委員がおっしゃるように、科学技術の振興というのは、富山県を含めて日本の発展、地域の発展に欠かせないものでありますから、この富山県
ものづくり研究開発センター(仮称)、ここで活用できる国の
大型研究プロジェクトをもっと拡充してもらう。また、ほく
りく健康創造クラスターも積極推進するということで、これからも国にしっかり働きかけをしてまいりたいと思います。
5 矢後委員 定例会等で再三お話しになりました。まさか地方の科学技術の振興の施設をテントにするわけにはいかない。科学技術については、「コンクリートからテントへ」という発想はやっぱりおかしいと思います。そういう意味で、今回、富山県
ものづくり研究開発センター(仮称)が見事に採択になったということについては、本当によかったなと心から喜んでおります。
この富山県
ものづくり研究開発センター(仮称)でありますけれども、平成23年春には運営を開始する予定というふうに伺っておりますが、具体的にはどのような利活用を県として期待しておられるのか、
商工労働部長にお伺いをしたいと思います。
6
柳野商工労働部長 富山県
ものづくり研究開発センター(仮称)につきましては、産学官が連携して異分野、異業種交流により、試作品レベルの技術開発を進める拠点として整備を進めております。来年春の運営開始を目指しているところであります。
センターの主な施設として、東海北陸地区の公設試験場では、初めての設置となる最先端の10m法電波暗室を備えた電波暗室棟と産学官の
共同研究スペースや
企業スペースを備えた開発支援棟のほか、既存の
工業技術センターの実験棟のスペースも確保し、金属表面をナノレベルで削ります超
精密切削加工機、
ナノファイバーを製造する
エレクトロスピニング装置や、アルミ板を摩擦熱で溶かして接合する2次元
摩擦攪拌接合装置などの設備を設置することとしています。
こうした施設や設備を活用して、富山県のものづくりを担っている機械、電子、プラスチック、アルミ、繊維、医薬などの産業が異分野、異業種連携を進め、ナノテクと
ものづくり技術の融合による新たな技術や製品の開発を進めることとしています。
また、
長期インターンシップや研究活動を通じて、企業ニーズにこたえた実践的な
技術研究人材の育成にも力を入れていきたいと考えています。
センターの具体的な運営につきましては、今後設置を予定している
運営委員会等で十分検討を行い、整備を進めていくこととしております。
新しく設置される富山県
ものづくり研究開発センター(仮称)が多くの企業や大学に利用されるセンターとなるよう努めてまいる所存であります。
7 矢後委員 ただいまの
商工労働部長の答弁の中にありました
産学官共同研究という言葉は大変にいい言葉だし、大切な言葉だと思うんですね。このセンターを利用していく中で、産学官のうち学とか官というのは、県が主導することによって、参加をお願いすることは現実的に考えられると思うんですけれども、一番大事なのは産、いわゆる民間企業に学とか官と一緒にこのセンターを活用して、おれも一緒に共同研究に参加してみようかなと思っていただくことがやはり肝心なのではないかと思うんです。
そこでお尋ねいたしますが、県としては、具体的にはこの産、すなわち民間の参加機運を醸成していくために、どのような手法、
仕組みづくりを考えておられるのか、
商工労働部長にお伺いをいたします。
8
柳野商工労働部長 本県の
ものづくり産業が力強く発展していくためには、産学官連携による研究開発を推進していくことが大変重要であると考えています。
このため、県では新
世紀産業機構に
産学官連携推進センターを設置し、産学官とのネットワークの形成や
産学官共同研究に対する支援制度の充実、産学官が一堂に会する交流会の開催など、これまでも県内企業が大学や
公設試験研究機関と共同研究を実施できる環境を積極的に整備してきたところであります。
産学官の共同研究数は、着実に増加してきているところであります。さらに、新年度は新
世紀産業機構への新たな
コーディネーター等の配置、
コーディネーター等の連絡会議の開催、高度技術の実用化を目指す研究開発に、2年間で1,000万円を支援する新たな
産学官共同研究の支援制度の創設など、企業と大学、
公設試験研究機関との連携を一層推進することとしています。
また、高度な技術開発により、
ものづくり産業の活性化に寄与した企業を表彰する富山県
ものづくり大賞を新たに創設し、産業界のものづくりに対する機運の醸成を図ってまいることとしています。県内企業の方々には、さまざまな機会や支援制度等を活用し、
産学官共同研究に積極的に取り組んでいただきたいと考えています。
9 矢後委員 富山県
ものづくり大賞というのは、いわゆる日本海側屈指の工業集積を有している
ものづくり県富山としては、非常にいい発想なのではないかなと思います。
そもそも、この富山県
ものづくり研究開発センター(仮称)でありますけれども、これが設置されることによって、我々が一番期待しているのは、本県の
ものづくり県富山としてのステータスが一層上がること、他県との差別化が一層図られること、ここのところがやっぱり一番肝心なところじゃないかなと、我々がこのセンターに期待するものじゃないかなと思うし、また商工労働行政に県民の皆様が期待しておられるところだと思うんですね。
そこで今回、他県にはない知恵を出し、また地方全体のためにも知事以下県当局が大変な苦労をされてセンターの設置にこぎつけられたわけですけれども、このセンターの設置によって、本県のいわゆる
ものづくり県富山としての姿は今後どのようによくなっていくのか。また、
ものづくり県富山として、他県と比べての優位性がさらにどんな形であらわれてくるのか、生かされていくのか、こういう一番肝心なところについて、知事のお考えをお聞きしておきたいと思います。
10 石井知事 本県は、高い
ものづくり技術と優秀な人材、また豊富な水や電力といったようなことで、日本海側屈指の工業県、
ものづくり県ということであります。
今後、さらに発展、飛躍するためには、本県の企業はこうした強みを生かして、将来を見据えた新たな分野への進出や新産業の育成を図っていきたいと思っております。
現在、整備を進めております富山県
ものづくり研究開発センター(仮称)については、今ほどもお話が出ましたが、国際水準の先端的な設備や産学官の
共同研究スペース、企業用の
レンタルスペースなどを備えまして、
共同研究スペースも4室、
企業レンタルスペースも10室ある、研修室も1室ある。このほかに、先ほど来部長からも話した開発支援棟があるということであります。
そこで、異業種や異分野の連携、試作品レベルの技術開発を進めることによりまして、国内はもちろんですが、世界の
マーケット市場を念頭に置いた企業の新しい挑戦を支援していくための拠点としたいと考えております。
例えば
金属分野と
プラスチック分野の連携によります金属、プラスチックの高強度接着技術を利用した
電気自動車部材やエコハウスの構造材の開発ですとか、また機械分野の超精密加工技術を活用しました超
小型運動センサーなどIT関連技術の開発、これは例えば
福祉系ロボットの開発に使えると。また、細胞チップなど医薬工学の連携の技術開発、これは例えばインフルエンザの治療などに有効な抗体の作製に活用できるということでありまして、低炭素社会に向けた環境・
エネルギー産業、高齢化社会に向けた医薬福祉産業の振興など、今後成長が見込まれる産業分野において大いなる活用が期待されるわけであります。また、この技術開発を進めるだけではなくて、それを通じて実践的で高度な若い人たちの人材育成にも使いたいと思っております。
こうした取り組みは、医薬バイオでは石川と共同でほく
りく健康創造クラスターもやっておりますし、またかねて本県の強みを生かして、福祉系も含めたロボット分野、また環境面からも必要な新エネルギーの分野、小水力発電とか太陽光発電とか、これまで県が重点的に支援した成長分野の技術開発をさらに加速しまして、
ものづくり技術の一層の高度化を図りたいと思っております。
このセンターの整備による
研究開発支援と同時に、新しい年度から研究開発に対する助成を拡充する。例えば2年で1,000万円を支援する
高度技術実用化支援事業を新たにつくったとか、また昨年スイス・バーゼルに行きまして、連携協定を結びましたが、それを受けた国際的なワークショップを開催しまして、富山県の医薬品ここにあり、ということで、
医薬バイオ産業の振興を図る。
また、航空機産業など新しい産業分野への参入の支援をする。また、
富山ものづくり総合見本市の開催を図るということで、県内の企業の新規事業創出を技術革新と販路開拓との2つの面で支援をする。そして、本県の産業発展を図る、こういうふうに考えております。
11 矢後委員 今回は本当に選定されてよかったなと思っております。せっかく大変な苦労をして選定していただいたわけですから、ぜひ役立てていただきたいと思います。
次に、
特別支援教育についてお尋ねをいたします。
障害により特別な支援を必要とする子供たちとその保護者の方にとって、一般の家庭にはない悩みというのは子供の進路であります。したがいまして、そういう方々に対する就学指導・
就学相談システムの一層の充実は喫緊の課題であると思っております。
県では、新たに新年度から
就学指導コーディネーターを配置されるなどの施策を講じられるというふうに伺っておりますけれども、新年度以降、障害により特別な支援を必要とする子供とその保護者の方に対し、その就学指導、
就学相談体制をどのように充実していかれるのか、まず教育長にお伺いをいたします。
12 東野教育長
県教育委員会におきましては、障害のある子供やその保護者を対象といたしまして、
巡回就学相談会を年2回行っております。それから地区相談会については県内を4地区に分けまして、全部の市町村で開催しているところでございまして、
特別支援教育に関します情報を提供いたしましたり、保護者の就学の不安、悩みにこたえてきているところでございます。
就学指導は、委員から御指摘がございましたように、保護者の理解を得ながら取り組むことが大変大切でございますので、平成22年度はこれまでの
巡回就学相談会を引き続き行いますとともに、より身近な地域でいつでも相談できますように、地区別相談会を拡充したいと考えておりまして、21年度60回のものを96回に増やしたいと思っております。
これらに加えまして、新年度実施いたします
特別支援教育総合推進事業の中におきまして、新たにこうしたことに経験豊かな人、あるいは
就学指導手続等に大変理解のある人たちを
就学指導コーディネーターとしてお願いいたしまして、市町村の要請に応じて派遣します。保護者の方、そして
市町村就学指導委員会の判断がなかなか一致しない場合も多いわけでございまして、これらの間の連絡調整を行う、あるいは関係機関とも連絡調整を図りまして、きめ細かな対応をしてまいりたいと考えております。
13 矢後委員 もう1点、教育長にお伺いいたします。
今度は、就労支援についてであります。
昨年の12月、我が党の福祉環境部会で、京都府の、はあとふるジョブカフェを視察してまいりました。五十嵐議員、吉田豊史議員、そして杉本委員長にも御出席をいただいたところであります。
ここでは、全国でも例を見ない都道府県直営の
障害者就労支援拠点ということで、独自の政策をとっておられまして、その結果、特に従業員数56人から99人の中小企業における障害者雇用率が、京都府は全国的にも非常に高くなっているという成果を出しておられます。
本県も、中小企業が比較的多く、しかも頑張る中小企業が多いわけでありまして、そういう中小企業の方々に障害者雇用について、理解を深め、御協力をいただくということは大変意義の大きいことではないかと思うわけであります。
県では、新年度より新たに
緊急雇用創出基金事業を活用して、
特別支援学校就労支援事業をスタートさせると伺っておりますが、具体的にはどのように障害者の方々の就労を支援していかれるおつもりか、教育長にお尋ねをします。
14 東野教育長 新年度、新たに実施いたします
特別支援学校就労支援事業でございますが、この中で民間企業で障害者雇用の実務経験や人事担当経験のある方にお願いいたしまして、
特別支援学校就労コーディネーターとして、県内4地区の
特別支援学校に配置し、巡回することにしているわけでございます。
この役割でございますが、企業等を訪問いたしまして、就業体験、就職受け入れの要請をしますこと、そして希望生徒とのマッチング、障害者雇用の理解、啓発を図りますこと、支援方法につきまして、相談も行わせていただきたいと考えておるところでございます。こうしたことを通じまして、
就職受け入れ企業の拡大を少しでも図りたいと考えております。
また、こうして回るときに、関係機関への情報提供、例えば県内に4カ所ございます障害者就業・
生活支援センターにおきまして、事業所での職場実習を行います
障害者チャレンジトレーニング事業や、県単独の
雇用奨励金制度の活用なども紹介いたしまして、支援に当たりたいと考えております。今後こうしたことを通しましてネットワークの拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
15 矢後委員 今ほど説明いただきましたけれども、この京都府の例を見ますと、中小企業における障害者の実雇用率は、平成21年6月現在で全国平均が1.77%だそうで、京都府は1.86%ということで、非常に高くなっているという実績があります。ほかは全国どこでも低くなっております。ぜひ参考にしていただけたらいいんじゃないかなと思います。
もう1つ、ちょっとおもしろいなと思ったことがありますので、お尋ねをいたしますが、プロの医師の方、それから臨床心理士とか大学の先生等々で構成する
専門家チームとか、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士などのプロで、今回新たに
専門巡回相談員というものを組織されるそうです。こういう、いわゆる医療、治療のプロの方々で
専門家チームとか
専門巡回相談員を配置されるということですけれども、この方々は本県の
特別支援教育の一層の充実、フォロー体制の確立という中で、どういう役割を果たしていかれるのか、県としてはどういうふうにそれを期待しておられるのか、教育長にもう1点お伺いしておきたいと思います。
16 東野教育長 小中学校に在籍する障害のある児童生徒は、さまざまでございまして、担任だけでの対応ができず、外部の専門家などの応援を頼むことが最近増えてきているのは、委員から御指摘のとおりでございます。
このため、
県立特別支援学校におきましては、小中学校からの要請に応じまして、教育的観点からの助言として
コーディネーターを派遣し、指導に努めてきているところでございます。
また、
総合教育センターにおきましては、医師、臨床心理士などの
専門家チームを設置いたしまして、対象児童のケースに応じまして、チームとして指導助言を行っております。
委員から御指摘がございました
派遣専門巡回相談員でございますが、新年度から実施いたします
特別支援教育総合推進事業の中で、個々具体的な指導に当たりまして、技術的な方法について指導を行うものでございます。医師、理学療法士、作業療法士などの専門家を
専門巡回相談員としているわけでございますが、これらを小中学校に派遣いたしまして、具体的に、医師によります問題行動の分析対応、理学療法士によります体の姿勢をどのように保ったほうが効果的かといったような技術的な方法、作業療法士によります手や指の使い方など、より具体的で実践的な指導助言を図るものでございまして、こうした取り組みをさらに進めてまいりたいと考えております。
17 矢後委員 もう一つ、去る3月4日だったと思います。我が党の政務調査会の勉強会が開催されまして、一般質問でも取り上げた方がおられますけれども、富山大学の先生がお見えになられまして、ICT教育について勉強をさせていただいたんですが、そのときに先生が持ってこられたパンフレットは「教育支援人材育成プログラム」というもので、今ここに持っています。
きょう、この問題の最後に知事に一つお伺いしたいのは、新年度から国委託事業として富山県
