどんどん進む。それから、新興国では人口が増える一方で、なかなか地元にそれなりの医薬品産業はまだ育っていない。国内で言いますと、薬価基準をどんどん引き下げるから、国内だけでは成長のしようがないんですよね。そういうことからいうと、富山の薬というものは世界的視野に立って、やっぱり世界で勝負しなくちゃいけない。そこで、製剤技術力を生かした世界展開を図っておるわけでございます。  委員、これは本当にうれしいことで、けさ、私は気がついたんですが、厚生労働省の昨日のインターネットの発表によりますと、富山県の医薬品産業の生産額は、いよいよ昨年、20年の数字ですが、19年に比べて10.3%増で5,167億円。とうとう大阪府を抜いて全国3番目になりまして、第2位の静岡県の背中が見えてきたなということでございまして、全国トップも夢ではないと思っているわけであります。  また、これからは高齢化等に伴って、先ほども介護人材の話が議論になりましたが、何といっても15年ぐらいで1,000万人ぐらい、65歳以上の人が増えてくるわけですから、どうあってもやっぱり福祉関係でマンパワーが足りなくなる。外国の方を雇うという議論もありますが、私はなるべく、せっかくロボット技術があるんですから、福祉系のロボットあるいは次世代ロボットの開発をしっかりやらなきゃいかんということも進めておるわけであります。  また、世界でグローバル化がどんどん進みますと、発展途上国が成長すればするほど、航空機産業がどんどん発展していくだろうと思って、航空機産業への新規参入も進めたいと思っております。  また、豊かな水資源を生かした小水力発電。せっかくそういう発電所をつくるのに、今は例えば発電の機械の大事なところは実は富山県産じゃないんですよね。だから、私は県内の経営者の方でこれはという方には声をかけて、ぜひ小水力発電の技術開発をしてほしいということでお願いもしておりますし、また太陽光発電の技術開発については、地元の企業でないところも含めまして、いろいろ頑張っていただくようにお願いしているわけでございます。  また、成長著しいアジアやロシアとの経済交流の推進もさらに図りまして、世界のマーケットを視野に入れて、本県産業のポテンシャルを最大限に発揮した取り組みを進めていきたいと思っております。しかし同時に、中国も台頭している。また本格的な環日本海時代の到来。社会情勢はどんどん変わっていきますから、県としても今の総合計画もどこかでやっぱり見直しもしなくちゃいけないと思います。その際には、今の新科学技術プランも見直すというようなことも含めて、あるいはおっしゃるような産業振興については、特出しをして考えるということも含めまして、幅広く将来を見据えて県内の産業の活性を図る、またよそからこれはというものを引っ張ってくる。こういうことで新しい産業を興す、雇用を確保する、また県民の皆さんが生きがいと誇りが持てる、そういう暮らしができるように頑張っていきたい、こういうふうに思っております。 157 鹿熊委員 答弁の中で、けさのニュースということで、医薬品生産額がいよいよ全国3位になったということは、まことに喜ばしいことだと思います。  今の答弁をお聞きいたしますと、知事の描いておられる産業戦略のストーリーが非常にわかりやすく私には入ってきました。  ただ、この元気とやま創造計画をいくら縦に読んでも横に読んでも、大事なことが並んでいるだけであって、恐らく漏れなく全部入っていると思うんですね。ただ、それがどのようなストーリー性を持って展開しようとしているのかというのは、今お聞きしてわかるわけで、実は県民の皆さんも、企業の皆さんも、そういったところをもう少し知りたいのではないかなと、知る機会を容易につくってあげる必要があるんじゃないかなと思っております。  また隣県の話をして恐縮ですが、石川県も福井県も、基本的に総合計画とは別に産業戦略というものを、既に御案内かと思いますが、特出しで持っているわけなんですね。平成17年から石川県、また20年から、これは見直しをした結果、福井県も持っております。これはやっぱり当然県民の皆さんが、福井県産業戦略、石川県産業戦略というところにアプローチすれば、企業も県民もすぐにそれが見られるようになっております。  そのあたりを見直す機会に、いわゆるストーリー性を持って、県民の皆さんが、ああ、このような産業戦略を持って、富山県産業を構築していこうとしているんだな、ということがわかるようにしていただきたい。そしてそのことによって、北陸3県の中でも屈指の経済成長を持つ富山県を目指していただきたいと、このように思って質問をした次第でございますので、よろしくお願いをいたします。  