特別支援教育総合推進事業というのを始められるということで、大変期待を申し上げたいと思うんですが、専門家によるさらなる支援体制の充実、それから富山大学生によるスタディ・メイトジュニア、それから今申し上げた富山大学の教育支援人材育成プログラムで学んだ教育ボランティア等の積極的な活用を図っていただきたいなと思うんです。
このパンフレットには「一生懸命勉強したので、活躍の場を求めています」と書いてありまして、ここに「積極的に登用します」、「教育長東野宗朗」と県教育長メッセージが書いてありますので、書いてある以上はうそではないと思うんですね。ですから、これはちょっと冗談で書いたのでというのでない御答弁をぜひ知事からちょうだいしたいと思っておりまして、
特別支援教育の分野における先進県づくりにぜひ挑戦をしていただきたいと思いますが、どのような所見をお持ちか、お伺いをしておきたいというふうに思います。
18 石井知事 委員のお話にありました富山県
特別支援教育総合推進事業につきましては、先ほど教育長が御答弁いたしましたように、幼稚園や小中学校、高校、
特別支援学校に在籍する障害のある児童生徒の支援を、教育、医療、保健、福祉、労働等の人材が連携しまして体制を整備し、新たに総合的な支援に取り組むということでございます。
この事業については、
専門家チームを設置しまして、その中には、先ほど委員もおっしゃった医師、臨床心理士、大学教授といった方もおられるわけですし、また
専門巡回相談員、スタディ・メイトジュニア、それから
就学指導コーディネーターの派遣を行うことにしております。
このスタディ・メイトジュニアのほうは、富山大学の人間発達科学部の教員志望の学生を小学校に派遣するわけでございます。
県としましては、こうした
特別支援教育充実のために、県独自の取り組みを行ってきたところでありまして、例えば19年度から国が市町村に財源措置することになった発達障害児を支援するスタディ・メイトの配置については、実は富山県が国に先駆けて18年度から県独自の財源で実施したということでございます。
さらに、22年度におきましては、新たに実施しますこの総合推進事業に加えまして、県独自の措置といたしまして、先ほど教育長からも御答弁いたしましたが、
特別支援学校に就労支援の充実を図るための就労
コーディネーターを4名配置する。それから、市町村が配置するスタディ・メイトを支援するスタディ・メイト
コーディネーターという方々を8名配置する。これは、スタディ・メイトの経験のある方を教育事務所に配置して、市町村を巡回して支援するというものでございます。また、小中学校の特別支援学級の17学級増設や通級指導教室を担当する教員を7名増やすことにしております。そのほか、医療的なケアを必要とする児童生徒のために、看護師を2名増配置するといったことにも取り組んでおります。
なお、この富山大学の教育支援人材養成プログラムで学んだ社会人の教育ボランティアとしての活用について、これは委員からもお話がありましたが、スタディ・メイトジュニアの派遣事業に合わせまして、今後、教育委員会でぜひ前向きに検討してもらいたいと思っております。
私は、障害のある子供たちが自立して社会参加するために、一人一人のニーズに応じた適切な指導や支援を行う
特別支援教育の充実に取り組むことは大変重要なことだと思っておりますので、委員が御指摘のように、
特別支援教育についても先進県だと言われるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
19 矢後委員 期待を申し上げておりますので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
次に、木育についてお尋ねをいたします。
木の持つ一番いいところというのは、やっぱりやさしさとか温かさとか、そういうものだと思うんですね。木に触れて生活していくというのは、豊かな心を養うとか、他人を思いやる心を養うとか、そういう意味で、木を使った教育、木育というのは大変いいことではないかなと思うんですが、これが推進されるためには、何よりもまず自分たちの身の回りに木に触れる機会がもっと増えなきゃいけないだろうと思うんです。
最初にまず考えられるのは、県として特に農林水産部を中心に県産材の利活用ということで、大変いろんな創意工夫をしておられますけれども、公共施設等において、さらにメード・イン富山の県産材を目にする機会を増やしていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。
これで、まず1点目、お伺いをいたします。
新年度以降、公共施設等における県産材の一層の普及、もっと県民の方にたくさん目に触れるようにするために、どういうふうに取り組みたいと思っておられるのか、農林水産部長のお考えをお尋ねいたします。
20 寺井農林水産部長 公共施設等におきます県産材の利用に関しましては、国におきまして公共建築物等における木材の利用促進に関する法律案が今週の3月9日に閣議決定されて、国会に提出されております。
これによりますと、国はもとより県や市町村におきましても、公共建築物に国産材等を利用する努力義務が明記されておりまして、今後、一層そうした取り組みが必要になってくると思っております。
県といたしましては、これまでも県産材の利用と普及を図りますために、女性相談センターや交番、駐在所などの県の施設には率先して県産材を使用しますとともに、市町村等の保育所や福祉施設などの内装の木質化を支援するほか、国や県が実施します公共事業や備品調達への県産材の利用を働きかけております。
また、県庁を訪れる方に県産材をPRするために、県産材でつくったテーブル、いす等を議事堂1階のロビーに配置させていただきましたが、来年度は本庁舎の県民サロンの内装の木質化を行うことにしております。
さらに、本年度設置しました森林整備・林業再生基金を活用した、くつろ木空間整備促進事業を使いまして、保育所や学校、福祉施設等の木質化等を積極的に推進していくことにいたしております。
21 矢後委員 ただいま農林水産部長から、県の施設について積極的に活用したいという御答弁をいただいたわけであります。
そうすると、気になるのが代表質問、また一般質問で我が党の議員各位が取り上げておりましたふるさと文学館(仮称)の整備であります。知事公館を活用して整備することを新年度以降、計画しておられるということでしたが、ふるさとの文学館であるならば、当然ふるさとらしさが出なきゃいけないだろうと。ということは、ここには県産材がきっとたくさん利用されるんだろうなと。そうすると、たくさんの人に来ていただいて、たくさんの人に県産材、富山の木に触れていただくという一石二鳥の効果があって、とてもいいなというふうに思うのでございます。ぜひとも石井知事の御英断をお願いしたいと思うのでありますが、どうでございましょうか。
22 石井知事 先月、ふるさと文学資料評価・活用委員会からいただいた報告で、建物につきましては、文学館を訪れる人が文学に親しんで楽しみながら学ぶ機会を提供する。また、高齢者、幼児、障害者なども安心して利用できるように配慮したもの。また建物自体が文化的な価値を持って、人が何度も訪れたくなるような特色、風格のある建物であることなどと提言されております。
御提案の、こうした多くの方に訪れていただきたい文学館で県産材を活用することは、お話しのように、木の持つ温かみ、あるいはやさしさ、安らぎ、また香りなんかもいいですし、訪れた方々の心を豊かにする効果もあると思います。
そこで、また県内の林業、木材産業の振興などにも貢献するということもあると思いますから、できるだけ県産材を活用したいと思っております。
ただ、建設予定地は準防火地域でありますので、躯体は耐火構造であることが求められますので、県産材はどうしても内装を中心とした活用にならざるを得ないんじゃないかと思っております。
私は、知事就任以来、大変厳しい財政事情に直面しましたので、施設、いわゆる箱物を新しくする機会が大変少なかったわけですが、しかし、例えば女性相談センターとか、交番、派出所等などについては、率先して県産材を使用するように指示をしてきております。
ふるさと文学館(仮称)の整備に当たりましても、3月中に県としての基本方針をまとめて、今度の予算案の御議決をいただいた上で、新年度から先ほど申し上げたような方針で基本設計に取り組むこととなりますけれども、これは公募によるプロポーザル方式などを考えていますので、建物全体についてどういうプロポーザルがなされるか。また、もちろん文学館の中のいろんな部屋の機能は、例えば展示中心、閲覧室、それから子供用の部屋とかいろいろあると思いますので、そういった内容にもよると思いますが、できるだけ県産材の活用について配慮してまいりたいと思っております。
23 矢後委員 防火地域とか準防火地域とかありますけれども、「コンクリートから人へ」は、ちょっとあいまいでよくわからないんですが、「コンクリートから木」は、やっぱりいいことだと思いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
もう1点、次は新年度の新規事業であります。
とやまの木で家づくりモデル事業について、お尋ねをしたいと思います。
県産材を活用して木造住宅を建設される方には、70万円を上限として補助するという政策だそうでありまして、この70万円が上限というのは、全国で最も手厚い補助であると伺いました。大変いいことじゃないかと思うんですけれども、せっかくやられる新年度からの新しい取り組みですから、ぜひ成功をしていただきたいと思いますが、逆に言うと、これまで県産材を使用した木造住宅を普及させていくという事業は、どこに事業推進のネックがあって、それに対して今回新しい事業等を活用して、新年度以降、どう対処していかれるおつもりなのかということについて、農林水産部長にお伺いをいたします。
24 寺井農林水産部長 一般住宅での県産材の利用を促進するために、これまで県内の建築関係者を県産材アドバイザーに委嘱しましたり、無利子融資などを行ってきておりますが、平成21年の実績見込みは20戸程度と、まだ少ない状況であります。
このため、本年度、ハウスメーカーや製材業の専門家等から成ります県産材住宅検討委員会を設けて、推進方策等を検討しております。
そこでの議論では、まだ少ない要因としまして、今は工期やコストを切り詰めるためにプレカット加工が増えまして、手仕事をする人が少なくなってきていること。また、住宅関係法令の改正等によって、狂いが少なく、強度が明確な材料が求められていること。そして、県産の杉が集成材や他県産に比べて単価が高いと。さらに、工務店が求める量を安定的に供給できなかったといったような問題が指摘されております。
これらの問題を一気に解決することはなかなか難しいですけれども、いろいろな方策を考えておりまして、これまでの県産材アドバイザーに加えまして、県産材等需給量拡大事業によって
コーディネーターを配置しまして、木材生産から建築までの連携を図ることにいたしております。また、県産材を低コストで安定的に供給するために、林業の施業集約化、作業路網、高性能機械の整備、山から製材所への直送方式の構築、さらには製材所の加工機械への支援といったようなことにも取り組んでまいります。
さらに、県民の皆さんの需要を喚起しますために、今ほど御指摘いただきましたとやまの木で家づくりモデル事業を創設いたしまして、県産材を使用した住宅の新築、増改築に対して、木材の使用量に比例しまして、70万円までの補助を行うことにしておりますが、これによりまして、材によります単価差の問題は解消されると思いますので、積極的にPRして県産材の利用促進につなげていきたいと思っております。
25 矢後委員 農林水産部長にもう1点お伺いします。
つい先日の話でありますが、今月の6日、7日に富山市総曲輪のグランドプラザで「とやまの木の公園で遊ぼう!」というイベントが開催されました。とやま木育推進事業の一環ということでありまして、私としては、この木育推進事業の一環として行われた今回のイベントの結果が気になるわけですけれども、まだ時間がたっていませんので、取りまとめていらっしゃらないかもしれませんが、今回の催しの成果に対する農林水産部の評価と今後どのように今回の経験を生かしていかれるおつもりなのか、もしまとまっていらっしゃったら、お伺いしたいと思います。
26 寺井農林水産部長 先日、開催いたしました「とやまの木の公園で遊ぼう!」というイベントにつきましては、富山大学と連携いたしまして、広く県民の皆さんに県産材に手を触れていただいて、木のよさを体感してもらうために、とやま木育推進事業の一環として実施したものでございます。
内容としましては、とやまの木を使った遊具アイデアコンテストを行いましたが、その優秀作品をもとに試作しました5点の遊具を展示したり、富山大学芸術文化学部の学生が製作したおもちゃを展示したり、また県産材の積み木コーナーの設置や、ボランティアによります森の音楽会なども行いまして、訪れた家族の皆さんに手で触れて、木から出るいろんな音や香りも楽しんでいただいたところであります。
会場の総曲輪グランドプラザ一帯は、2日間で約1万人の方が訪れたということですが、その中で実際の数を把握しておりませんが、1,000人から2,000人の方が御家族連れで実際に触れていただいて、大変好評をいただいております。
また、県はこれまでも「木とふれあい、木に学び、木と生きる」という木育の考え方に基づきまして、これまでも県産材を利用しまして、県内すべての幼稚園、保育所に積み木の配付をしたり、あるいは屋外遊具であります大型の「こどもの城づくり」、さらには県産材のベンチの設置、教室机の天板の交換といった事業に取り組んでおりまして、これも実は水と緑の森づくり税によります普及事業の一環として取り組んでおります。
今後は、さらに木製遊具を児童館や各種イベントに貸し出すとともに、新しい木製遊具の開発も進めまして、子供からお年寄りまで、県民の皆さんに木育を広げていきたいと考えております。
27 矢後委員 木育の最後に、教育委員長にお伺いをしたいと思います。
今ほど知事、また農林水産部長からいろいろと御示唆をいただきました。やはり木育というのは、温かい人、やさしい人を育てていく上で大変にいい教育じゃないのかなと思います。
先ほども言いましたが、やはり「コンクリートから木へ」というのは、日本人らしさを養う上では、「コンクリートから人へ」よりはよっぽどまともな政策じゃないかなと思うのであります。ぜひ県内の小中学校においても、木育の概念を取り入れていくべきではないかと思いますが、今後、本県の教育の中で、木育をどのように生かしていけばいいと考えておられるのか、お伺いをいたします。
28 村井教育委員長 御承知のとおり、西欧諸国などの文化が石の文化と言われてきましたのに対し、五重の塔などに代表されますように、日本人は木の文化を大切に守ってきております。昔から木に親しみ、住宅、家具、燃料など、生活の隅々で有効に活用し、まさに木と共生してきたと言えると思います。また、木の文化は雪、月、花など豊かな自然と同じように、日本人らしいきめ細かな感性を育ててきたと考えております。
ただ、私たちには、こうした木の文化を子供たちに伝え残していく責務がありますが、学校では従来から例えば図画工作科において、木切れや板材など身近なものを使ってつくり出す喜びを味わったり、中学校技術家庭科においては、木材の特徴や利用の方法、加工法を学習して木工品を制作するなど、木に触れ、木のよさを体感するなど、木を教材として活用する学習に取り組んできております。また、環境問題の観点からは、森林資源の働きと自分たちの生活とのかかわりを学習し、森や木が環境の保全に欠かすことのできない資源として重要な役割を果たしていることを学んでおります。
このように、子供たちが木のぬくもりを感じ、木材のよさや特徴を学び、そのよさを生かした学習活動を行いますことは、樹木の命に気づき、自然の美しさに感動するなど、子供たちの豊かな感性ややさしい心をはぐくむことにつながるものと考えます。今後も、木育なども通して山、川、水など、本県の豊かな自然環境を生かした教育活動を充実させていくことが大切であると考えております。