次に、観光産業の振興というところに移ります。  先ほどからの話にも出ましたが、生産の場も消費の場も海外に向かっていくという傾向が見られますが、その中で観光産業というのは、内需の最たるものであると理解をいたします。したがって、国も地方も観光に力を入れることは当然のことであります。先日、愛称であります「立山黒部を愛する会」で聞きました、観光カリスマといわれている山田桂一郎氏の「選ばれ続ける地域とは」の講演は、とても私にとり刺激的でありました。それも参考にしながら、策定大詰めに来ております観光振興戦略プランを念頭に置いて、行政がその役割を特に発揮してほしいと思う点について数点質問をいたします。  まず1点は、観光圏整備事業であります。  先ほど大野委員も取り上げられて、知事のほうからこの事業に積極的に取り組む、そのような方針が述べられたわけでございますが、私はこの観光圏あるいは広域圏観光というものが成功するか否かのかぎは、交通体系の整備、特に2次交通の整備にかかっていると思っております。特にマイカーから離れる高齢社会において、なおのことであると思います。北陸新幹線の各駅から降りた後、どうするんだという話でありまして、そこのところが整備されていないと、この広域圏観光整備事業というものは、描いただけだというふうになりかねないんです。  ただ、難しいのはこのエリアが大変広いために、民間事業者だけではどうしようもない分野なんです。そこで、行政の積極的な支援、かかわりが必要だと考えますが、それについて戸高局長の見解をお伺いいたします。 158 戸高観光・地域振興局長 広域観光圏事業でございますが、文字どおり広域でございますので、御指摘のとおり2次交通の整備が大変重要な課題でございます。  まず、富山湾・黒部峡谷・越中にいかわ観光圏における取り組みでございますが、現在、YKKと連携をした産業観光シャトルバスですとか、また黒部市内のワンコイン電車といった既存事業がございます。今後、糸魚川、白馬地域への圏域拡大もにらみながら、2次交通の整備に向けた協議を進めてまいりたいと考えております。近く、宇奈月温泉で実施いたします春一番パタパタ祭りにおきましては、富山地方鉄道の無料電車の利用を呼びかけるなど、既存の公共交通機関との連携を図りながら、事業展開をしてまいりたいと思っております。  また、現在、国に認定申請中の越中・飛騨観光圏におきましては、新たなバス路線の開設の実証実験として、高岡-五箇山-白川-高山間を結ぶバス実験運行事業ですとか、氷見や高岡などの滞在促進地区を周遊するバス事業などによりまして、圏域全体の2次交通網の整備を進めることとしております。さらに、利用者の利便性、周遊性を向上させるため、総合時刻表の作成ですとか、共通乗車券や一日乗車券の検討などを実施することとしております。  県の役割といたしましては、こうした観光圏事業の国の支援制度を活用しながら、交通事業者や宿泊施設などの関係機関との連絡調整を積極的に行うなど、観光圏域内における2次交通の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 159 鹿熊委員 ぜひその点について、積極的な支援をお願いしておきます。  次は、観光における景観の大切さという点でございます。  まずは、この点において、屋外広告物の規制の強化が図られることになりました。私が平成17年12月議会のこの場で、広告物設置許可基準の改正強化を取り上げてから約4年たったわけでありますが、ようやくそれが現実のものとして動き出したことは、大変私は喜ばしく思っております。  もう1つ大事な点は、日常のこの生活景観あるいは町並みの景観に対する関心ですね。これは特に外国人、欧米人に強いと思っておりまして、欧米の方々が高山や金沢に多く訪れるのも、そこに引かれる点があると私は思っております。  富山県は、美しい景観づくり事業──これは富山県景観条例に基づきながらいろいろと行われてきておりますが、富山県が国内外から選ばれ続けるためには、この観光という視点から市町村、県民を巻き込んで景観づくりをもっともっと強化していく必要があると考えておりますが、観光・地域振興局長の見解をお伺いいたします。 160 戸高観光・地域振興局長 お話のように、観光地を訪れる旅行者にとっては、観光地そのもののみならず、そこに住む人々の暮らしである生活景観や周辺まで含む統一されたまち全体の景観に魅力を感じられるということであります。もう一度行ってみたい観光地として選ばれるためには、これらの景観整備は大変重要な要素というふうに考えております。