29 矢後委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に、食のとやまブランドについてお伺いいたします。今回は、首都圏に的を絞って何点かお尋ねしたいと思います。
まず、来月、東京の丸の内において、「キトキトとやまフェアin丸の内」を開催されるということであります。12日間の長きにわたり、かつ、丸の内ハウスの飲食店は8店舗あるそうですが、全部を使ってやられると。オープンニングレセプションには石井知事みずから御出席されるという予定ではないかと伺っております。大変大きな企画で、県としてはとても思い切った施策かなと思うんですが、今回このプロジェクトを企画するに至った背景と、これによってどのような効果を期待しておられるのか、まず農林水産部長にお伺いをします。
30 寺井農林水産部長 これまでも首都圏から食のとやまブランドを発信しますために、毎年5月の連休前に東京で食と観光のイベントを実施しておりまして、昨年は銀座松阪屋と有楽町駅前で「いこいこ富山ワールド」と称しまして、映画「劔岳 点の記」のPRも交えまして特産品の実演販売等を行い、好評を得ております。
今回の「キトキトとやまフェアin丸の内」の開催につきましては、今申し上げました昨年のイベントや東京アンテナショップの活動を通じまして関心を持っていただきました新丸ビル側からの提案がきっかけでございますが、県としましても、新丸ビルが東京駅前の新たな情報発信の拠点となっておりまして、丸の内のオフィス街には24万人の方が働いておられると聞いておりますが、そういった方はもとより多くのビジネスマンなどが訪れるということもありますので、従来にも増して話題性があり、波及効果が大きいと考えて企画したものでございます。思い切って新しい場所にチャレンジしてみようと考えた次第でございます。
イベントの内容といたしましては、4月13日から24日までの12日間、新丸ビル7階の全フロアを使いまして、すべての飲食店8店でしゅんのホタルイカやとやまポークなどの富山の食材を使ったオリジナルのメニューを考案して提供していただくほか、回廊式のフロアをチューリップで装飾しましたり、富山の食と観光のセミナーを開催するなど、新しい企画を準備し、富山の食のファンを増やすとともに、春の観光への誘客につなげていきたいと考えております。
31 矢後委員 思い切った新しい政策の次に、古くて歴史のある政策についてお伺いをします。
「銀座みゆき通りフラワーカーペット」は、ことしで24回目になるそうです。銀座みゆき通り美化会と富山県の共催で行っていらっしゃるということです。銀座みゆき通り美化会の皆さんには、四半世紀にわたり富山県のこういうイベントに御理解をいただいたことで感謝を申し上げなきゃいかんと思いますし、銀座みゆき通りというのは、江戸時代における参勤交代の大名が行き交った道だそうです。明治天皇が築地の海軍兵学寮や海軍省、また浜離宮などへ行幸の際に通られた道ということで、東京の中でも格式の高い道ということで有名だそうであります。これまで、「銀座みゆき通りフラワーカーペット」を本県が特にやらせていただいているわけですが、首都圏の方々はこの23回に対して、どのような評価を与えてくださっており、ことし24回目になりますが、どういう決意で臨まれるのか、農林水産部長にお伺いをいたします。
32 寺井農林水産部長 当フラワーカーペットにつきましては、由緒ある銀座みゆき通りの商店街と富山県が共催して実施しているものでございますが、県が提供しましたチューリップの花びら120万枚や立山杉の葉を使いまして、300メートルの車道に16枚の大きな絵を描くものでございます。毎年、休日の4月29日に開催しております。ことしで24回を数えますが、東京では銀座の春を彩るイベントとして広く知られておりまして、毎年約5万人の方に見ていただいております。当日は、朝から地元の約350名のボランティアの方が図案を見ながら、懸命にフラワーカーペットをつくられまして、色鮮やかにでき上がりますこの姿は、大変感動的で、美しいまちづくりのモデルとして高く評価されているものでございます。
本県としましても、富山県の魅力やチューリップをPRする絶好の機会ととらえまして、フラワーカーペットへの協力に加え、立体のフラワータワーの設置や特産大使によります切り花の配布、観光、特産品のパネル展示などを行っております。
ことしは、これらに加えまして、4月上旬から街路灯に「とやまのチューリップ」のデザインと文字を入れましたフラッグを掲示いたしますとともに、通りに面しました50の店舗において、「とやまのチューリップ」と書いた花器で切り花を展示することにいたしております。これまで24年間、銀座みゆき通りの皆さんの熱意によって支えられておりますが、都心で富山県の魅力を発信できるイベントとして今後とも末永く継続されますように、支援協力していきたいと考えております。
33 矢後委員 この問題の最後に、知事にお伺いいたします。
来月、丸の内、銀座と東京で連発して富山県の農山漁村の産物をPRされる事業をされるということで、大変に勇気の要る取り組みだったんじゃないかなと思います。東京の方は目も肥えていらっしゃいますし、各都道府県が一生懸命そこへPR、セールス合戦しているわけですから、やっぱり高い評価を得なければ、富山県にとって他県におくれをとってしまうというリスクも抱えた挑戦じゃないかなと思います。何としても成功していただきたいと思うんですが、県としてどのような準備をしているのか、また覚悟のほどをちょっと披瀝していただけたらありがたいと思います。
34 石井知事 今お話しのとおり、従来からやっておりますみゆき通りのイベントに加えまして、ことしは新たに新丸ビルでもイベントをやろうということなんですが、これは新丸ビル側からお誘いがあったのがきっかけで、というのは、さっき部長が申し上げたとおりで、ただ、私から申し上げて恐縮なんですが、最近東京で、なかなか富山県が元気だなというイメージが出てきているように思うんですね。そのきっかけは山手線の車体広告で、あれも自治体として初めてああいうことを始めたわけですし、また一例を挙げますと、いきいき富山館も、平成16年ごろは売り上げを平均すると、大体1日13万円ぐらいだったんです。10万円売り上げがあると「まあ、よかったな」と。それが売り場面積を2倍にして、売り上げが2倍になったのが2年ほど前です。その後、また頑張って、今は4倍ぐらいで、大体1日40万から50万円売れている。昨年の28日、29日の2日間は、実に売り上げが1日200万円を超したということでありまして、そういうことが何となく伝わって、やるんなら富山県に声をかけようかと、こういうふうになってきているようにも私は思っております。
そこで、今部長からお話を申し上げましたように、「銀座みゆき通りフラワーカッペット」につきましては、地元の協力もありまして、ことしで24回目ということで定着しているイベントでありますから、これはさらに内容が充実するように努力していきたいと思いますし、また新たに企画した「キトキトとやまフェアin丸の内」の会場となります新丸ビルの7階フロアは午前11時から翌朝の4時まで営業していまして、若い人などが飲食に1日3,000人以上訪れる非常に注目度の高いスポットであります。期間中は、この7階フロアすべての飲食店──これはいろんなお店が8店舗ありますが、その飲食店で県産食材を使ったメニューを提供いただくことになっております。実は昨日、実際に食材を調査して料理のイメージを膨らませるため、お店の方々が来県されまして、大変意欲的に準備いただいております。
今までは三重県と鳥取県がやっているようですけれども、今回初めて昼ランチにも富山の食材を使ってもらいまして、例えば主なメニューとしては、ホタルイカと白エビの塩チャーハンとか、氷見うどんのナポリタンとか、ニギスの炊き込み御飯とか、聞いていると、私も食べたいなと思うような、なかなか意欲的なメニューが非常にそろっているんですね。
また、より多くの方々に御来場いただけるように、3月中は首都圏の300社のマスコミにイベント情報を配信しますとともに、開催初日には、とやま特産大使がチューリップの花束を持って都内の新聞社やテレビ局を訪問し、番組に出演するなどして広くPRすることにしております。
私もこれまで富山をアピールする重要なイベントには、できるだけ自分で出るようにしておりまして、直接富山県のよさをメディア関係者などにも訴えかけてきました。今回も出席させていただこうと思っていますが、ちょうどこの間、室井滋さんとお会いする機会もありましたので、ぜひこのオープニングレセプションに、今NHKの朝ドラマで一層人気が出ていらっしゃる室井滋さんに出ていただくことにしておりまして、そこでトークショーをお願いすることにしております。
最近、室井滋さんは……。
35 杉本委員長 知事、持ち時間が少なくなっておりますので、簡潔にお願いします。
36 石井知事 大いにこのイベントを盛り上げたいと思いますので、よろしくお願いします。ぜひ委員の皆さんにも御参加賜ればありがたいと思います。
37 杉本委員長 以上をもちまして、矢後委員の質疑は終了いたしました。
柴田陽子委員の質疑及び答弁
38 杉本委員長 柴田委員。あなたの持ち時間は60分であります。
39 柴田委員 ただいま予算特別委員会の質問をさせていただきますけれども、ちょっと風邪ぎみで声が出ませんので、聞きにくいところもあると思います。なるべくよく聞いていただいて答弁していただきたいと思います。
今回の私の質問は、高齢者福祉と子ども手当についてのみ集中させていただきます。
まず初めに、昨年の10月から介護従事者の賃金改正について1万5,000円の改善──これは国がそういうふうな形をとっておられるんですけれども、この介護職員処遇改善等臨時特例交付金により賃金改善がされた介護従事者は県内で何人ほどおられるのかということをまずお聞きします。厚生部長。
40 飯田厚生部長 介護職員の改善の交付金につきましては、本年1月31日現在、715の介護サービス事業所から申請がなされておりまして、3月に支払われる予定の交付金、これは約1億2,000万円となっているところでございます。そういうことで、職員1人当たり、1万5,000円の賃金改正がなされると仮定をいたしますと、常勤換算で8,086人の賃金が改善されるものと推計されるところでございます。
ただ、国におきましては、すべての事業者が処遇改善交付金を活用されますよう、事業者の事務負担をできるだけ軽減するという趣旨から、交付金の申請においては、処遇改善を行う職員数は必要記載事項ではなく、任意の記載事項とされております。また、県独自の判断で記載する事項を追加したり、添付資料を求めるということのないよう、県に対しても国から要請も来ているところでございます。
このようなことから、現段階でこの交付金により賃金が改善される介護職員の人数を正確に把握することが困難でございまして、先ほどのように推計をさせていただいたところでございます。
ただ、現在提出されている計画書に人数の記載がある事業所の集計をいたしますと、申請事業所715のうち480の事業所にこの記載がございます。ただ、これにつきましても、常勤換算という計算でございまして、それを積み上げますと、480事業所で5,632人となっております。
交付金を受けた各事業所につきましては、本年の5月末までに実績報告書を提出することとなっておりまして、この実績報告書では、介護職員数や1人当たりの賃金改善額等を記載することになっております。
このようなことから、県ではこの実績報告書の審査を通じまして、介護職員の賃金改善の実態等について把握したいと考えているところでございます。
41 柴田委員 この賃金改善の予算なんですけれども、大変不透明といいますか、今の部長の答弁を聞いておりましても、なかなか本当に各介護職員の賃金改善に当てられているかどうかということがわからない。例えば訪問介護とか訪問リハビリは、この賃金改善の対象外になっているんですよね。それと、この給料に対するパーセンテージで決まるわけなんですね。ですから、賃金改善がなされる介護従事者がどういう範囲でどれだけの数がおられるかということを、県もきちっと把握しておかなきゃいけないんではないかと思うんです。
それで、2番目の質問になりますけれども、正規の職員、きっと計画策定されるときは、登録された正規の職員はもちろん計画書の中には入っていると思うんですが、非常勤とかパートも施設の中にはたくさんおられるんです。その割合というものをどこまで把握しておられるのか、お聞きします。
42 飯田厚生部長 本県におきます介護職員でございますが、厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査によりますと──これは平成19年10月現在でございますけれども、常勤換算で8,942名となっておりまして、先ほどの賃金改善の推計人数の8,086人という人数をこの人数で割ってみますと、ちょうど90%ということになっております。正確に言いますと、90.4%ということでございます。
なお、この8,942人のうち、常勤の方の割合、構成比ですが、82.1%、それから非常勤の方の──これも常勤換算ということになっていまして、構成比が17.9%となっております。
ただ、先ほども申し上げましたが、現在提出されている介護職員処遇改善計画書に人数の記載のある事業所は、私ども一つ一つ確認させていただいたんですが、715の申請のうち480事業所でございまして、その数字を足し上げますと、5,632人となっておるところでございます。その480のいずれの事業所から出ている計画書を見ましても、記載する必要がないということもございましてか、正規、非正規別の人数を記載しているものは出されていないということでございます。また先ほども申し上げたとおり、交付金を受けた各事業所につきましては、本年5月末までに実績報告書を提出することになっておりますが、この実績報告書におきましても、正規、非正規別の職員数の記載については、国のほうでも求められていないというふうになっておるところでございます。
先ほども申し上げましたけれども、この理由につきましては、すべての事業所が処遇改善交付金を活用できますよう、事業者の事務負担をできるだけ軽減するといった趣旨からのものであるということでございまして、その点、御理解をいただきたいと思っております。
43 柴田委員 私のほうで別に理解しなくてもいいんですけれども、一応この1万5,000円という賃金改善のお金は、やはり介護職員や福祉に関連する職員の皆さんの労働条件を考えての賃金改善の予算だと思うんですよ。それは報告しなくてもいいとか、どこでどうなっているとか、県が全然把握していないということはおかしいんであって、さっき言いましたように、もらえる部署ともらえない部署があるんですよ、施設の中でも。今言った訪問介護とかリハビリは対象外になっていますし、そしてまた、施設で調整していくわけですよね、これは。もらった賃金改善の予算を施設で調整していって、その中で采配するわけですから、どれだけ職員の皆さんの賃金改善に当たっているかということは、やっぱり把握しなきゃいけないんじゃないでしょうか、厚生部長。
44 飯田厚生部長 先ほども申しましたが、国におきましては、ともかくすべての事業者の方がこの交付金を活用されるということを考えておりまして、申請の段階では、事業者の事務負担をできるだけ軽減するという趣旨から、こういった処遇改善を行う職員数等については記載事項というふうに定められておりませんで、任意の記載ということで、それにつきましては、何度も申し上げますが、今のところ715の事業所から申請が来ており、うち480の事業所では人数まで書かれているところでございます。
この点につきましては、実績報告書に、介護職員数、また1人当たりの賃金改善数を記載することにされておりますので、その段階で私どもが審査等を通じまして、ちょっと後になるかもしれませんが、実態について把握をしたいと思っております。
45 柴田委員 厚生部長の今のお話を聞いておりましたら、これからそういうような形をとっていただけるということですよね。
質問の5番目をやらせていただきますけれども、この賃金改善計画をまだ策定していない施設がありますよね。それは82%でしょうか、今言われたのは。
46 飯田厚生部長 恐らく申請をされている事業所の割合ということだと思います。一応、1月31日時点でございますけれども、交付金の対象となる852の介護サービス事業所がございますが、そのうち715事業所ということでございますので、84%ということになっております。
47 柴田委員 じゃ、その介護改善計画を策定していない施設の介護従事者は、今の時点では賃金が上がらないということになりますよね。そういう施設に対して、今後どういうような方向で支援して、計画の策定につなげていかれるのか、県としての方向性を聞かせていただきます。
48 飯田厚生部長 県では、これまでも制度の周知に努め、この制度の活用を積極的に働きかけてきたところでございまして、今ほど申し上げましたとおり、平成21年度の交付申請の期限でございます1月31日時点で、84%の事業所から交付金の申請がなされているところでございます。
ちなみに、これは全国の数字も実は出ておりまして、全国的には平均は80%と、本県が上のほうから数えますと、9番目になっているというようなデータも一応は出ていると聞いております。
県におきましては、この申請率の向上を図るために、申請をされていない事業所すべてに文書で申請を働きかけしてきたところでございますし、そのときに、申請をしない理由についてアンケートも実施させていただいたところでございます。
その結果を見ますと、一時的な措置であるといったこと、それから対象職員が介護職員に限定されているといったこと、また事務作業が煩雑であるといったようなことなどの理由によりまして、どうもこの活用をちゅうちょしているといった事業所が見受けられるところでございます。
このようなことから、県といたしましては、県の社会保険労務士会と連携をいたしまして、県内の4ブロックで巡回の相談会を開催し、交付金の事務手続とか処遇改善の方法等々につきまして、事業者の方に助言をするなど、制度の周知徹底でございますとか、計画策定の支援に努めてきているところでございます。
今後も、申請していない事業所に対しまして、働きかけを行い、できるだけ多くの事業所がこの制度を活用されますよう努めてまいりたいと考えております。
49 柴田委員 今の質問の最後になりますけれども、知事にお聞きします。
私、今回、なぜこの介護従事者の賃金改善についての質問をするかというと、私自身が老人介護をしておる立場で、施設は幾つも回ってきました。そして、その中で言われるのは、やっぱり労働条件と賃金に対する介護従事者の皆さんの声がよく聞かれるわけです。施設によって、賃金体制も全く違いますし労働条件も違うわけです。そういう意味で、介護従事者の賃金が比較的低い水準にあるということで、介護従事者や福祉に関する職員を富山県でも増やしていくときには──今から超高齢社会になりますよね。もう富山県でも4人に1人以上が65歳以上という状況になっている中で、介護や福祉に携わる職員の皆さんの労働条件なり賃金水準というのは、県としても一定のものを確保しなければならないと思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。
50 石井知事 高齢化の進展に伴いまして、お話のように、介護人材の確保のためには、やはり処遇改善ということも大事な課題だと思います。
昨年4月に、介護報酬が3%引き上げられたわけですが、今までもいろいろ議論がありましたように、国の調査によれば、報酬引き上げ後、介護職員の月額給与は平均で8,790円の増額、単純に計算すると、4.6%上がったような計算にもなるわけです。県としても新設された加算措置の適用などを働きかけてきたところでありますが、御存じのとおり、この改定は一律に報酬を引き上げるものではなくて、サービス提供体制強化に対する加算などが中心になっていますので、県内では約4割の事業所で賃金アップにつながっていないという調査結果──これは昨年6月の県社協の調査ですけれども、そういう結果も出ております。
こうしたことから、国においては、昨年の経済危機対策として、1人月額1.5万円の賃金改善を目指す介護職員処遇改善交付金制度が盛り込まれました。
県としましても、昨年6月に基金を設置して、各事業者に積極的に活用いただくように周知徹底を図ってきたところであります。その結果、ことしの1月末の時点では、約8割の事業所から交付金の申請がなされているということがわかっております。今後とも、より一層この制度の活用が図られますように、申請をまだしていない事業所への働きかけとか、交付金の事務手続に関する巡回相談会の開催などをしまして、周知徹底に努めたいと思います。
ただ、問題は、この交付金制度はまさに御案内のとおり、23年度までを期間としている一時的な措置でありますことなどから、活用をためらっている事業所もいまだ見受けられるところでございます。
そこで、この制度の継続や対象職員の拡大などを図る必要があるということで、私自身が昨年9月末、全国知事会を代表する形で直接、長妻厚生労働大臣にお話をさせていただいてきました。長妻大臣は、昨年の11月時点で「24年度以降においても、介護職員の処遇改善に取り組むという考え方を持っております」といったようなことを表明されておりますので、しっかり対応していただくことを期待したいと思います。
また、先月10日には、かねて富山型デイサービスについて、なかなか加算対象にしてもらえないという話を伺いました。そこで、現場の状況も改めて確認した上で、一般の障害者福祉サービス指定事業所と同様の加算適用を富山型デイサービスについてもしてほしいということで、この間、厚生労働省で──本当は政務三役にお目にかかろうと思ったんですけれども、どうしても国会審議でだめだということで、水田事務次官に──実務はこの方のほうが一番詳しいとは思いますけれども、じかに詳しくお話をしてまいりました。
介護職員の処遇改善は、介護人材の確保に寄与する重要な施策ですから、これからも制度の継続、また対象範囲の拡大、実態に即した介護報酬の充実が図られますように、引き続き国に対して積極的に働きかけをしてまいりたい、こういうふうに思っております。
51 柴田委員 1点、厚生部長にちょっと質問させていただきたいんですが、よろしいでしょうか。
先ほどからの質問で、今後、賃金改善も同じ介護職員であったり、同じ福祉に従事する職員であっても、部署部署で格差が出てくるということで、それを今からまた調査されるというような答弁をされましたよね。ですから、ちょっと聞きたいんですけれども、今国は、従事者に対して各都道府県における登録制ということを言っていますよね。情報を報告せよと。キャリアパス要件、それについては、今何か検討しておられますか。
52 飯田厚生部長 この賃金改善の対象となる介護従事者の点についてとキャリアパスのことと2つお答えをしたいと思いますが、委員が先ほども御質問の中でちょっと触れておられましたが、この介護職員処遇改善交付金制度につきましては、これは御存じのとおり、介護職員の賃金水準が他の職種に比べて低いということなどから、賃金の改善を図る、より一層進めようという目的で実施をされているものでございます。
このようなことから、交付金の対象となります職員は、国の介護職員処遇改善交付金事業実施要領によりまして、訪問介護者や介護職員等──これは明記されておるところでございますが、制度上、介護業務に従事していれば、どんな形態でも一応対象にはなるというふうな格好にされております。
先ほどちょっと委員からも話があったんですが、例えば当直をやっている、やっていないというような観点で、当直をしていなければ対象になる、ならないというようなことはございません。当直をしていなくても、きちんと介護業務に従事していれば対象になる。例えば看護師さんであっても、介護業務に従事していれば対象になるというように、その業務のほうに着眼されております。
ただ、この賃金改善の方法につきましては、制度上、事業所の判断で決定することができるということで、やっぱり事業所によっては当直とか夜勤など負担の大きい職員について、重点的に賃金改善を行うことも可能であるとされておるところでございます。
県としましては、やはりこういった制度の趣旨を勘案しますと、できるだけ多くの介護職員の賃金が改善されるようにしていただきたいと考えております。これまでも説明会の場などにおきまして、その周知の徹底を図ってきておるところでございますし、今後も新年度におきます説明会であったり、先ほども申し上げました実績報告書の審査をしなさいということになっておりますので、そういった場などにおきまして、各事業者等に働きかけてまいりたいと考えております。
それから、キャリアパスの点につきましては、今は検討中ということでございますので、私どももその状況を見守っているところでございます。今後そういったものがはっきりしてくれば、作業に入りたいと思っております。
以上であります。
53 柴田委員 国の方針もどんどん変わっていきます。このキャリアパスも、私は初めて聞きました。そういう形で登録して、きちっとした数を国が把握するということを各都道府県に周知してあるというような情報を聞きましたので、富山県はどうしておられるのかなと思って、ちょっと聞いたみただけなんですけれども、じゃ次の質問に入ります。
次は、子ども手当についてお聞きします。
また厚生部長で申しわけないんですけれども、今子ども手当が1万3,000円ですね。それで、私が一番気になったのは、児童手当は家庭の子供たちを扶養するための児童手当であって、子ども手当というのは、子供全体に当たる一人一人の手当ということでなったんですが、今、富山県内に3つの養護施設がありますね。富山、高岡、ルンビニ園と3つあるんですけど、その中で、まず数を聞きたいんです。その養護施設におられる子ども手当の対象になる子供さんの数。
54 飯田厚生部長 県内3施設ございまして、富山市立愛育園、ルンビニ園、高岡愛育園ということでございまして、現在その3施設で173名の方に御利用いただいております。
そして、うち中学生以下が対象になりますので、その人数につきましては、私のほうが把握している数字ですと、157名ということでございます。
55 柴田委員 その157名の対象になる子供さんのうち、本当に保護者がいない、例えば両親がいない子供というのは何人おられるんですか。
56 飯田厚生部長 その数字につきましては、3施設だけでの把握ではなくて、その他富山学園、乳児院、それから里親の委託といったような方もおられますので、入所児童等に親がいないという方については、全部で15人でないかというふうに把握しております。
57 柴田委員 本当に実質親御さんがおられない子供さんが、そのうちの15人。その子ども手当というのは、施設に行くわけですよね。
58 飯田厚生部長 子ども手当の取り扱いについて、ちょっとここで整理をさせていただきたいと思います。
児童養護施設などに入所をしている児童に対する子ども手当の支給ということでございますけれども、まず入所児童に親がいる場合につきましては、入所後も親が生活に必要な物品等を送付するなど、子供を監護し、かつ生計を同じくしていると認められれば──この認めるというのは、市町村のほうで認定することになりますけれども、認められれば、その親に対し支給されるということにまずなっております。
それから次に、入所児童に親がいないというような場合、これが今15人のケースでございますけれども、公費で養育費が支給されておりますことから、手当支給の対象外とされているところでございます。
ただ、しかしながら、この次代の社会を担う子供の健やかな育ちを支援するというのが子ども手当の趣旨でございますが、この趣旨から、国では、入所児童に親がいないという場合におきましても、子ども手当の恩恵が行き渡るべきとの考えがございまして、平成22年度の支給分につきましては、県のほうに安心こども基金というのを設置しておるんですが、それを活用して子ども手当相当額を施設に補助することを検討しておるというふうに私どもは聞いているところでございます。
それで、この場合は、施設側ではいわゆるこの補助金が流れてくるわけでございますので、この補助金を使用して、子供の学用品等を購入することになると考えております。
59 柴田委員 今ほど厚生部長が答弁されたとおりなんですね。子ども手当の支給要件というのは、まず子供を監護し、まず生計を同じくする父または母に子ども手当というのは行くんですね。施設におられる子供さんに関しては、今はその子ども手当という予算は立てられないので、基金として対応するということになっています。
ただ、私が言いたいのは、今言う157人ですか、そのうちの15人は両親がいない子供さん、あとは虐待とかいろんな形で法律的にそういう施設に入っている子供さん、そういう子供さんの分は親のほうに行くんですよね。だから、私、それをちょっと指摘したかったんです。育児できない人の子供が施設に入れられる、その親のほうに子ども手当が行くということ自体、やはり私はおかしいと思うんですよ。それは、やっぱり養育しているところに行くべきではないかと思うんですが、厚生部長の見解をお伺いいたします。
60 飯田厚生部長 委員もよく御存じのところかと思いますが、子供を監護し、かつ生計を同じくしていると市町村で認められれば、その親に対して支給されることになっておりまして、それを裏返しますと、監護を全く行わない親には子ども手当は支給されないということになるんですが、そういった親に対しては、適切な監護が行われるよう、措置機関である児童相談所でございますとか、市町村のほうで啓発、そしてまた普及に努めることとされておるところでございます。
61 柴田委員 今テレビなんかでも、よく幼児虐待とか児童虐待のニュースが流れておりますけれども、だんだんそういう子供たちも増えてくると思うんです。私が何でこういうことを言うかといいますと、栃木県の養護施設の所長さんが、そこには43人の子供が入所しているんですよ。今までその43人の子供の児童手当が全部保護者のほうに行っているわけです、その施設に行かないで。だから、その養護施設の所長さんはどう言われるかというと、育児放棄している保護者のほうに行っている児童手当の分がこの施設に来れば、その43人の子供たちのための福祉指導員とか、そういう人を3人雇えると。だから、子供の育児をしない親のほうに児童手当が行っていて、施設には全く児童手当が来ない。今度の子ども手当も児童手当と一緒になるんじゃないかという意見がありました。
結局、監護といいますか、子供を育てることのできない親のほうに子ども手当が行って、実際、施設で子供たちを養育しているところには行かないというのはおかしいということです。今、厚生部長は市町村と言われましたけれども、そういう国の制度も今どんどん変わってきますけれども、やっぱりそういうところもきちっと見ていかないと私はいけないと思うんです。それに対して、厚生部長、どうですか。
62 飯田厚生部長 22年度の取り扱いについては、恐らくこういった暫定的な措置で行われるのかなということでございまして、本当に監護を全く行わない親に対しては、もう子ども手当は支給されないといったようなことでございます。私どものほうで聞いておる限りでは、そういった親に対しては適切な監護が行われるよう啓発普及に努めるということと、それから23年度以降の取り扱いについては、子ども手当制度のあり方の検討の中で、子ども手当の恩恵が行き渡るような対応を検討していくと聞いております。3月10日に、子ども手当支給法案の附則の中に、児童養護施設の入所者など支給対象になっていない子供への支給を検討することを明記するということで、与党3党での合意ができたと聞いております。こういったことで、そういった適切でないような取り扱いがこのへんできちんと整理していただければなと思っているところでございます。
63 柴田委員 それは私もよく知っているんですけれども、だからそのお金の行き先がちょっと心配だから、聞いただけなんです。
次の質問をさせていただきます。
高齢者問題についてなんですけれども、さきの代表質問で上田議員のほうからありました質問の中で、老老介護とか認認介護とか独居老人とか、そういう質問があったときに、私も答弁を聞いておりました。