     高山や金沢は大変魅力的な街並みがございまして、多くの観光客を引きつけておりますけども、県内にも井波八日町通り、高岡市の金屋町、岩瀬大町通り、八尾町など街並みのきれいなところはたくさんございます。  県では、市町村、住民主体の景観づくりを支援するため、これまでも、景観アドバイザーを派遣いたしましたり、富山県景観条例に基づく景観づくり住民協定を締結した地区に対しては、市町村とともに助成措置を行っております。また、今年度から歴史と文化が薫るまちづくり事業に基づきまして、魅力あるまちづくりに取り組む市町村に対して支援を行っているところでございます。  来年度からは、新たに富山県観光バリューアップ事業を実施いたしまして、今後の富山県の核となる将来性の高い観光地を選定し、市町村や地元関係者ともよく議論をいたしまして、その魅力アップに努めるとともに、景観づくりについても、その重要な柱として専門家の意見を参考にしながら、魅力的な景観形成に努めてまいりたい、このように考えております。 161 鹿熊委員 ぜひこの点は、土木部とも一緒になって積極的に取り組んでいただきたいと思っております。  毎年県政世論調査の中で「あなたは自分の住んでいる地域の景観が美しいと思いますか」という問いがあるんです。残念なのは、「美しいと思う」と答えた人の割合が、平成18年に44%であったんですが、平成21年には38.3%に下がっているんですね。いろいろ取り組んでおられるんでしょうが、これはちょっと情けない数字なんで、ぜひこういった割合が下がらないようにと思います。  それから、景観づくり住民協定なども、もっともっと結ばれるように誘導してほしいなと思っております。  次は、国際観光推進であります。  これについては、先ほど武田委員のほうから質問があり、取り上げられ、その受け入れ態勢について、ハード、ソフトを積極的に環境整備に取り組んでいくという答弁がございましたので、ぜひそのとおり努力していただきたいと思います。特に、新年度は、アジア以外に、金沢や高山から比べると圧倒的に来訪者が少ない欧米、オーストラリアにも積極的に推進展開されていくわけなんで、この点、受け入れ態勢がおろそかだと、やはり高山、金沢止まりになってしまうおそれもあります。この展開が本当に実を結ぶように、先ほどの答弁のとおり、しっかりと受け入れ態勢、表記、通訳、IT環境などに取り組んでほしいと、お願いをしておきます。  観光の問題の最後でございますが、知事もこの講演を聞いていただいたわけであります。山田氏の講演の中で、地域の住民が地元の生活環境や自分のライフスタイルに満足していないことには、外から来る人の共感や支持は得がたい。だから、地域を知り、愛着が持てるよう小さいころからの教育が大事だと──最後は教育、特に地域学やふるさと教育が大事というところに話が行き着いたと私は思っております。  このふるさと教育に知事は大変力を入れておられますが、私といたしましては、この中で偉人を学ぶ教育だけでなくて、地域に受け継がれている今の生活文化を学び、それをさらによくしていこうとする、そのような教育をしていくことも、観光に結びつく点で大事であると認識をいたしました。富山県観光振興戦略プランの中にも、こうした観点をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。  この講演会にも参加され、またふるさと教育に大変力を入れておられる知事の見解を問うものであります。 162 石井知事 この間の山田さんの講演を、私も御一緒に拝聴したわけですけれども、お話のように、選ばれる観光地になりますには、美しい自然などはもちろんですが、歴史や文化、祭り、日常の生活様式、その地域固有の魅力と、そこに暮らす人が何よりもそうしたいろんな魅力のある地域のよさをしっかり認識をして、誇りと愛着を持っているということが大事だと改めて感じた次第であります。  観光地の印象のよしあしは、旅先で接する人たちの印象で大きく違っているわけです。地域の人々が地元のことをよく知って、愛着、誇りを持って、また訪れる人をもてなして、地域の歴史や文化や自然、そういうものを自信を持って、誇りを持って話をしてくれる、そういうことが地域の印象をよくして、魅力を高めると思います。  私は以前、県議会の場で申し上げたことがあると思うんですが、何年か前、二度ぐらいそういうことがあったと思うんですが、富山に帰省をしまして、たまたまお訪ねする人に東京でお土産を買ってくるのを忘れ、タクシーに乗って、こういうようなお土産を売っているところはないかね。