実際に最近、独居老人世帯の孤独死というのが大変問題になっています。それで、厚生労働省の調査を見ましたら、独居老人の急速な伸びも言われております。そういう意味で、少子高齢化が加速する中で、ひとり暮らしの高齢者の世帯が今後も急増することは、まず間違いないです。特に富山県も核家族化が進んでおりますし、その中での孤独死というのか、そういう問題もこれから起こると思っておりますけれども、富山県においてのひとり暮らし、独居老人の孤独死について、県としてどれだけ把握しておられるのか、厚生部長にお伺いいたします。
64 飯田厚生部長 孤独死、厚生労働省のほうでは「孤立死」といったような格好で表現をされているようでございますので、私のほうでは「孤立死」という格好で御答弁をさせていただきたいと思います。
孤立死につきましては、国でも定義がなされていないというようなことでございまして、孤立死の件数についても、統計的な把握はされていないという状況でございます。
このようなことから、県におきましても、孤立死の具体的な件数については、把握することができませんが、若干なりとも関連していると思われる統計的な数値をちょっと調べてみますと、1つには、65歳以上のひとり暮らし高齢者の死亡で、警察のほうで検視が行われた件数というのがわかっておりまして、平成21年で135件となっております。
なおまた、平成20年の人口動態統計の中を見ていきますと、自殺者のうち65歳以上の高齢者の方の数字が出ておりまして、これは102名になっているということでございます。こういったデータもあることはございますが、孤立死の具体的な件数と言われると、把握することは今のところはできないというところでございます。
65 柴田委員 今言われたデータが出ただけでも、まだ進んでいると思うんですよ。部長言われた孤立死ですか、孤独死じゃなくて孤立死と言われましたけれども、これまで、そのデータがなかなか出てこなかったんです。今、警察庁と厚生労働省との数字でも、またかみ合ってないわけです。
経済状況が悪く、新型インフルエンザが大流行したにもかかわらず、黒部峡谷鉄道については、昨シーズン中、何と97万人の利用客があったと報告を受けております。黒部峡谷を訪れる人に、さらにその魅力を知っていただくため、その一帯を充実させることが、本県の観光・地域振興にとり大変重要なことであると私は認識をいたしております。
そこで、本県が実施するナチュラリストの養成講座にぜひ黒部峡谷地域を設け、ナチュラリスト養成に取り組むべきと考えますが、生活環境文化部長、よろしく御答弁お願いします。
89 泉生活環境文化部長 本県のナチュラリスト制度でございますが、昭和49年に全国に先駆けて創設されて以来、多くのナチュラリストを養成してきております。現在350名の方に立山地区を中心に活動をいただいておりますが、人員体制の制約もありまして、黒部峡谷につきましては、委員から御指摘のとおり、活動エリアにはなっておりませんので、そこはちょっと問題かなとは思っております。
一方、黒部峡谷におきましては、昭和61年でございますが、黒部市──合併前の宇奈月町であろうかと思いますが、独自にナチュラリスト制度を設けられまして、現在60名の市のナチュラリストの方々が欅平とその周辺において、シーズン中の日曜と祝日だけではございますけれども、活発に活動されていると聞いております。こうした活動は、黒部峡谷を愛する地元の皆様を中心とするナチュラリストの方々の熱意と行動力により支えられてきたものと思っておりまして、私ども心から敬意を表したいと思っております。
そこで、県といたしましては、こうした取り組みをさらに活発化していただくための一助として、委員からも御指摘がございましたけれども、新たに、県のナチュラリストの養成講座などにおいて、黒部峡谷の自然に関する知識の習得などもその内容として織り込むこと。また、仮に要請がございましたら、市の養成講座に県のほうから専門職員とか、あるいは県のナチュラリストを講師として派遣すること。さらには、黒部峡谷における市のナチュラリストの皆さんの活動について、県のホームページなどで紹介することなどを検討しているところでございます。
なお、現在、環境省から施工委任を受けまして建設中でございます欅平のビジターセンターの中には、市のナチュラリストの皆さんからの要望にこたえる形で、ナチュラリストの活動の拠点となるコーナーも設けるように計画されているところでございます。
県といたしましては、多くの観光客が訪れます黒部峡谷エリアでの自然解説活動は大変意義のあることだと考えておりますので、県と市のナチュラリストがさまざまな形で連携協力の上、峡谷の魅力を県内外の多くの方々に発信するよう努めてまいりたいと考えております。
90 大野委員 次に、宇奈月温泉からトロッコ電車に乗って欅平に着きますと、欅平から祖母谷方面に向かう工事用道路があります。祖母谷の温泉の上のほうで堰堤等の工事がありまして、それが完了し、それに伴いまして、工事用道路であった欅平から祖母谷方面への道路をこれからどうしていくか、ということが前々から非常に関心が持たれています。一般の登山者は利用されていたわけでありますが、この道路を一般供用に向けて取り組んではどうかという話が関係者のあちこちからあったわけであります。
そこで、私が漏れ聞くところによりますと、この道路のために関係者が管理組合を設置する。そして、それによって運営方針、組織が決められていくと伺っておりますが、新年度へ向けてどのような状況になっておるのか、お伺いしたいと思います。
91 泉生活環境文化部長 これまで国土交通省が行っておりました欅平-祖母谷間の道路の平成22年度以降の維持管理につきましては、登山者や観光客の受け入れ側でございます黒部市、それから地元の温泉事業者──これは3者ございますけれども、この3者、それから黒部峡谷鉄道(株)、それと合わせまして県の6者でもって維持管理体制づくり、あるいは管理方針についてこれまで検討してきたところでございます。
検討の結果、この6者で新たに、仮称でございますが、欅平・祖母谷間道路管理組合といったものを組織いたしまして、おのおの応分の負担のもとで運営することとしておりまして、県の負担分につきましては、今議会に予算措置をお願いしているところでございます。道路の供用に当たりましては、現状の工事用道路をそのまま利用いたしますけれども、原則登山道として供用いたしまして、言ってみれば、自己責任のもとで通行していただくという形にしたいと思っております。
維持管理に当たりましては、これまでのように除雪とか浮き石の除去などに必要な建設機械を、シーズンごとに機械を分解しまして荷揚げするというような形ではなくて、管理組合のほうで所有していただきまして、欅平のほうに常駐させるということを考えております。それからあと、日常的なパトロールとか路面補修などは地元の温泉業者の皆さんの協力を得まして、自分でやりたいとおっしゃっておられますので、できるだけこういった形で経費がかからないように工夫する一方で、安全面の確保にも万全を期していきたいと考えているところでございます。
現在、管理組合設立の準備を進めておりまして、4月早々には設立できるのではないかと思っております。5月1日の黒部峡谷鉄道の営業再開にあわせまして、少なくとも観光スポットとなっております人喰岩までは供用できるように準備することとしております。その後、除雪などが終了し、安全が確保され次第、名剣温泉、祖母谷温泉までを順次供用していきたいと考えております。
92 大野委員 今の部長の答弁を聞いておりまして、私の能力の中では、ベストとは言えなくても、限りなくベストに近いベターだと思いまして、こういう場で言うのも変ですけれども、御苦労なさっておられることに敬意を表したいなと思っております。
と申しますのは、ずばっと自己責任のことを今言われましたけど、そこが一番ポイントだったんですよ。私はこの場で言うのもちょっとはばかりますけど、合併して黒部市という新市になって4年たちます。この間、この世界遺産の問題、あるいは黒部峡谷のこともあり、実は黒部ダムから日電歩道、水平歩道を歩きまして欅平へ出ました。その歩道で、残念ながらずどんと落ちて亡くなった方も何人かおられるわけですね。私どもが歩いてみて、ちょっと振り向いて、リュックサックをがけに当てたら落ちておるなということも十分理解できました。ならば、そういう不幸な目に遭われた方に対してはどこが責任を負ったのか。自己責任なんですよ。もっと言えば、今おっしゃっている人喰岩のあの道路は非常に平坦で幅も広いし、一般の方は上に気をつけておれば十分歩けるというところですから、今おっしゃっている取り組みというのは、僕は評価したいなと思っております。ちょっと余計なことを言ったようですけど、決して余計なことを言ったつもりはありません。正しい評価だと思います。
そこで、それに関する黒部峡谷地域の観光の基幹施設といえば、何といいましても黒部峡谷鉄道であろうというふうに思います。その鉄道の安全性の確保のために、もちろん鉄道会社は、冬場は特に大変努力されているんですが、安全確保のために実施する軌道設備の補修、改善等に補助制度を設けることをぜひ国に要望すべきと思うんですが、観光・地域振興局長、お願いします。
93 戸高観光・地域振興局長 黒部峡谷鉄道でございますが、日本最深のV字峡谷を縫うように走る路線でございまして、厳しい自然条件の中で、不断の安全対策と輸送人員の確保、快適性の向上を図っておられるところでございます。
御指摘のありました改修についてでございますが、一般的に鉄道事業者が行うこのような事業につきましては、国により、鉄道軌道輸送高度化事業費補助制度が用意されております。この制度は公共交通性に着目をしまして、通勤通学または貨物の輸送を主として行う路線であって、主に経営が苦しい地方の中小民鉄の取り組みを支援する制度ということで運用されております。
一方、御指摘のあった黒部峡谷鉄道でございますが、主に観光を目的とする鉄道でございますし、会社についても関西電力の100%出資による企業であるということもございまして、この補助制度にはなかなかなじまないとされているところでございます。しかしながら、黒部峡谷鉄道は「トロッコ電車」の愛称で親しまれ、年間約100万人が乗車される富山県を代表する観光資源でございます。また、韓国や台湾など海外から毎年4万人の乗客を受け入れておられまして、富山県のみならず日本の観光振興の観点からも、観光客の安全に係る整備というものは大変大事であると考えております。
委員が御指摘の点につきましては、今後、観光振興の必要性と地方公共鉄道の支援制度のバランスというさまざまな観点から、検討していかねばならない課題であると考えております。
94 大野委員 今、現時点ではぎりぎりの答弁だと思います。私も意欲的に挑戦してまいりたいと思いますが、局長、ぜひ今の姿勢を忘れずに頑張っていただきたいと思います。
それでは次に、世界遺産のことに触れたいんですが、文化庁の世界文化遺産暫定リスト公募に提案いたしました立山・黒部エリアは、2008年8月であったと思うんですが、「砂防や発電の関連技術が歴史的、文化的な資産としての国際評価が定まっていない」とされて、リスト入りが見送られたところであります。
そこで、新年度、平成22年度ですが、立山・黒部の世界文化遺産登録実現に向けて、改めて山岳遺跡の分布調査を実施するのは、「信仰」「砂防」「発電」を柱にした防災大国日本のモデルをさらに進化させる目的なのか、あるいは新たな視点で取り組みを進めようとするのか、お伺いをしたいと思います。
95 東野教育長 立山・黒部につきましては、砂防施設や発電施設の技術的な視点では一定の評価を得られましたものの、指摘事項といたしまして、文化財としての指定を進めることなどが課題として示されたところでございます。
県では、これを踏まえまして、現在、立山・黒部の信仰、砂防、発電の資産価値を高める事業に取り組んでおるところでございます。砂防では、白岩砂防堰堤の重要文化財指定や国際砂防フォーラムの開催を、信仰では立山信仰の石像物調査を、さらに発電では黒部川発電施設群のダム、発電所などの調査を進めてきているところでございます。来年度に予定しております立山・黒部山岳遺跡調査事業におきましては、例えば修験者の洞窟から水力発電や砂防堰堤の資材運搬道といった古代から近代までのさまざまな遺跡の分布状況の把握を通しまして、すぐれた資産を掘り起こしたい。そして、世界文化遺産登録に向けた内容の充実、提案のコンセプトに磨きをかけてまいりたいと考えているところでございます。
今後とも文化庁、国内外の有識者の意見を伺いまして、関係市町村と相談しながら課題に取り組みますとともに、さらに立山・黒部の魅力の世界へのアピールに向けましては、立山・黒部を愛する会、立山・黒部夢クラブなどとも十分連携協力しながら、着実に取り組んでまいるつもりでございます。
96 大野委員 さらに、この黒部峡谷鉄道につきまして、地元黒部市を中心に話が盛り上がっておりますのは、欅平-黒部ダム間のロープウエーの建設実現構想であります。これにつきましては、山岳地帯の保全あるいは開発、そしてまた観光振興等の点で複雑に絡み合って、総合的な判断が必要であると思っておりまして、まだまだ研究する課題はあります。ただし立山ロープウエーがあるくらいですから、お金の問題を別にして、考え方としては、欅平からダムに向けてロープウエーを張ることは決して無理ではない。むしろ、これが実現することによって、富山県内全体の観光という面では、非常に僕はボトムアップするんじゃないかと思っております。非常に将来展望が開ける魅力的な事業計画でもありますので、これはぜひ県庁内でも十分御検討いただいて、前向きな取り組みをしてほしいということを要望しておきたいと思います。
そこで、観光立国の実現に向けまして、国が国際競争力の高い魅力ある観光地づくりを促すために、観光圏認定事業をスタートさせてから、本県では──さかのぼって1年前ぐらいになりますけれども、今年度、富山湾・黒部峡谷・越中にいかわ観光園がその認定を受けまして、現在は越中・飛騨観光圏が2件目として認定を目指しているというところであります。
現在の富山湾・黒部峡谷・越中にいかわ観光園については、県境を越えてお隣の糸魚川市あるいは小谷村、さらには白馬村などを加えた新たな観光圏を形成する動きがあることは御承知のとおりであります。非常にこのへんは重要なポイントだと思うんですが、いよいよ北陸新幹線の開業を見据えた観光・地域振興ということに対しては非常に寄与するものと考えます。
そこで、県としても積極的に取り組んでいくべきと考えますが、ここはひとつ知事の御見解をお伺いしたいと思います。
97 石井知事 富山湾・黒部峡谷・越中にいかわ観光圏は、新川地域の3市2町、また民間、県等が連携して進めているわけですが、可能性はいろいろあると思います。現在、観光圏整備計画に基づいて、山と海をつなぐ市場で朝食キャンペーン事業ですとか、富山湾横断観光船事業、また食のお宝発見フェアなどの取り組みを進めております。
しかし、さらにもっと誘客を進めるためにどうしたらいいかということで意見交換を進めてきたんですけれども、2泊3日以上の滞在促進ということになりますと、もう少し圏域を広げたほうがいいんじゃないかと。そこで、これまでもつながりが深く、冬期間のスキーや温泉への入り込み客が多い白馬村や小谷村、また糸魚川市は世界ジオパークなどの観光資源もおありでありますから、こうしたところとの取り組みが必要ではないかという認識が強まっておるわけであります。これらの地域は、新川地域と同じように海から山までの季節ごとにバラエティーに富んだ観光素材もありますのと、北陸新幹線ができますと非常に近くなるわけです。
県としましては、相互の連携によって、さらに魅力的な観光ルートが発掘できるんではないかと、にいかわ観光圏の自治体と一緒になって、糸魚川や白馬地域を初めとして、長野県、新潟県にも連携を働きかけております。私自身も前原国土交通大臣や溝畑観光庁長官に圏域の拡大を検討している旨の説明も行っております。
26年度末の北陸新幹線開業も近いわけですから、そのへんもにらんで、首都圏から近く、魅力の多い広域観光地となることを目指して、ぜひこの話を進めていきたい、こういうふうに思っております。
98 大野委員 非常に前向きな御答弁をいただきまして、多分地元も喜んで頑張り抜くものと思います。
続きまして、この議会でもいろいろ議論されておりますが、新年度に県が着手する予定のふるさと文学館(仮称)についてでありますが、検討委員会の答申等を踏まえて言えることは、確実に本県の観光と地域振興に寄与するものであるべきと私は認識をいたしております。そうでないと、意味がないなと思います。