と言ったら、なあん、お客さん、何にもないちゃ。と言われて、もうがっかりしたことがあるので、やっぱり地元の人が、何にもないちゃ。と思っていて、そういうふうに言ったら──私はなまじ富山県の出身だから、それでも探して買う気になりますが、よそから来た人はそういう気になりませんよね。ですから、こういう点は非常に大切だと思います。  その点からも、やっぱり私も含めて大人の皆さんは、さらに勉強しなきゃいかんのですけれども、子供たちも含めて若い人たちが、ふるさと富山の自然や歴史、文化についての理解を深めて、誇りを持って、愛着を持って語られる、こういうふうになってほしいなと思います。  先ほどの山田桂一郎さんの御講演の中で、広島県の宮島中学校では、観光事業者の講師から地域のことを学ぶとともに、英語の授業でその内容を翻訳して、外国人の観光客が来たら、ボランティアで観光ガイドを行っている。そして、観光地の魅力向上に一役買っているという話がありました。  県としても、お話のように、近々、富山県観光振興戦略プランをまとめますけれども、そうした中で、やはり若い人も含めて地域の皆さんが、地元の魅力を、観光資源をしっかり学んで、みんな一人一人が、ふるさとのよさを発信できるような、そういう機運の醸成が重要だということです。ふるさと教育の推進も、この観光振興戦略の中の一つとして位置づけたいと思っております。  県のふるさと教育全般では、学校におけるふるさと教育ということで郷土の歴史や文化を学ぶ。また自然体験では、例えば立山などにも体験登山をする。あるいは富山ならではのふるさと教育では、何といっても1300年前に大伴家持がいた富山県ですから、越中万葉のマップをつくるとか、あるいはNHKのあの放送がいまだによく話題になりますが、「神秘の海 富山湾」ということで、富山湾についてもっとみんなが楽しく学べる本を発行するなど、ふるさとの持つ魅力、教育資源をしっかり発掘して活用する。  例えば私はこの間、木曽義仲の関係で、委員の地元の朝日町にも行ってまいりましたが、義仲が以仁王のお子さんである北陸宮を迎えて御所を造営して、地元豪族の宮崎太郎さんが護衛したという、その跡を見てまいりました。私がお訪ねしましたら、本当に喜んで説明してくださいましたし、地元の方が愛着を持って一生懸命お掃除をされている、やっぱりこういうことが私は非常に大切だと思っておりまして、ぜひ富山県の観光振興のためにも、ふるさと教育を進めていきたい、こういうふうに思っております。 163 鹿熊委員 わざわざ朝日町にも訪ねてこられたということで、タラ汁も食べていただければ、なおよかったと思うんですが、観光という点からのふるさと教育について知事の考え方をお伺いいたしました。ひとつよろしくお願いをいたします。  最後の項目はブランド政策についてであります。  今まさに、全国的に自治体のブランド熱が沸騰しているように思います。新年度予算の中でも、ブランドという言葉が随所に出てきます。  そこで、まず「富山県推奨とやまブランド」認定事業、1,700万円、この内容について戸高局長にお伺いいたします。 164 戸高観光・地域振興局長 お尋ねの「富山県推奨とやまブランド」認定事業でございますが、数多くの県産品の中から、特にすぐれたものを富山県推奨とやまブランドとして認定をいたしまして、内外にその魅力を発信することによりまして、本県の認知度向上、観光物産の振興や事業者の意欲高揚、地域経済の活性化を図ろうというものであります。  具体的には、県内で生産、製造された農林水産物、加工食品、工芸品や工業製品を対象とし、県内事業者から公募をいたしまして、特にすぐれたものを厳選して認定することとしております。県内では、最高のブランド認定制度として位置づけをしております。  認定に当たっては、高い品質と信頼性、安全性、オリジナリティー、富山らしさ、市場性、将来性の5つの視点から成る認定基準を設けまして、これに基づいて、有識者や専門家で構成する「富山県推奨とやまブランド」育成・認定委員会と、その下に設置を予定しております部会による審査を経て決定することとしております。  第1回の認定につきましては、新年度早々に公募を開始いたしまして、夏ごろに決定したいと考えております。  認定された品目ですとか、認定事業者につきましては、県が作成をいたしますブランドマークによりまして、とやまブランドである旨を表示いたしますとともに、高品質なパンフレットの作成や全国雑誌への掲載、またホームページ等々で、富山県の地域イメージとあわせて内外にその魅力を強力に情報発信していくこととしております。  