そこでまず、私も知事公館1階、2階くまなく、ずうずうしく、遠慮なく見てまいりました。ほお、なるほど、こんなことになっていたのか、というふうにいろいろな思いがありますけれども、それをふるさと文学館にするという前提のもとに見たわけであります。まず、ずばり申し上げますけど、今の知事公館内部は、僕は展示室の利用としては全く向かない、だめだと思います。
使うならば、休憩室あるいは会議室、さらには管理室、食堂、そしてまた、ちょうど私が行ったときも俳句か短歌の方々がおられまして、そこに入りたいくらいでありましたけれども、短歌、俳句のグループがお使いになっておる畳の部屋。
したがって、現在の知事公館も生かしながらふるさと文学館(仮称)を建てるとするならば、現在の公館については、改修は今申し上げたところを使うこととして最小限の改修にとどめて、知事公館に隣接する現在の駐車場に企画展とか常設展ができる新たなものを私は建てるべきだと考えますが、生活環境文化部長、いかがですか。
99 泉生活環境文化部長 先月、ふるさと文学資料評価・活用委員会からいただきました報告書では、整備規模の目安を2,500平米を基本として、さらに必要な機能を一定程度加えることとし、風趣ある庭園をできるだけ活用すること。それから、知事公館の敷地だけでは手狭なため、隣接する駐車場敷地との一体的な利用を検討する必要があることなどの御提言をいただいたところでございます。
既存建物の活用につきましては、環境に配慮し、コスト軽減を図るという意味でも、活用できる部分については、できるだけ改修して活用してまいりたいと考えてはおりますが、知事公館は各部屋が比較的小さく仕切られておりまして、廊下が狭いなど、改修して活用するにしても、一定の制約が伴うのではないかと予想しております。新年度におきまして、基本設計の委託先が決まれば、専門家の目でもって建物の状態を確認していただきまして、改修の程度を検討していくことになるのではないかと考えております。
一方、展示室につきましては、委員が御指摘のとおり、まとまった面積が必要でございます。また、庭園を残すということになりますと、現在の知事公館の敷地だけでは面積が不足いたしますので、増築の部分は隣接の県有地に建設することが必要になってくると考えております。
文学館の各部屋の配置につきましては、敷地内での建物の配置や、それから何階建てにするのかといった問題もありますし、どんな構造にするかといったさまざまな要素にも左右されますので、基本設計の中で十分検討し、決定してまいりたいと考えておるところでございます。
100 大野委員 これは答弁は要りませんけれど、行って、部長も十分わかっておられますけど、2階へ上がるところの階段、あれは一般の民家だったら、あれで十分なんですよ。あれは、そういうふうに使える階段じゃないですよね。そのへんを十分わかっておいでると思うんで、くどいようですけど、私は企画展や常設展をやるような公館ではないと。やっぱりそれは別に建てて、あそこは附帯設備として何かに使うというくらいにするのが一番ベターかなと思われます。
そこで、前々からこのふるさと文学館(仮称)は県内外から親しみを持って来ていただける館にしたいということですから、まさに老若男女それぞれが訪れる館というふうなことも期待するわけですが、ふるさと文学館(仮称)は、ぜひそういう意味では愛称を広く募集したらどうかと。そしてまた、文学館を中心としたエリア、ゾーン、そこのネーミング、そこにも愛称を持たせたりして、より多くの県民あるいは県外から来る方々が親しみを持てるよう工夫すべきと思いますが、ここは基本的なことでありますので、知事、御所見を。
101 石井知事 文学館の愛称公募については、先ほどもお話に出ましたふるさと文学資料評価・活用委員会でも、委員の方々から、文学館についてはやっぱりネーミングが重要だと。すぐにイメージがわく、人を引きつけるような工夫が必要だといったような御意見をいただいております。
委員の御提案の愛称公募につきましては、文学館を広く県内外に周知して、また県民の皆さんに親しんでいただく愛される施設とするために、一つの有効な手法だと思っております。
また、文学館を中心としたゾーンは、ちょうど真向かいに教育文化会館がありますほか、高等学校、小中学校なども周辺にある文教ゾーンに位置しておりますし、近くには桜の名所であります松川べり、また舟橋、城址公園、また足を延ばしますと、「螢川」の舞台となっている、また源氏鶏太の生家もありましたいたち川があるなど、富山の歴史と文化が集積している地域でもございます。
そのために、文学館そのもののネーミングに加えて、文学館から松川べりにかけてのゾーンが、例えば京都では「哲学の道」というのがありますけれども、「文学の道」と呼ばれるようになると、文学館がより多くの県民や、また県外の人からも親しまれ、愛されるものになるんじゃないかと、こういう思いもかねてから持っております。
今後、4月にふるさと文学館(仮称)開設準備委員会といったものを設置したいと思っていまして、そこでの御意見も伺いながら、また今の委員の御意見も参考にさせていただき、文学館並びにゾーンの愛称についての募集も含めまして、有識者や幅広い県民の御意見を生かす方策について十分検討して取り組んでまいりたいと思っております。
102 大野委員 ここはちょっと経営管理部長、簡単に答えてもらって結構なんですけど、この知事公館のことについて、実は以前、今後のあり方はどうだと言ったときに、この知事公館は危機管理上残すんだと。何かあったときに、そこに集まって会議をやるんだとおっしゃった当時の部長がおりました。私はそれで納得しなかったんだけど、わかりました、と言って下がったんです。以後、いろんな訓練をやったときに、あそこを使われた気配はありません。しかし、危機管理上必要だというのであれば、その機能をどこかへ持っていく必要があるでしょう、どうなんですか。
103 出口経営管理部長 委員からはかねてより知事公館の用途を転換して、有効活用を図るべきという御意見をいただいておりました。このたび知事公館の維持管理費が多額に上っていることですとか、老朽化に伴う大規模改修が避けられないこと、賓客を迎える公邸や知事の住居としての活用実績がなく、また実際に不自由を感じないといったことから、今年度末で知事公館を廃止いたしまして、必要な増改築を行った上で、ふるさと文学館として活用していきたいと考えているところでございます。
知事公館としての位置づけがある間は、その範囲内でできる限り有効活用しようと、こういう考え方のもとにこれまでの答弁では、平常時は文化団体の皆さん方に御活用いただく、災害時には防災関係機関の連絡、打ち合わせですとか、関係者の宿泊機能として活用できないかということで、そのような活用を想定していると御答弁申し上げておりました。
今後、大規模な災害が発生しました場合には、まず県庁や総合庁舎が災害対策の拠点となりますが、連絡、打ち合わせや宿泊等の機能を確保するためには、必要に応じて県庁周辺の県有施設、また民間借り上げ施設を緊急避難的に活用すると考えております。
さらには、来年度、消防学校・防災拠点施設の建設に着工いたしますが、この施設が整備されますと、県庁との連携を緊密に図ることなどによりまして、これまで以上に大規模災害時の危機管理体制が充実するものと考えております。
以上でございます。
104 大野委員 部長、わかりました。了解しました。ちょっと溜飲が下がった思いであります。
それでは最後に、北方領土問題について触れたいと思います。
まず、先月の下旬に今の政府は、内閣府の政策会議で北方領土問題の解決促進のための基本方針改定案を示しました。その中に非常に重要なことがありました。それは「領土返還に向けた強い意志が世代を超えて共有される必要がある」という文言を盛り込み、若い世代の啓発を重視する方針を示したところであります。
そのほか、学校教育などの啓発活動の充実、あるいはインターネットを活用した取り組みの推進、さらにはビザなし交流などの積極的な推進を新たに盛り込んだのであります。
そこで、県と北方領土返還要求運動富山県民会議では、北方領土学習のためのDVDを作成しておりまして、──もうそろそろできると思うんですが、本県のふるさと歴史学習の観点からも、このことを学校教育においてぜひ積極的に活用すべきと考えますが、教育長の所見をお伺いします。
105 東野教育長 現在、北方領土返還要求運動富山県民会議、そして富山県「北方領土問題」教育者会議が主体となりまして、北方領土への理解を深めるため、委員が御指摘の教育用DVDを制作しておりまして、間もなく完成の運びになると聞いておるところでございます。完成後、県内全中学校へ配付する予定と伺っております。
DVDの制作に当たりましては、社会科や総合的学習の時間などで活用しやすいように、北方領土の地理、歴史、現在の人々の様子、富山県とのかかわりなど、わかりやすく、さまざまな工夫がなされていると伺っているところでございます。児童生徒がこうしたことをしっかりと学びまして、ふるさとに対する誇りと愛情を持つことは大変大切だと考えております。県中学校長会などと協力いたしまして、その趣旨が十分伝わり活用されますように努力してまいりたいと思っております。
106 大野委員 文部科学省も数年前から学校教育の中で北方領土問題をぜひ取り入れるようにというふうなことを積極的に言っておられますので、期待をしております。
このような背景と相まって、このたび北方領土早期返還を祈念して「ブラウンリボン」が製作されました。そして、つい最近、全国的に普及活動が始まったところであります。
実は、北朝鮮の拉致問題は人の拉致ということで、ブルーリボンでありまして、北方領土はロシアに土地が拉致をされておるということで、私が今つけておりますけど、こういう土地の色をしたブラウンリボンです。拉致同士で形は一緒で、色は青と、こっちはブラウン。きょうは知事も気を遣っていただいて、しっかりとつけてきていただいていますけど、正副議長もばっちりとつけていただいて、まして議長は県民会議の会長でありますから、どうも議長、恐れ入ります。決して高いもんじゃありませんけど、中身は高いです。そんなブラウンリボンを普及して、県議会の先生方にも順次お願いしておるところでありますが、北朝鮮の拉致問題と一緒に、こっちは土地の拉致ということで、このブラウンリボンをつけながら返還運動を推進してもらえればと思っております。
そこで、全国で2番目に引揚者が多いことは十分御承知のことでありますが、富山県の北方領土とのかかわりと歴史を広く皆様方に周知をするために、県内でも最も引揚者の多い黒部市において、関係資料の特別展示会を開催中であります。
その一部として、きょう、実は当時の島の様子を撮ったパネル写真をお持ちしましたので、ちょっと時間がありますから、一部お見せします。(パネルを示す)
多分、大正末期から昭和の初めだろうと思います。この2枚は富山県人が一番多く住んでいたという歯舞群島の写真であります。これは勇留島といいまして、納沙布岬に立ちますと、天気がいいとばっちり見えるところです。水晶島、勇留島、秋勇留島が見えるんです。これは勇留島で、見えます。これはその海岸。関係者に言わせると、当時は大正の末期か昭和の初めだろうなと。同僚の県議が持っておられますのは、これはまさに歯舞群島の志発島という、富山県人がかなり住んでいたところの当時の缶詰工場などの状況です。この中にも引揚者がひょっとしたらいるんではないかなと思われますけど、こんな状態で当時はやっておられたというものを今手にしております。
もう1枚は、色丹島です。この島には、富山県人はごく少なかったんですけど、行っておられました。当時、こんな華やかに運動会もやられたと。これをしつこく、いつごろの写真ですかね、と聞いたら、ある方いわく、この格好を見ると、多分大正末期から昭和だろうというふうにおっしゃった。推測の域を出ませんので、特定できません。こんな華やかにあの小さな島で運動会をやられておったと。
ここに入善の上田英俊議員もおられますけど、入善の方もこの中におられます。黒部市と入善町は引揚者が多いですから推測できますけど、こんなものが今展示中であります。どういうことかといいますと、今年度、平成21年度ですけど、黒部市は内閣府の地方の元気再生事業の選定を受けまして、その一環として漁村文化ミュージアムプロジェクト事業というものをやっております。ぜひ知事、お時間をつくっていただいて、なかなか島へ行っていただく機会がありませんので、せめてこの展示会だけでも見ていただければと期待をしております。
それから、先般、日ロ議連の会長であります四方先生の質問で、5月2日に知事は日ロ知事会議に出席されると伺っておりますので、ぜひその場でもチャンスを見て、北方領土問題に触れてくださいますよう切望しておきたい。これは質問でありません。要望です。お答えいただければ、なお幸いです。
質問は、北方領土が不法に占拠されたまま、いよいよ65年が経過しようとしておる。今の日本の国の65歳というと、年金が満額当たるんです。満額当たるのに、返してあたらないのは北方領土。こういう嫌みな状況になっておりますけれども、北方領土返還要求運動の推進のためには、どうしても若い世代への啓発を重視しなければならない時期を迎えてしまったということで、運動の後継者となる青少年の現地訪問の回数の増加でありますとか、さきの大戦終戦時、本県引揚者が1,425人おられて、そのうちの大多数を占める1,356人が居住した歯舞群島へのビザなし交流の一般訪問の実現を、国に強く働きかけるべきと思うのですが、知事の所見をお伺いします。
107 石井知事 北方四島の在住ロシア人との交流を図りまして、相互理解を深めるということは大事なことでありますので、本県から後継者訪問事業でお二人、また青少年訪問事業でこれまで7人が参加しております。そのうち21年度につきましては、中学生2人が色丹島を訪問して、島の様子を体感するとともに、学校訪問やホームビジットなどを通じまして、在住のロシアの青少年と交流することによって、北方領土問題についての関心と理解を深めてきたところであります。
こうした若い人たちが相互交流を行いますことは、日ロの相互理解を深めるということ。また、返還運動の先頭に立ってきていただいている元島民の皆さんは、だんだん高齢化されていますから、後継者育成という観点からも大事なことだと思っております。ロシア政府との外交協議という課題はありますけれども、今後とも後継者や青少年等を対象としたビジネス交流事業が一層活発になりますように、政府等関係方面に働きかけていきたいと思います。
また、お話に出た歯舞群島は、おっしゃるように富山県関係者が非常に多いわけで、富山県人のゆかりの地と思います。
ただ、御提案のビザなし交流の一般訪問事業で歯舞群島を訪問することにつきましては、いずれにしてもロシア政府との協議が必要な外交課題というほかに、これも委員は御承知の上でおっしゃっていると思うんですが、歯舞群島には現在、国境警備隊しか存在していませんので、訪問したとしても、なかなか交流事業という形にならないということと、新たな船を寄航させることになりますので、訪問日程の調整等も検討する必要があるなど、幾つか課題はございます。
108 五十嵐副委員長 知事、持ち時間が終了しておりますので、答弁は簡単にお願いします。
109 石井知事 そういうことで、なかなか難しい問題があると思いますが、北方領土の問題の歴史と現実を正しく理解するためには大切なことですので、今の御提案については、国や関係機関にお伝えしたい。
また生地には何回か訪問しておりますが、せっかくそういう北方領土資料の施設があるということですから、機会があれば立ち寄らせていただきたい、こういうふうに思っております。
110 五十嵐副委員長 大野委員の質疑は以上をもって終わりました。
武田慎一委員の質疑及び答弁
111 五十嵐副委員長 武田委員。あなたの持ち時間は60分であります。
112 武田委員 まず、改正銃刀法による影響について質問をいたしたいと思います。
昨年12月4日に改正銃刀法の規定がすべて施行されたところであります。今回の銃刀法改正によりまして、従来から猟銃を所持していた方々については、講習会の義務化など所持規制が強化されました。免許取得維持更新にかなりの経費がかかる上、今回の所持規制の強化効果により、経済的負担が増加し、猟友会会員の減少が懸念されるのではないかと思っております。