また、認定事業者の方々には、この認定品を通じて本県の認知度や好感度の向上につなげていただくこととしておりまして、こうしたことで本県のブランド力の向上を図ってまいりたい。そういう制度でございます。 165 鹿熊委員 3月1日の議案説明会で、私はこの「富山県推奨とやまブランド」認定事業の説明を受けて、とても違和感を覚えた一人なんです。  知事に伺いますが、行政として特定の県産品をブランドとして認定することの意義は何か。端的にお答えいただきたいと思います。 166 石井知事 本県には、本当にさまざまな、海の幸もあれば、卓越したものづくり技術に裏打ちされた工芸品や工業製品などいろんなものがあるんですけれども、残念ながらまだまだ全国的に知られていない。それから、知名度はそれなりに高いけれども、富山県産であることが十分認識されていなくて、他地域産のものとの質的な違いが十分に図られていない、知られていない。こういうものがあると思います。これらのすぐれた県産品をブラッシュアップしてトップブランドに位置づけることで、全国における知名度や評価を一層高める。同時に、本県の地域イメージの向上や交流人口の拡大につなげていくというのが大事だということで、今回のとやまブランドの認定制度をつくることにさせていただきたいと思っております。  ポイントは2つあるわけです。1つは、富山の自然、歴史、文化の中で生まれ、はぐくまれた国内外に誇ることのできる県産品を厳選して認定し、その魅力を一層強力に発信することで、当該県産品の販路拡大や需要拡大につなげる、と同時に県の地域イメージの向上や観光振興にも結びつける。  それから、2つ目は、県内事業者に、本当にいいものをつくれば、そういうふうに応援してもらえるのなら、その認定を目指して、みずからの産品のブランド力強化に積極的に取り組んでいこうという意欲を高めていただき、地域産業の活性化を図るということであります。  多分委員は、特定のすぐれた産品のPRにそこまでやるのかなというお気持ちがあるのかもしれませんが、現在でも、ふるさと認証食品とか、とやまプロダクツ、食の匠とか、もちろんいろいろ設けておるわけです。それはそれぞれみんな役割を果たしているんですけれども、おっしゃるように、全国で似たような制度がいろいろありますので、ここでもう一段しっかりしたそういうものを、つまり今あるものの中で本当にいいものをブラッシュアップして発信する。それで当該商品も大いに伸びてもらいたいし、富山県のイメージアップにもつなげたい。それからもう1つは、もう一歩でそこまで行くというのを、背中を押して何とかそうなってもらうという、この2つをねらっているわけでありまして、ぜひ御理解をいただければと思っております。 167 鹿熊委員 それでは、なぜ違和感を覚えたかということを今から申し上げますので、また知事の感想を聞かせていただければと思っております。  これは、ちょっと名称にこだわり過ぎているのかもしれませんが、このブランドというのは、私は生産者と消費者の間で築かれた揺るぎない価値と信頼であると思っております。あくまでも消費者がその魅力と価値を認めるものであることは、これは言うまでもないことでありまして、それこそユニクロにしろ、無印良品にしろ、バーバリーにしろ、ルイ・ヴィトンにしろ、これは長い歴史の中で築かれてきたものであります。また地域ブランドにおいても、ブランドと言われるまでには、歴史、文化、また風土という背景があって、あくまでも民間主体で取り組まれてきたものなんですね。これは加賀野菜にしましてもそうですし、喜多方ラーメンなど、すべてそうだと思っております。  そこで、繰り返しますが、ブランドというのは、あくまで消費者がその魅力と価値を認めるものであって、行政や知事が認定するものではないと思います。ブランド認定基準という客観的な基準というのは、先ほど戸高さんは基準を設けると言われましたが、そういう基準は私はないと思うんです。まして、その認定に3年間の有効期間を設けるわけでありまして、これなどは、いかにも行政の仕事だなと思って、私には趣旨が不明です。  そこで、やっぱり生産者というのは常にその評価を高めて、消費者を裏切らないように努力していくわけであって、それを怠れば、即ブランドでなくなるというわけなんです。先ほど説明もありましたけども、県内で最高の認定制度の位置づけということに、恐らく消費者に真摯に向き合って一生懸命やっている事業者が、果たしてこれに魅力を持つだろうか、関心を持つだろうかというふうに私は思います。おのれのやっぱり自信と誇りでやっていて、それが私は民活だと思っております。  