そこで、今回の銃刀法の改正が、猟友会の活動にどのような影響があると認識しておられるのか、生活環境文化部長にお伺いいたします。
113 泉生活環境文化部長 委員が御指摘のように、銃刀法が改正されました。今回の主な改正点でございますけれども、猟銃の所持許可を更新する際に、射撃技能講習の受講や、それから精神科の診断書の提出が義務化されました。あるいは、これは努力義務ではございますけれども、狩猟期前に射撃練習を実施することなど猟銃の所持に係る規制が強化されました。加えまして、許可申請時や受講時の手数料も引き上げられたところでございます。
今回の改正は、猟友会の会員にとりましては、言ってみれば、経済的な負担ばかりでなく、心理的な負担も重なるのかなと思っております。これを機に猟銃の所持許可更新を断念される方が増加するのではないかということも心配しているところでございます。とりわけ猟友会の会員数の減少と高齢化が現在進んでおります中におきまして、市町村における有害鳥獣捕獲隊の編成にも影響が出て、担い手の育成が急務になるのではないかと認識しているところでございます。
114 武田委員 ありがとうございます。
新規に免許を取るということになりますと、8万2,100円もかかる。また、更新年になりますと4万5,600円もかかるということで、大変な負担だなと思っております。
県では、有害鳥獣捕獲の担い手を確保するために、各種講座や射撃訓練会の開催を支援しておられるということでございますが、補助金だけではこの担い手が育成されるものではないと思っております。もっと若い方々に鳥獣による生活環境や農林水産業等への被害の拡大、そしてその防止を図る役割をしっかりと理解してもらうことが必要であると思います。
そこで、猟友会会員の減少が進む中、今後、有害鳥獣捕獲の担い手確保により積極的に取り組むべきと考えますが、知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
115 石井知事 委員おっしゃるとおりで、県の猟友会は会員数の減少、高齢化が続いております。今まではこの会員の皆さんの献身的な御努力で何とか捕獲体制の維持、県民の安全・安心が守られてきたわけですが、銃刀法の改正等の影響もありますので、何とかこの担い手確保をしっかりやらなくちゃいけないと思っております。
県としましては、19年度から狩猟免許試験を年2回に増やしますとともに、県のホームページ等を活用して広く県民の皆さんに周知をする。また、有害鳥獣捕獲担い手育成推進事業というのをやっておりまして、県猟友会が開催します狩猟入門講座、また初心者向けの狩猟講習会など、後継者育成のための取り組みに対して支援をしているわけでございます。
この結果、19年度は18年度の約3倍に当たる89名の方が狩猟免許を取得された。その後も20年度に80名、21年度には56名の方が狩猟免許を取得されております。また、19年度以降の免許を取得された方々の年齢を拝見しますと、50歳未満の方が約5割を占めておりますので、その点では比較的若い世代の方々の免許取得が増えているということであります。
この問題は全国的な課題でありますので、22年度の国への重点要望事項として、新たにこの狩猟者等の育成確保対策の充実を国に要望しております。また、22年度には、福光射撃場の再開にあわせまして、射撃訓練にかかる負担を軽減しようということで、射撃場使用料の一部を支援することにしております。
こうした取り組みを県として着実に進めて、若い世代の狩猟免許取得者を増やす。また、今後とも各市町で有害鳥獣捕獲隊を維持できるように、担い手の確保に努力していただくことをお願いもしたい。また一方で、国にも対策をお願いする。こういうことで臨んでいきたいと思います。
116 武田委員 今の答弁で、若い方も少しずつ増えてきているというようなことで少し安心しましたが、最近では、免許や資格を取る方々の何か形態が少し変わってきておりまして、「ダイハード」であったり「プライベートライアン」であったり、そういった映画を見て、俳優が使っていた銃と同じものを所持したいだけのために取得される方もいらっしゃるというふうに聞いております。いわゆるオタクであったりマニアであったり、そういう言い方が適当なのかなと思います。
138 武田委員 ありがとうございます。
そうしますと、何か元気のあるまだまだ余力といいましょうか力がある会社、企業だけが、そういった新しい分野に進出できる、新しい会社を立ち上げてもできるような気がしてならないわけでございます。
それで、今部長がおっしゃいましたように、新しい分野へ進出されています、その進出分野における各企業の業績は一体どうなのかということを教えていただきたいのでありますが、よろしくお願いします。
139 井波土木部長 平成19、20年度に新分野に進出いたしました建設企業14社を対象に昨年11月にアンケート調査を実施いたしましたが、新分野の経営状況につきましては、「計画どおり順調に進んでいる」と答えられた企業が5社、「計画どおり進まず苦戦している」と答えられた企業が9社となっております。
苦戦している理由といたしましては、建設業従事者による新分野での営業の難しさでありますとか、経済不況に伴いまして、販売先が思うように確保できないといった意見が多かったところでございます。
こうしたことから、県では、平成21年度に新たに新分野へ進出した建設企業に対して、販路拡大や人材育成を支援する新分野進出事業定着支援補助金を追加いたしました。これでもって新分野の計画策定から事業立ち上げ、定着まで幅広く支援できるようにしたところでございます。今後とも、建設企業の新分野進出が経営基盤の強化につながるよう、積極的に支援してまいりたいと考えております。
140 武田委員 21年度からまたお金をつけたというようなお話でございますが、決してお金だけでそれに取りかかる、取り組むというようなことにはならんと私は思っております。やはり新分野に出ていただいたのでありますから、その販路拡大であったり、そういったところの指導であったり、あっせんという言葉はどうかわかりませんが、ぜひそのお手伝いも最後まで面倒を見ていただきたいと思います。
ある会社の方でした。何とか温野菜はうまくいっているんだけど、前には中華料理をもうつぶしてしまったよ。というようなことでありまして、そこがどうもうまくいかんところではないかなと思っております。
今14社に調査をされて、9社というようなお話でございました。9社がどうもうまいこといかんということは、半分以上がうまいこといっておらんということではないかなと思います。ぜひそのお金をつけるだけでなくて、さらなる指導といいましょうか──指導というのは、上から目線ですね。ウイン・ウインの形で取り組んでいかないと、少し聞こえてきますが、業者が半分になるということで大変難しい。何とか昔までとはいきませんが、少し景気がよくなって、うまい経営状態まで持っていけるんじゃないかという淡い希望を持っておられる方がたくさんいらっしゃいますので、そこらへんもお願いしたいということでございます。
それに関連しまして、今、新分野進出を応援するといったようなことでございました。しかし一方で、やめたくても廃業に踏み切れない企業もあるということも聞いておりますし、あるのではないかなと思っております。そのため、例えば廃業準備金の支給などを試みるのはどうかなと思います。廃業する際の支援策もぜひ検討していただきたく、そのことについて、また土木部長にお伺いをいたします。
141 井波土木部長 県内建設業を取り巻く経営環境は厳しい状況にありますが、建設企業は地域の安全・安心を守り、雇用を支える重要な役割を担っておりまして、地域にとって必要な存在であります。しかしながら、今後さらに厳しい経営環境が予想される中、まずは建設企業みずから長期的な視野を持って、将来の経営環境を見通し、新分野進出による副業化や、合併による経営基盤の強化といった経営改革に取り組んでもらうことが必要であると考えております。
このため、県といたしましては、平成22年度に富山県建設業協会が行う新たな改革プランの策定に対する支援や、建設業新分野進出等支援補助金の拡充など、建設企業が取り組む経営改革に対して積極的に支援することとしております。
これらは、公共事業が減少する中で、地域の安全・安心な暮らしや雇用の確保が重要であることから、県として建設企業の経営基盤の強化に支援しているものであります。委員御提案の廃業準備金の支給など廃業する際の支援については、県の施策になじまないことや公益性の観点からも困難であると考えております。
なお、経営者にあっては、廃業に伴い、従業員の雇用の確保に頭を悩まされておられる方も多いと思われますが、国では新たに建設業以外の企業が建設業を離職した労働者を雇い入れた場合に助成する制度、建設業離職者雇用開発助成金というものがことしの2月に創設されたところでありまして、こういった問題の解決の一助となるのではないかと考えております。
142 武田委員 るるありがとうございました。
建設業が農業を新分野としてやられるというようなこともありますが、今農業で食べていけないもんですから、農業をやっておられる方が建設業に従事して給料を当てにするといいましょうか、そういったことを昔からやっておられるわけでございまして、そういった矛盾も多いわけでございます。
私は、業者が早く半分になればいいとか、4年後の新幹線開通までに、体力を温存したり、営業体制を整えていけるような状況になっていてほしいというような言葉があまり出てこないようにお願いしたい。とにかく、今一生懸命に建設業の支援に御尽力をいただきたいということを願いまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
143 五十嵐副委員長 武田委員の質疑は以上をもって終わりました。
暫時休憩いたします。
休憩時間は10分間といたします。
午後2時59分休憩
午後3時10分開議
鹿熊正一委員の質疑及び答弁
144 杉本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
鹿熊委員。あなたの持ち時間は60分であります。
145 鹿熊委員 久しぶりに太陽が差す春らしい日となりました。本日、最後の質問を元気にさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
石井知事の就任から6度目の編成となります新年度予算は、知事が「人が輝く 活力・安心予算」と表現されたとおり、財政再建に留意しつつ、経済雇用対策の拡充に加え、人づくりと産業づくりの両面において、新たな飛躍の芽を育てる施策が盛り込まれた積極的な予算であると評価をいたします。
その上で、本日は産業雇用対策について幾つかの観点から質問をいたします。
まず、雇用対策でありますが、今の最大の課題の一つは雇用問題であります。深刻なのは、就職氷河期に直面した若者の雇用対策でありますが、いま一つは、この不況は障害を持っておられる方々の自立に厳しいものとなっていることで、障害者への就労支援対策が重要であります。けさ、議論のありました
特別支援学校に通う生徒の就労支援も重要な点であります。
私は、まず授産施設について質問をいたします。
そこで生産される商品の販路の確保は、働く障害者の工賃向上に直結いたします。そこで、授産施設の受注機会の創出や商品の販路開拓の支援策について、新年度においてどのように取り組むのか、飯田厚生部長にお伺いいたします。
146 飯田厚生部長 授産施設についての御質問ですが、授産施設におきましては、1つ目には、平成20年3月に策定いたしました富山県工賃向上支援計画に基づきまして、これまで、施設の職員や利用者の意識改革として、工賃引き上げのための研修の実施や先進事例の紹介を行っており、2つ目には、経営ノウハウの導入として、経営コンサルタントの施設への派遣や技術講習会を実施しており、そして3つ目には、地域との連携強化として、共同受注窓口の設置や商品カタログの作成、それから福祉の店の設置などを行ってきているところでございます。
また、今年度は企業の協力などを得るということで、アンケート調査を行ったところでございますが、その結果に基づきまして、売り上げの向上と商品のPRを兼ねた、個別企業でのふれあい販売会などを実施いたしているところでございます。
さらに、本年の1月からは、各授産施設に営業・販売補助員を配置し、販路の拡大などを強化するため、がんばる授産施設販売促進事業を推進しております。新年度には対象施設などを拡充しまして、一層の工賃向上を図っていくこととしております。
それから、新年度におきましては、今申し上げましたこれらの事業に加えて、新たに障害者雇用月間の9月に、企業と授産施設が一堂に会して商品をPRするマッチングフェスタ(仮称)を開催し、受注機会の創出を図りますとともに、インターネットを活用しまして、インターネットで商品購入ができるオンラインショップを開設するなど、受注体制の強化に努めてまいることといたしておるところでございます。
以上でございます。
147 鹿熊委員 積極的に支援をお願いいたします。
次は、障害者の就業機会の拡大を図ること。
これは、社会的自立に向けて極めて大切なことであります。障害者雇用のこれまでの推移と現状について、何かお昼のテレビニュースで報道していたようでございますが、改めてこの場で
柳野商工労働部長にお伺いいたします。
148
柳野商工労働部長 本県における障害者雇用の推移につきましては、富山労働局が実施している毎年6月1日現在の調査によりますと、障害者を雇用すべき企業のうち、法定雇用率を達成している企業の割合は、平成19年の57.3%から年々上昇し、直近の平成21年度では60.2%と全国平均の45.5%を大幅に上回っています。また、障害者の実雇用率につきましては、平成19年の1.61%から年々上昇し、直近の平成21年では1.67%と全国平均の1.63%を上回っています。
このように、本県の障害者雇用は全国平均より進んでいるものの、現下の厳しい雇用情勢を反映し、解雇者数は、平成19年度が37人であったものが、平成20年度には55人に増加するとともに、今年度は1月までの解雇者数が53人と、前年同期より24人増加しているところであります。また、就職件数についても、平成19年度が540件であったものが、平成20年度は525件と15件減少するとともに、今年度は12月までの就職件数が407件と前年同期より15件減少するなど、厳しい状況となっているところであります。
以上でございます。
149 鹿熊委員 そのような厳しい状況を踏まえて、やはり障害者のいわゆる自立に向けた取り組みが大切になるわけでありますが、障害者の就業機会の拡大に向け、新年度においてどのように取り組むのか、
商工労働部長にお伺いいたします。
150
柳野商工労働部長 これまで障害者雇用を推進するため、生活面と一体的に障害者の就業を支援する障害者就業・
生活支援センターの県下4圏域での設置、同センターを通じての
障害者チャレンジトレーニング事業の実施、一定数を超えて知的、精神障害者等を雇用している事業主に対しての県単独での雇用奨励金の支給などに取り組んできたところであります。
さらに、新年度におきましては、現下の厳しい雇用情勢に対応するため、新たに県内4カ所の障害者就業・
生活支援センターに職場開拓支援員を配置し、障害者の就職、実習機会の拡大を支援する障害者職場開拓支援事業に取り組むとともに、雇用創出基金事業の重点成長分野人材育成プログラム事業の実施に際して、障害者の雇用機会を積極的に確保するよう努めることとしているところであります。今後とも労働局や関係機関と連携し、障害者の就業機会の拡大、雇用の安定に努めてまいりたいと考えています。
151 鹿熊委員 よろしくお願いいたします。
続きまして、雇用創出基金事業によって、約149億円余を使って、平成21年度から23年度までの3年間で1万人を超える雇用創出を目指すという方針でありますが、大事なことは、この短期の緊急的雇用、いわゆる6カ月ないし1年という、そういうつなぎ雇用を継続した安定的雇用につなげていくことが重要であるわけです。その誘導策についてどのように取り組もうとしているのか、柳野部長にお伺いいたします。
152
柳野商工労働部長 厳しい雇用情勢に対応し、「ふるさと」「緊急」の2つの雇用創出基金事業を活用して、21年度から23年度まで3年間で1万人を超える雇用の創出を目指しているところであります。
基金事業により創出されました雇用機会を安定的な雇用につなげるための取り組みとしましては、1年以上の雇用を創出するという、ふるさと雇用再生基金事業により、雇用された方を事業終了後に正社員に登用した事業主に対し一時金を支給する事業を、新たに実施しております。また、国に先駆けた他県にも例がない富山型の対策として、新規学卒未内定者等の採用を確保するため、企業に対し新しく採用した人材の養成モデルを委託することにより企業の人件費負担をなくす、県内企業人材養成モデル開発事業におきまして、受託企業に対し原則として1年後に正社員に登用するという要件を設けるなどの取り組みを行っているところであります。
さらに、介護、農林水産業、ものづくり分野などの県内企業に6カ月から1年以内の訓練付き雇用を委託する、重点成長分野人材育成プログラム事業においても、受託企業に対し事業終了後の正規雇用化に努めるよう要請しているところであります。
県としましては、今後とも雇用創出基金事業などを活用して、一人でも多くの求職者の安定的な雇用につながるよう努めてまいりたいと考えています。
153 鹿熊委員 ひとつできる限りの積極的な誘導策を改めてお願いするところでございます。よろしくお願いいたします。
次は、2番目であります。県の産業成長戦略についてお伺いをいたします。
北陸3県のマクロの経済数値を見てみたいと思うわけです。結論から先に言いますと、この5年間、すなわち直近のデータが出ております15年度から19年度まででありますが、5年間の推移を見ると、石川県と福井県は伸びているのに対して、富山県は全体として縮小ぎみであると言わざるを得ないと思います。
まず、実質県内総生産を見ますと、富山県は、平成17年度において5兆1,612億円をピークに年々減少し、19年度には5兆1,086億円となっております。石川県は、15年度4兆8,726億円から年々増加し、18年度には富山を抜き、19年度は5兆2,375億円となっております。福井県は、15年度3兆5,479億円でありますが、年々増加をしておるという傾向であります。
それから次、実質経済成長率でございますが、富山県は、18年度はマイナス0.9%で45位、19年度はマイナス0.2%で34位です。石川県は、18年度1.7%で23位、19年度1.8%で12位。福井県は、18年度1.4%、19年度1%でプラス、わずかでありますが成長です。
このような北陸3県の県内総生産の推移、そして経済成長率の推移をどう分析しているのか、柳野部長にお伺いいたします。
154
柳野商工労働部長 平成19年度の県民経済計算によりますと、本県の県内総生産は実質で5兆1,086億円、経済成長率は実質で0.2%減となり、2年連続のマイナス成長となっているところであります。
北陸3県の経済成長率の過去5年間の推移を見ますと、本県が平成18年度からマイナスであるのに対し、石川、福井の両県は18年度以降もプラスであり、18年度には石川県の県内総生産が本県を上回る結果となったところであります。ただし、製造業の県内総生産に限って見ますと、本県は北陸3県でも最も高くなっているところであります。
本県がマイナス成長となった要因としましては、原油・原材料価格の高騰や建築基準法改正の影響による全国的な新規住宅着工戸数の減少により、落ち込んだアルミ関連などの金属製品の業種が、製造業全体に占める割合が高かったことによるものと考えております。一方、石川県では一般機械、電気機械が、福井県では電気機械が好調だったことからプラス成長になったものであり、製造業の業種別構成の違いによって、異なる結果が出たものと考えています。
なお、少し長いスパンで見ますと、本県と石川県の県内総生産は拮抗しておりまして、平成8年度、9年度及び15年度から17年度までは本県が上回り、10年度から14年度までは石川県が上回っているところであります。また、他の統計データで北陸3県を比較しますと、平成19年の県民1人当たりの製造品出荷額等は、本県が約358万円で最も高くなっているところであります。
以上であります。
155 鹿熊委員 製造業を構成する分野の差が出たということであると思っております。
ただ、全体的なマクロの数値としての傾向については、それほど悲観することはないのかもしれませんが、やはりここで大事なのは、私は富山県の産業成長戦略をどう持つかということだと思っておりまして、次はその点に移っていきたいと思います。
人材のほうは、産業戦略と関連してきますので、次の質問とあわせて質問することにいたします。
提案理由の中で、知事は「活力とやま」の重点政策を10ページにわたって述べられました。それに対して「未来とやま」「安心とやま」はそれぞれ6ページでありまして、知事の産業政策への力の入れようがうかがえました。
そこで、私が知事に求めたいのは、本県の産業成長戦略──多分知事の頭にはあるんだろうと思うんですが、それを具体的に県民や県内企業に示していただきたいというか、むしろ示すべきであると私は考えております。このことについて、知事の見解をお伺いいたします。
156 石井知事 中国を初め発展途上国と今まで言われていた国々が世界的に台頭している中でありますから、本県産業が成長していくためには、世界的な視野に立って、10年後、20年後をしっかり的確に見通した上で、委員がおっしゃるように、戦略的に科学技術の開発等も含めまして、果敢に産業振興に取り組む必要がある。
そのために、知事就任後に策定しました元気とやま創造計画において、知恵と技術を生かした産業の振興など、「活力とやま」を3つの基本政策の一つに位置づけまして、目標数値等もできる限り盛り込んで、県民の皆さんに今後のビジョンを提示したところであります。
委員は非常によく研究されますので、読んでいただいていると思いますけれども、当時、私はよその県がどういう計画をつくっているか随分見ました。それから、知事選挙に出るときも参考にしたいと見ましたけれども、それぞれ立派な計画ですが、具体的な数字が入って、本当に具体性を持って戦略を書いているなというところは、正直、案外少ないなという印象を持ったところであります。
そういう意味で私は、この元気とやま創造計画は皆さまのおかげで、それなりの内容になっているんじゃないかと思います。あわせて新科学技術プランというものも発表しまして、進めてきているわけであります。また、それに基づいて、何といっても今富山県に立地していただいている地場の企業を大いに盛り上げて振興したいと、それにはやっぱり先端的なところにどんどんチャレンジしてほしいということで、ものづくり拠点の問題も含めていろんなことをやってきております。さらに、今後を見通して、これは成長しそうだという企業を何とか富山県に引っ張って来たい。それが例えばパナソニックであったり、アステラス製薬であったりしているわけでございます。
具体的に言いますと、各論では、やっぱりこれから高齢化がどんどん進む。それから、新興国では人口が増える一方で、なかなか地元にそれなりの医薬品産業はまだ育っていない。国内で言いますと、薬価基準をどんどん引き下げるから、国内だけでは成長のしようがないんですよね。そういうことからいうと、富山の薬というものは世界的視野に立って、やっぱり世界で勝負しなくちゃいけない。そこで、製剤技術力を生かした世界展開を図っておるわけでございます。
委員、これは本当にうれしいことで、けさ、私は気がついたんですが、厚生労働省の昨日のインターネットの発表によりますと、富山県の医薬品産業の生産額は、いよいよ昨年、20年の数字ですが、19年に比べて10.3%増で5,167億円。とうとう大阪府を抜いて全国3番目になりまして、第2位の静岡県の背中が見えてきたなということでございまして、全国トップも夢ではないと思っているわけであります。
また、これからは高齢化等に伴って、先ほども介護人材の話が議論になりましたが、何といっても15年ぐらいで1,000万人ぐらい、65歳以上の人が増えてくるわけですから、どうあってもやっぱり福祉関係でマンパワーが足りなくなる。外国の方を雇うという議論もありますが、私はなるべく、せっかくロボット技術があるんですから、福祉系のロボットあるいは次世代ロボットの開発をしっかりやらなきゃいかんということも進めておるわけであります。
また、世界でグローバル化がどんどん進みますと、発展途上国が成長すればするほど、航空機産業がどんどん発展していくだろうと思って、航空機産業への新規参入も進めたいと思っております。
また、豊かな水資源を生かした小水力発電。せっかくそういう発電所をつくるのに、今は例えば発電の機械の大事なところは実は富山県産じゃないんですよね。だから、私は県内の経営者の方でこれはという方には声をかけて、ぜひ小水力発電の技術開発をしてほしいということでお願いもしておりますし、また太陽光発電の技術開発については、地元の企業でないところも含めまして、いろいろ頑張っていただくようにお願いしているわけでございます。
また、成長著しいアジアやロシアとの経済交流の推進もさらに図りまして、世界のマーケットを視野に入れて、本県産業のポテンシャルを最大限に発揮した取り組みを進めていきたいと思っております。しかし同時に、中国も台頭している。また本格的な環日本海時代の到来。社会情勢はどんどん変わっていきますから、県としても今の総合計画もどこかでやっぱり見直しもしなくちゃいけないと思います。その際には、今の新科学技術プランも見直すというようなことも含めて、あるいはおっしゃるような産業振興については、特出しをして考えるということも含めまして、幅広く将来を見据えて県内の産業の活性を図る、またよそからこれはというものを引っ張ってくる。こういうことで新しい産業を興す、雇用を確保する、また県民の皆さんが生きがいと誇りが持てる、そういう暮らしができるように頑張っていきたい、こういうふうに思っております。
157 鹿熊委員 答弁の中で、けさのニュースということで、医薬品生産額がいよいよ全国3位になったということは、まことに喜ばしいことだと思います。
今の答弁をお聞きいたしますと、知事の描いておられる産業戦略のストーリーが非常にわかりやすく私には入ってきました。
ただ、この元気とやま創造計画をいくら縦に読んでも横に読んでも、大事なことが並んでいるだけであって、恐らく漏れなく全部入っていると思うんですね。ただ、それがどのようなストーリー性を持って展開しようとしているのかというのは、今お聞きしてわかるわけで、実は県民の皆さんも、企業の皆さんも、そういったところをもう少し知りたいのではないかなと、知る機会を容易につくってあげる必要があるんじゃないかなと思っております。
また隣県の話をして恐縮ですが、石川県も福井県も、基本的に総合計画とは別に産業戦略というものを、既に御案内かと思いますが、特出しで持っているわけなんですね。平成17年から石川県、また20年から、これは見直しをした結果、福井県も持っております。これはやっぱり当然県民の皆さんが、福井県産業戦略、石川県産業戦略というところにアプローチすれば、企業も県民もすぐにそれが見られるようになっております。
そのあたりを見直す機会に、いわゆるストーリー性を持って、県民の皆さんが、ああ、このような産業戦略を持って、富山県産業を構築していこうとしているんだな、ということがわかるようにしていただきたい。そしてそのことによって、北陸3県の中でも屈指の経済成長を持つ富山県を目指していただきたいと、このように思って質問をした次第でございますので、よろしくお願いをいたします。
次に、観光産業の振興というところに移ります。
先ほどからの話にも出ましたが、生産の場も消費の場も海外に向かっていくという傾向が見られますが、その中で観光産業というのは、内需の最たるものであると理解をいたします。したがって、国も地方も観光に力を入れることは当然のことであります。先日、愛称であります「立山黒部を愛する会」で聞きました、観光カリスマといわれている山田桂一郎氏の「選ばれ続ける地域とは」の講演は、とても私にとり刺激的でありました。それも参考にしながら、策定大詰めに来ております観光振興戦略プランを念頭に置いて、行政がその役割を特に発揮してほしいと思う点について数点質問をいたします。
まず1点は、観光圏整備事業であります。
先ほど大野委員も取り上げられて、知事のほうからこの事業に積極的に取り組む、そのような方針が述べられたわけでございますが、私はこの観光圏あるいは広域圏観光というものが成功するか否かのかぎは、交通体系の整備、特に2次交通の整備にかかっていると思っております。特にマイカーから離れる高齢社会において、なおのことであると思います。北陸新幹線の各駅から降りた後、どうするんだという話でありまして、そこのところが整備されていないと、この広域圏観光整備事業というものは、描いただけだというふうになりかねないんです。
ただ、難しいのはこのエリアが大変広いために、民間事業者だけではどうしようもない分野なんです。そこで、行政の積極的な支援、かかわりが必要だと考えますが、それについて戸高局長の見解をお伺いいたします。
158 戸高観光・地域振興局長 広域観光圏事業でございますが、文字どおり広域でございますので、御指摘のとおり2次交通の整備が大変重要な課題でございます。
まず、富山湾・黒部峡谷・越中にいかわ観光圏における取り組みでございますが、現在、YKKと連携をした産業観光シャトルバスですとか、また黒部市内のワンコイン電車といった既存事業がございます。今後、糸魚川、白馬地域への圏域拡大もにらみながら、2次交通の整備に向けた協議を進めてまいりたいと考えております。近く、宇奈月温泉で実施いたします春一番パタパタ祭りにおきましては、富山地方鉄道の無料電車の利用を呼びかけるなど、既存の公共交通機関との連携を図りながら、事業展開をしてまいりたいと思っております。
また、現在、国に認定申請中の越中・飛騨観光圏におきましては、新たなバス路線の開設の実証実験として、高岡-五箇山-白川-高山間を結ぶバス実験運行事業ですとか、氷見や高岡などの滞在促進地区を周遊するバス事業などによりまして、圏域全体の2次交通網の整備を進めることとしております。さらに、利用者の利便性、周遊性を向上させるため、総合時刻表の作成ですとか、共通乗車券や一日乗車券の検討などを実施することとしております。
県の役割といたしましては、こうした観光圏事業の国の支援制度を活用しながら、交通事業者や宿泊施設などの関係機関との連絡調整を積極的に行うなど、観光圏域内における2次交通の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
159 鹿熊委員 ぜひその点について、積極的な支援をお願いしておきます。
次は、観光における景観の大切さという点でございます。
まずは、この点において、屋外広告物の規制の強化が図られることになりました。私が平成17年12月議会のこの場で、広告物設置許可基準の改正強化を取り上げてから約4年たったわけでありますが、ようやくそれが現実のものとして動き出したことは、大変私は喜ばしく思っております。
もう1つ大事な点は、日常のこの生活景観あるいは町並みの景観に対する関心ですね。これは特に外国人、欧米人に強いと思っておりまして、欧米の方々が高山や金沢に多く訪れるのも、そこに引かれる点があると私は思っております。
富山県は、美しい景観づくり事業──これは富山県景観条例に基づきながらいろいろと行われてきておりますが、富山県が国内外から選ばれ続けるためには、この観光という視点から市町村、県民を巻き込んで景観づくりをもっともっと強化していく必要があると考えておりますが、観光・地域振興局長の見解をお伺いいたします。
160 戸高観光・地域振興局長 お話のように、観光地を訪れる旅行者にとっては、観光地そのもののみならず、そこに住む人々の暮らしである生活景観や周辺まで含む統一されたまち全体の景観に魅力を感じられるということであります。もう一度行ってみたい観光地として選ばれるためには、これらの景観整備は大変重要な要素というふうに考えております。