また、万一、これは考え過ぎかもしれませんが、その認定された商品に問題が発生した場合に、じゃ県の責任を問うということが出た場合はどうするのかという問題も出てきます。私はブランド化に対する事業、例えば農水部のとやま米ブランド化促進事業とか、あるいは我が浜の魚ブランド化事業など、民間のブランド化への努力、取り組みを後押しする事業は積極的に推進したらよいと思うわけでありますが、知事がこれは最高の認定制度だという名のもとに認定するというのはどうかなと思っております。  批判のための批判をしているんじゃなくて、行政がなすべきことなのかと、行政ができることなのかということを問うているわけでございまして、全国的なブランド競争合戦に巻き込まれているのではないかなと思って私は説明を聞きました。再考すべきではないかなと思っているんですが、知事、いかがですか。 168 石井知事 全国各県でいろんな知恵を凝らして、ブランド化あるいはブランドを推奨しているんですけれども、これはなかなか特定の名前を挙げると差しさわりがあるんですが、さっきちょっとバーバリーとかルイ・ヴィトンとかいろいろ例に挙げられましたが、そういうブランド名がついていると、例えばネクタイならネクタイ、スカーフでもいいですが、中にはさほどでもないというものでもいい値段で売れるということがあるんですよね。  ですから、私はやっぱり率直に言って、いろんな県がこれこそ我が県の最高のものだというふうにして、すばらしい写真をつくったり、パンフレットをつくって応援したりしている姿を見ると、鹿熊委員のような御意見も確かにあり得ると思うんですけれども、なるほどやっているなと、頑張っているなと思うんですね。  念のために申しますが、これは知事が認定という、名前はそうかもしれませんが、そういう御批判をいただくことがないように、県内外の有識の方で委員会をつくって、そこで議論してもらう。私があれこれ言って決めるとか、そういうことは全く考えておりません。それから特に富山県として第一等なものだと言う以上は、そういう県内の関係者もさることながら、やっぱり全国的なシェアの方によく見てもらって、これなら富山県がそういう位置づけをして応援しても恥ずかしくないというか、むしろ大いにやったらいいというのにふさわしいものにしたいなということと、それから委員もお気づきかもしれませんが、なかなかいいものはあるんだけれども、個々の商品ももっと大いにブラッシュアップして伸びてもらいたいんだけど、多くのすぐれた産品や商品が富山県のイメージと結びついていないんですよ。そこをやっぱり考えなきゃいけない。  私は、県として税金を使って応援する以上は、やっぱり客観的な認定というものはしっかりやって応援したい。県によっていろんなことをやって、中には知事さんがどんどんお決めになっているところもあるかもしれませんが、私はなるべく客観的に公平にやっていきます。  それからもう1つのねらいは、最高のものだと言う以上、それはそんなにたくさん出ないかもしれません。乱造していたのでは、全体のイメージが悪くなります。ただ、大事なことは、最高のものだというふうに自分の商品も言ってほしいと、みんながそれに刺激を受けて、意欲を持って取り組む。もうあと一歩、もう二歩というところの企業が頑張ってくれる。その機運をつくるということが大事なんで、そういうための一つのシステムだと理解をしていただければ、私は賢明なる委員にはきっと理解していただけると、こんなふうに思っていますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 169 鹿熊委員 しっくりきませんが、要はやはり消費者との信頼ですね。やっぱり消費者と生産者の間で築かれていく信頼と価値なんだということを忘れて、踏み外しては、やっぱりこの事業はうまくいかないんじゃないかなと思っておりますので、うまくいくことを願っております。  以上をもちまして、議員生活20年目に入る直前の節目の私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。 170 杉本委員長 鹿熊委員の質疑は以上をもって終わりました。  以上をもって本日の日程は終了しました。  なお、3月15日の予算特別委員会は午前10時から開会しますので、定刻まで御参集願います。  本日はこれをもって散会します。                     午後4時05分散会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...